問われる学生のモラル
加盟大学内で講義ノートの使用実態調査

 学生が執筆したノートを大学運営以外の者(ノート屋)により仲介、販売されている“講義ノート”。一部の大学では昔から存在し、試験前に一部の学生から駆け込み寺として重宝されている。【2月3日 UNN】

【写真】図(2月3日・UNN関西学生報道連盟、撮影=)
 講義ノートは、キャンパスの近くに販売店で1冊500〜1000円程度で購入できる。執筆者は学期始めに募集され、1教科(2単位)1万円前後が報酬。ノートによっては過去問が付いており、1教科につき1つのノートが販売されている。業者によるノートの選別があるが、購入者は購入時に中身を見ることが出来ないので、ノートの質は様々。購入者は賛否両論の意見だ。

 UNN加盟大(神戸大、同志社、立命、関学、阪大、関大、神女院大、京女大、京大)では、立命と同志社に存在し、関大と関学では数年前まで存在していた。UNNでは、ノート販売店が存在する大学の学生122人を対象に、1月中旬に使用状況を無記名でアンケート調査した。

 全体の73%が購入経験ありと回答(図1)。購入歴がある人に利便度を聞いた(図2)。55人が「やや役に立つ」と回答。「役に立つ」と合わせると77.5パーセントがノートを有効に使っていることが分かった。しかし、「誤情報が載っていた」「レジュメを丸写しにしたノートがあった」「授業に出ていれば必要ない」「金額が高い」と否定的な声も多い。

 一方、「講義ノートがバイトの定番になっている」という執筆者もいる。今までに10万以上稼いだ学生(立命・2年)は、「自分も中だるみを防げるし、やる気が出る。内容をまとめて執筆するので、テスト勉強をしなくて済む」と話す。

 業者の存在について、「仕方がない」とほとんどの学生(43%)が回答した(図3)。

 「買っても自分のためにならない」(同志社・2年)。高い学費を払って大学に通い、講義ノートを買うという矛盾。試験のための勉強を求められ、単位を取ることだけに執着した結果とも言える。需要と供給の関係があるため、講義ノートは販売される。しかし、買う学生側のモラルが問われていると言えるだろう。
【津川あゆみ】
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