脅迫罪に問われた男性(67)を無罪とした横浜地裁川崎支部判決(1月25日)に対し、横浜地検川崎支部は8日、控訴を断念したと発表した。丸山恭支部長は「種々の証拠を検討した結果、控訴申し立ての見送りをやむを得ないものと判断した」とコメントした。
男性は06年11月に川崎市中原区の居酒屋で、入店を断られた腹いせに火のついた段ボールをシャッター前に置き、店主に危害を加えようとしたとして起訴されたが、公判で店主は「脅迫を受けたと思っていない」と証言。加登屋健治裁判長は無罪判決の言い渡し後に「明確な被害者調書を作らずに公判維持しようとしたこと自体問題」と検察の捜査手法に苦言を呈していた。
無罪となった男性の代理人は「検察が被害者から話を聞いていれば、男性は起訴されることもなければ10カ月も拘置されることもなかった。コメントからも真摯(しんし)な反省は感じられない」と検察側の姿勢を批判した。【吉住遊】
毎日新聞 2008年2月8日 19時32分