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糸井 |
急に戻しますけど、
夢は見るほうですか。 |
さんま |
夢は、少ないですねぇ。 |
糸井 |
少ないですか。 |
さんま |
はい。
ちっちゃいころはよく見ましたけど。
いまは、起きながら見るというか、
考えてるうちに見ているような、
そういう感じはありますね。 |
糸井 |
ああ。 |
さんま |
自分の中でこう、いろいろと考えて、
悩むっていうことはないですけど、
なにかをこう、想像したりしてると、
夢のような気がしたり。 |
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糸井 |
はぁはぁはぁ。 |
さんま |
これ、夢だったのか、
自分の考えだったのかっていう感じで。
たまに、ふつうに考えてても、
とんでもないところに飛ぶんですけど。 |
糸井 |
うん、うん。 |
さんま |
その、おかしなところに飛んだ考えが、
夢といえば夢じゃないかと
思いますけどね。はい。 |
糸井 |
もともと、夢って、
そういうものみたいですね。 |
さんま |
ああ、たぶん、そうだと思いますね。
ぼくなんかの場合、寝ようとするときに、
こう、ボーッと「明日、こうしよう」とか、
「こうなったらどうしよう」とか、
いろいろと考えてしまうので、
夢のようなものになってしまいますね。 |
糸井 |
もしも、自由に夢が見られるとしたら、
欲しいですか、そういう能力は。 |
さんま |
ああ、いらないですねえ。 |
糸井 |
いらないですか。
それはつまり、夢なんかどうでもいい? |
さんま |
うーん‥‥
ポジティブな人はいらないんじゃないですかね。
ネガティブな人には必要なんでしょうけど。 |
糸井 |
ということは、
さんまさんにとっては、やっぱり、
起きてる時間のほうがおもしろいんですね。 |
さんま |
あのね、ロシアの哲学者かなんかがね、
「夢と現実を入れ替えろ」
って言ってるんですよ。
そうすれば人生楽になるっていう。 |
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糸井 |
あああ。 |
さんま |
それはね、かなり、共感しますね。 |
糸井 |
夢を現実の自分に置き換える。 |
さんま |
置き換えるだけで楽になるんですよ。
だから、ポジティブな人って、
いつも頭の中ではいいこと考えてて、
現実にイヤなことがあったって、
あの、べつにいいんですよ。
いいことばっかり考えて、
それを現実に置き換えたら、
すごい幸せな人生になれるという。 |
糸井 |
それはもう、宗教ですね。 |
さんま |
ああ、そうかもしれませんね。
これはでもね、簡単ですし、
みんなすべきですね。 |
糸井 |
ふーん‥‥あの、浄土宗の話ですけどね、
浄土宗が生まれた鎌倉時代っていうのは、
庶民にとって、ほんとうに
ひどい時代だったらしいんですよ。
食べるものがなくて、
みんな野垂れ死にしてるという。
で、当時の仏教というのは、
輪廻というのが信じられていて、
ようするに、死んだら生まれ変わるよ、
という考え方が基本的にあったんですね。
ところが、当時の庶民にとっては、
生まれ変わるのって、イヤなことなんですよ。
現実の世界がひどすぎるから。
そこで、浄土宗というものが出て
「死んでも生まれ変わらないよ」と言ったら、
みんながそれを大歓迎して、
いっぺんに広まっちゃったらしいんですよ。 |
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さんま |
はぁーーー。 |
糸井 |
つまり、現実が悲しすぎる場合は、
そういうことになるんですね。 |
さんま |
あ、だから、同じですね。 |
糸井 |
そうなんです。
さんまさんが言ってることと。
だから、さんまさんはいま、
現実をコントロールできてるから、
おもしろいんでしょうね。 |
さんま |
あの、楽しいことを考えて、
楽しくしようとして、
ダメなときにもそうやって楽しめるって、
ものすごく大事です。
ものすごく大事で、楽です。 |
糸井 |
あああ、なるほど。
だって、ハズレもオッケーですもんね。 |
さんま |
そう思うんですよねぇ。
それは、あの、ぼくの経験というか、
さんざん、30何年も、世間やマスコミに
叩かれたり褒められたりをくり返して、
世間というのはこう取るのか、
ということを考えているうちに、
いつの間にかそういうふうに
なってしまったのかもしれませんけど。 |
糸井 |
そういうふうに考え続けて、
いろんなものを突き詰めていって、
最後の最後にさんまさんの手元に残る
たった1枚のカードっていうと、
もう、「人生、生きてるだけで丸儲け」
というところに行きますね。 |
さんま |
はい。 |
糸井 |
ありゃあ、すごいことばですよねえ。 |
さんま |
いえいえ(笑)。
まあ、でも、けっきょくそこに行きますね。
もう、すべての人が、もうね、
「服一枚着た時点で勝ち」なわけですから。 |
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糸井 |
勝ちですよね(笑)。 |
さんま |
勝ちなんですよ。 |
糸井 |
そうですよね。 |
さんま |
ええ。 |
糸井 |
‥‥なんか、話してると、
ときどき、坊さんとしゃべってるような
気がするときが(笑)。 |
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さんま |
ははははは。 |
|
(続きます) |