第12回 落合采配
糸井 ハズレてもいいからしかけろ、
というさんまさんは、
あれはどう感じたんですか?
日本シリーズ最終戦の落合采配。
さんま ああ、難しい。

(※日本シリーズの落合采配:
 中日ドラゴンズの日本一がかかった
 2007年日本シリーズ第5戦。
 中日の山井投手が好投し、
 8回までひとりのランナーも出さない
 パーフェクトピッチングを展開。
 最終回を迎え、あと3人で完全試合達成、
 という局面で、中日の落合監督は
 山井投手から守護神、岩瀬投手にスイッチ。
 結果的に岩瀬投手が9回を三者凡退に抑え、
 中日が53年ぶりの日本一を達成したが、
 完全試合目前の投手を交代させるという
 前代未聞の采配が大きな話題になった)
糸井 ぼくは両方、
あると思うんですけど、
どっち派でした?
さんま ぼくはもう、絶対投げさすべき。
糸井 あ、そうですか。
さんま それはもう、そうですね。
糸井 ぼくは、自分だったら、
続投させるだろうって思いながらも、
落合監督は自分で責任取る
野球をしたんだなって感じるんです。
さんま ああ、そういうのはわかります。
わかりますけど、ぼくが思うのは、
やっぱりお客さんのことですよ。
糸井 うん、さんまさんは、そうですね。
絶対に代えちゃいけないという。
さんま ええ。昔ね、長嶋さんが、
桑田を抑えで起用したときに、
世間から叩かれたじゃないですか。
糸井 はいはいはい。
さんま 野村監督なんかはね、
「あの人のやることはわからん」
とか冷たく言ってたんですけどね。
そのあと、個人的にお会いしたとき、
ぼく、監督に訊いたんですよ。
「あのぅ、監督、あれは
 なんで桑田に投げさせたんですか」と。
糸井 おお。
さんま そしたらね、監督が言うたんです。
「さんまちゃん、
 おもしろかったでしょ?」って。
糸井 はーー。
さんま 「さんまちゃん、おもしろかったでしょ?」
って言われたときにね、ぼくはもう、
「はい、むちゃくちゃおもしろかったです」
って言うしかないんですよ。
あ、もう、「ここだ!」っていう(笑)。
糸井 なるほどね。
さんま たぶんね、巨人の選手の中でも、
「長嶋さんの采配はわからない」
っていう人もいると思うんですよ。
ついていけない人もいると思う。
糸井 そうでしょうね。
さんま でも、ぼくはやっぱり、
「いや、長嶋さんは正解や」って
いつも言ってるんですけどもね。
糸井 勝負を大切にする人と、
現場を大切にする人と、
記録を大切にする人と、
いろいろいると思うんですよ。
さんま そうですね。
で、けっきょくは、ぜんぶ正解なんですよ。
糸井 正解なんですよね。
さんま 正解です。
糸井 で、たぶん、いちばんいけないのは、
「こうすればみんなが文句言わないだろうな」
っていう選択だと思うんですよ。
さんま ああ、はいはいはい。
糸井 つまり、あそこで、
「代えなければ文句は出ないな」
っていう考え方をしちゃったら、
ダメなんだと思うんです。
さんま ああ、なるほどねえ。
糸井 どっちにしてもオレが責任取る、
っていうのが正しいんじゃないかなぁ。
さんま そうですね。いや、難しい。
糸井 いまでも考えますね、ぼくは、あのことは。
さんま いやいや、ほんと、
かなり難しいことやなと思いますけどもね。
糸井 さんまさんだったら、
責任をとって投げさせると。
さんま 絶対投げさせますね。
たぶん、逆転されるまでは。
ファンのこととか、
いまのプロ野球の状況とか考えると、
投げさせてしまいますね。
江川さんなんかは、テレビで
「ぼくもそうして(交代させて)ました」
って言ってたんですよね。
糸井 ああ、そうですか。
さんま あっそうか、江川さんもそうしてたか。
江川さんならやっぱりそうか、とかね。
なんか、江川さんの人生まで考えさせられた。
糸井 そうなんですよね。
おもしろがれる采配だったというのは、
もう、間違いないことで。
さんま ああ、なるほどね。
いや、こうやって話し合うだけでも
すごいですもんね。
糸井 そうなんです。
さんま そういうことなんですけどねぇ。
ん〜、でも、ファンのこととかね、
いま、なにを見たいんだ?
っていうところでいうとね‥‥。
糸井 いや、それはほら、さんまさんは、
ちんちんにシリコンを
入れるかもしれない人だからさ。
さんま クワー(笑)。
糸井 そういう人は投げさせますよ。
さんま そこで悩んでる人ですからね。
ということは、落合さんは絶対、
シリコン入れないですね。
糸井 入れない。
一同 (爆笑)
さんま いや、あのね(笑)、
言っときますけどね、
ぼくは入れないんですよ?
悩んだ自分がイヤだという話ですから。
糸井 ははははははは。
さんま いや、マジで。
でも、いま思っても恥ずかしいのは、
真剣にシリコンのパンフを
見てしまった自分‥‥。
一同 (爆笑)
  (続きます)

2008-02-04-MON

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN