割りばし脳損傷死亡事件
割りばしが口の中から脳に突き刺さり、それを見逃した医者の対して訴訟を起こした裁判で、無罪判決が出た。
事は難しく、脳に割りばしが刺さっていることの認識がどこまでなされていたのかをはっきりさせるための裁判だったと思うが、医師は単なる軽傷と決め付けて、CTなどの検査を行い寄り詳しく調べるために脳神経外科に引き継ぐようなことをしなかった。
割りばしが刺さったのだ。
その先端がどこまで行っているのかは、誰でも知りたいんじゃないのか?
もし脳にまでいっていたら大変なことになる。
そこまでやって、助けることができなかったのなら、両親も納得したはずだ。
これは、殺人でも、過失致死でもない。
誰が見ても、助からなかったかもしれない。
それを、努力を怠ったことに気づいた医師が、『髄膜炎の可能性もある』などと、『園児の急死に動転した被告が、落ち度を自覚し、取り繕うとして書き加えた』と指摘されるようなことをして取り繕ったのだ。
医者がよく使う『最善の努力をします』という言葉は、テレビだけの話なのだろうか?
『あぁ、こりゃもう駄目だ。何やっても助からないから、このまま連れて帰ってください。』なんてことをしているのだろうか?
『割りばしが脳に刺さっている可能性があるので、詳しく検査してみます』って言葉は出てこないのだろうか?
これでは、救急車が助けを求めて病院に行っても、診察する場所がないなら拒否してもいい権利を強固にしたようなものではないのか。
医者に診察を拒否し、門前払いする権利などないと思うが。
有る新生児専門の病院で、新しい新生児の診察を求められたとき、ベッドは満床だった。
しかしその病院の医師は、『救わなければならないので、引き受けることにしました。』と言って入院させた。
もし拒否されていたらどうなっていただろう。
医者の仕事とは、ベットを満床にすることではない。
『満床だからもういいや』、『もう患者はいらない』と数で選んでいい話ではないと思う。
もし、地震でも起きて、数千人のけが人が、中には致命的な大けがだけどちゃんと治療すれば助かる人もいるかもしれない人が病院の前に来たらどうするのか。
今回の裁判は、最善の努力を怠った医師に対して、何をしなかったのがいけなかったのかを確定するための裁判ではないのか?
たとえ、しなければならないことがあっても、そのことに気付かなければ罪に問えないなら、スピード違反をしても、標識に気付かなければ無罪なのか。
こんな極端なことを言っても仕方がない。
『努力をしなくてもかまわない』という判決よりも、『最善をつくし、努力しなければならない』という判決にしてほしかった。
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コメント
「医療の限界」を「医療ミスだ」として訴えた事件の典型ですね。
「100人中99人が、割り箸が脳に刺さっている事を予見不可能」であっただろう…と言われている物を「医療ミスだ」と訴えてるんですよね。コレ。
医師は神様じゃありませんから、全ての命を救命できる訳ではないのですが、誰が診てもどうしようもならなかった事を「死んだら医療ミス」とばかりに訴えるケースが多いんですよね。
加古川心筋梗塞事件しかり、奈良心タンポナーデ事件しかり、福島県立大野病院事件しかり…。
誰がやっても助けられなかったであろう「医療の限界」まで「医療ミス」とされてしまったら、マトモな医療は出来なくなりますよ。
<『割りばしが脳に刺さっている可能性があるので、詳しく検査してみます』って言葉は出てこないのだろうか?
親は現場を見ていなかったし、医者に対しての説明も曖昧で「割り箸が刺さった」という詳細な説明がされておらず(患者側は「突いた」と言っていた)、その割り箸の現物(折れたのなら、その片割れ)を持って来ず、…という、患者側の説明不十分な状態じゃ、まずそういう言葉は出ないでしょう。
投稿 都筑てんが | 2008年2月13日 (水) 午後 01時35分
後からなら、いくらでも医師のアラを探し、ナンボでも「タラ」「レバ」が言えますわな。
後になって「この時はこうするべきだった」「こういう処置もできたはずだ」と、重箱の隅をほじくり返して、結果的に『医療ミス』という方向に持っていって、医者を追い込む。
そういう「後出しジャンケン」によるトンデモ判決が増えりゃ、医師が消えるのも、病院が消えるのも、医療が崩壊するのも、そりゃ当然ですわな。
いくら専門の技術を身につけたプロといっても、医師は神様じゃ無いですから。
投稿 都筑てんが | 2008年2月13日 (水) 午後 01時40分
脳は剥き出しではなく頭蓋骨に完全に覆われているから、普通なら箸を刺そうが骨で止まって届かない。
しかしこの事故では、ありえないぐらいの運の悪さで、頭蓋骨にある血管が通る細い穴を割り箸がピンポイントで貫通していた。この時点で前代未聞。
しかも小脳にまで達していたにも関わらず、診察の時点では意識もはっきりしており、脳損傷を疑うのは極めて困難。
割り箸は途中で折れて外からは見えず、折れた元は捨てられて行方不明。しかも医師に伝えられたのは「割り箸で喉を突いた」だけ。
結論として、これをわかれというのは無理。
しかも脳まで刺さった時点で、すでに病院にもどうしようもない。
この事件で医者に責任を問うのは、医学や職業倫理などではなく、単に感情的な「いけにえ」を欲しているだけだと思います。
投稿 叩く前に調べよう | 2008年2月13日 (水) 午後 04時14分
都筑てんがさん、二度もコメントありがとうございます。
そして、一度目で気付かなくて申し訳ありませんでした。
今、仕事の合間に携帯で見て、これを書いています。
私は、医療の限界をミスだとは思っていません。
しかし、限界があることを患者や家族に納得するまで説明をする義務は有ると思っています。
割り箸が脳に刺さっている事を予見不可能と言いますが、この傷跡の先が(傷穴の奥)どうなっているのかという事は、考えないのでしょうか。
患者や家族は、気が動転しているのですから、説明が不十分くらい当たり前だと思います。
何かを突いたとしか言わないなら、何を突いたのか。
何をしているときに、こうなったのか。
割り箸が刺さったという事を患者側が言わなくても、医師側から更に聞き返さなければいけないと思いますが。
それから、あら探ししているわけではありません。
医師のした事に(しなかった事も)不備が有るなら、ちゃんと指摘した方がいいと思います。
次にまた同じような患者が来たときに、同じような結果で良いとは思いません。
指摘する事が医療ミスに追い込むことだと思うなら、思って頂いて結構ですが、指摘されてしっかりとした説明が出来ないようでは、良い医療体制など保てないと思いますよ。
病院が消えたり、医療が崩壊するのは医療ミスのせいではなく、保険料を余計なことに使っているからではないですか?
裁判を怖がる前に、裁判を起こさせない努力が必要だと思っているだけです。
早く、医療ミスと医療の限界がしっかりと区別される社会になってほしいと思います。
投稿 たけさん | 2008年2月13日 (水) 午後 06時01分
>患者や家族は、気が動転しているのですから、
>説明が不十分くらい当たり前だと思います。
一般論ではそうかもしれませんが、このケースはその程度のことで片付けられる問題ではないと思います。
親自身が現場を見ていない(子供から目を離していた)のですから、『動転していたから説明が不十分』なのではなく、『親が子供から長時間目を離していた(放ったらかしにしていた)』から説明が不十分だったのでは?
「親が目を離している間に、子供が綿菓子の割り箸をくわえながら、走り回っていて転んだ『らしい』」
「その際に割り箸で喉を突いた(刺さったとは言っていない)『らしい』」
すべて他人の目撃談です。
病院に子供を連れて来た親ですら、割り箸が刺さったとは言ってないんですよね? そして裁判所は、『たとえ診察の際に割り箸が刺さったことが判明していても、その部位から考えて既に致命傷だったため、命はいずれにしろ救えなかった』と判断して、医師に無罪の判決が下ったのです。
稀に見る不幸な事故ではありますが、親御さんがやり場のない怒りをぶつけるため、あるいは自らが子供さんを監督していなかったことの自責の念から逃避するために、裁判に熱中したのでは?と捉える人が多いのも事実。訴えられた若いお医者さんは、10年間苦しんでいます。この裁判をきっかけに、医療現場は大きく『崩壊』へと方向転換をしました。無用な検査が多くなったのはどうしてか。救急でたらい回しが増えたのはなぜか。考えてみたことはあるでしょうか? この裁判はそういった、非常に大きな負の遺産を残したのです。
投稿 はなおか | 2008年2月13日 (水) 午後 06時36分
>早く、医療ミスと医療の限界がしっかりと区別される社会になってほしいと思います。
ですからその判定がなされたわけです。医療の限界であってミスではないと。
このお医者さんは耳鼻科の先生で本来小児科ではありません。ですがこの事件以降、多忙時でも他の医者が小児を診ることは激減し、救急医療の小児科の崩壊に直接的に繋がっています。
保険料の使い込みとか言ってる場合では無いですよ。
投稿 戸ヶ崎 | 2008年2月13日 (水) 午後 06時46分
>割り箸が脳に刺さっている事を予見不可能と言いますが、
>この傷跡の先が(傷穴の奥)どうなっているのかという事は、考えないのでしょうか。
おそらく誰も考えませんね
普通喉を突いて脳に割り箸が刺さるという状況は口蓋を割って刺さります
今回のような「骨折を伴わない貫通型の脳損傷」は当時の世界で二例目だったそうですよ
投稿 ゆん | 2008年2月13日 (水) 午後 06時51分
>医者の仕事とは、ベットを満床にすることではない。
>『満床だからもういいや』、『もう患者はいらない』と数で選んでいい話ではないと思う。
満床であるということは、その病院の施設、スタッフで十分な医療ができる限界の人数が入院しているということを理解していますか?
投稿 通りすがりの人 | 2008年2月13日 (水) 午後 06時56分
>しかし、限界があることを患者や家族に納得するまで説明をする義務は有ると思っています。
これはもう十分すぎる位しています。そして大半の方は納得されます。納得しないのはもうクレーマーレベルといってもいいでしょう。
それでも全部説明しろっていうなら、説明代をとるしかないですね。だいぶ時間とられますし。
あと、説明に関しては患者側の問題、はっきり言えば知力、知識の問題があります。自分の病気について全く勉強しないような人、失礼ながら知的レベルの低い人にはどんなに説明しても無理です。大学の講義を幼児にするようなもの、聞き手にもそれ相応の知識レベルが求められます。
あなたが言っていることは、「ネコを電子レンジに入れてはいけないと書いていないじゃないか!」「はしごは馬糞で滑るから注意しろと書いてないではないか!」と言ってるようなものです。
ついでに、インフォームド・コンセント(説明と同意)というものについて。日本では医師側の説明しか取り上げられませんが、これは本来患者側からの適切な情報提供というのも含まれています。今回両親は明らかに適切な情報提供をしていません(見ていなかったのでできなかったのだろうけど、そもそも4歳児をちゃんと見ていない時点で炎天下に車内に赤ちゃんを残すような人と同類でsう)。
>裁判を怖がる前に、裁判を起こさせない努力が必要だと思っているだけです。
この努力は十分なされています。その上で、クレーマーレベルの人が起こしている。そしていくつか認められた。これが医療崩壊の一因となっています。
投稿 hana | 2008年2月13日 (水) 午後 07時01分