ウェストバージニア州クラークスバーグ(CNN) 米連邦捜査局(FBI)は容疑者特定精度の向上に向けて、掌紋や虹彩、入れ墨といった生体情報の巨大データベースを構築する。近くデータベース構築に関する総額10億ドル、期間10年間の大型契約を発注する予定で、国境警備やテロ対策に活用する意向だ。
FBIは既に収集した指紋5500万セットをを今後も重視するが、身元特定の新たな手段として様々な生体情報との照合を実施し、容疑者の身元を絞り込みたい考え。手始めとして既に掌紋収集を開始し、顔写真や傷跡、入れ墨の画像も収集中。データは当地のFBI施設地下にあるコンピューターに蓄積される。近く虹彩による身元照合が開始される可能性もある。
施設付近にあるウェストバージニア大学の認知技術研究センターは、FBIが将来使用する生体認証技術を試験中だ。同センターの関係者は、異なる生体情報を組み合わせることで認証精度が向上するとしている。
人権問題の専門家らは情報収集に伴うプライバシー侵害を懸念しており、「いつどこでも一挙手一投足を監視される社会の始まりだ」と警戒する向きもある。ただ、FBIは、収集した個人情報を全て保護し、適用を犯罪者や機密情報を扱う職務を希望する人々に限定していると主張する。
生体認証技術の信頼性をめぐる疑問も残る。2006年にドイツで行われた研究によると、混雑している鉄道駅で顔による認証を行ったところ、精度は昼間60%だったが、夜になって光の状態が変わると10─20%に低下した。専門家は、今のところ精度が高い認証手段として虹彩と指紋を挙げているが、将来的には歩き方のくせなどあらゆる種類の認証方法が登場する可能性もあると指摘している。