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生活保護費不正受給を全国調査 厚労省、介護タク事件で

2008年02月11日03時10分

 北海道滝川市で生活保護世帯の夫婦が2億円超の介護タクシー代金を不正に受給した事件を受け、厚生労働省は、同様の不自然な受給が各地で起きている可能性があるとして全国調査を始めた。暴力団関係者らが生活保護費を不正受給するケースはかねて多発しているが、今回は通院費名目で巨額の不正が起きたことを重視。同じ手口が潜在的に広がっている可能性があるとみている。厚労省は、なぜこのような事態を招いたかの説明を滝川市に求めており、不正受給金の国負担分の返還を同市に請求することも検討している。

 この事件では、夫婦が約85キロ離れた札幌市へ救急車仕様の介護タクシーで通院したように装い、1回30万円前後、1カ月で2000万円近い金を不正受給したとして詐欺容疑で逮捕された。夫は元暴力団組員で、受給金で覚せい剤を買ったほか、暴力団の資金として流していた疑いがあるという。市はトラブルが嫌で見て見ぬふりをした疑いが指摘されている。

 厚労省は「異常な金額で、担当者が十分に審査したか疑問だ」としており、全国の自治体に対し、適正な手続きを踏み外さないよう通知した。また、通院目的などでのタクシー代金の請求が月に3万円を超すものについて、内容を精査して報告するよう要請。2月中に結果をまとめたいとしている。

 生活保護世帯が通院に使った交通費は、4分の3を国が負担し、残りの4分の1を地元自治体が負担することになっている。今回の滝川市については、国からの補助金で不適切な経理をした疑いがあるとして、補助金適正化法に基づいて返還請求することを検討している。

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