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読売記者「ネット情報だけで記事」、休職1カ月処分

2008年01月31日12時54分

 読売新聞金沢支局の男性記者(30)が取材対象の金沢大学(金沢市)に確認しないままインターネット上の情報だけを基に学位をめぐる記事を書き、同紙石川県版に掲載していたことがわかった。金沢大学は読売新聞に抗議し、同社は31日までに、男性記者を休職1カ月の懲戒処分にすることを決めた。支局長の監督責任も問い、処分するという。

 問題となったのは1月27日付の「非認定学位で教授昇進 金沢大 米の大学で『博士号』」の見出しがついた記事。金沢大の男性教授と女性准教授が、米国で学位と認められていない米国の大学の学位を取得し、経歴として使っていたことや、それに対する同大学の見解を報じた。

 読売新聞東京本社広報部などによると、記事掲載後、金沢大から「取材を受けていないのに大学のコメントが載っている」と抗議があった。調べたところ、朝日新聞が金沢大の教授らの学位取得の経緯などについて報じた26日、男性記者が、朝日新聞のサイト「アサヒ・コム」にも掲載された報道や文部科学省、同大のネット上の公表資料などを参考に執筆。アサヒ・コムの情報を基に同大に取材しないまま、「金沢大は2教員の処分は考えていないとしている」「2教員の昇進は『業績を重視した』とし」などと書いていた。

 記者は「大学に電話して確認しようとしたが、土曜日で電話がつながらなかった」と説明しているという。一連の経緯について、31日付の読売新聞石川県版で明らかにした。

 読売新聞東京本社広報部は「新聞記者としてあるまじき行為であり、二度とこのようなことがないよう記者教育を徹底します。金沢大の関係者や読者のみなさまにおわび申し上げます」とコメントを発表したが、「創作や捏造(ねつぞう)、無断引用と違うと考えている」としている。

 金沢大学は広報戦略室を通じて「取材されていないことが確認されたので直ちに抗議した。読売新聞社からの正式な謝罪と説明を今日、受けたが、この説明で十分かどうかを検討している」とのコメントを発表した。

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