シドニー――日本の調査捕鯨に国際環境保護団体などが批判を強めている問題で、オーストラリア政府は7日、南極海での日本捕鯨船団による活動を撮影した写真などを公開した。これに対し、船団を派遣している財団法人、日本鯨類研究所はホームページ上に、「大衆を欺く感情的なキャンペーン」とする声明を掲載している。
公開されたのは、クジラが捕獲現場で銛(もり)を撃ちこまれる現場のビデオや、大小2頭がロープで船に引き上げられる写真など。オーストラリア税関の巡視船が撮影した。同国のギャレット環境相は記者団に、「クジラの親子がこうやって殺されるような、無差別な行為であることが明らかになった」と語ったったうえで、「これを科学的調査と呼ぶのは見え透いたうそだ」と批判した。
一方、鯨類研究所の森本稔理事長は、大小のクジラの写真について「メディアが取り上げているような親子ではない」と反論。「当研究所の調査ではランダム・サンプルが義務付けられており、そのため、捕獲クジラのサイズは様々だ」と説明している。さらに、公開された写真は「捕鯨問題をエスカレートさせ両国関係に深刻な影響を及ぼす恐れがある」との懸念を示している。
オーストラリアでは、昨年末に発足したラッド政権が、環境政策の一環として反捕鯨を掲げ、日本の調査捕鯨の違法性を国際司法裁判所などに訴える構えを示している。巡視船はそのための証拠収集を目的に、南極海に派遣されていた。