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調書流出の被告が無罪主張へ「身分は医師でなく鑑定人」

2008年02月01日

 奈良県田原本町で家族3人が死亡した06年6月の医師宅放火殺人事件をめぐり、長男(17)=中等少年院送致=らの供述調書を引用した本が出版された問題で、調書を漏らしたとして奈良地検から秘密漏示罪で起訴された鑑定医の崎浜盛三(さきはま・もりみつ)被告(50)=京都市左京区=が、奈良地裁の公判で無罪を主張する方針を固めた。調書を漏らした事実は争わないものの、弁護人は「長男の精神鑑定をした時は同罪を問われる医師でなく鑑定人の身分にあり、罪は成立しない」としている。初公判は4月14日に奈良地裁で開かれる。

 刑法の秘密漏示罪は、医師や弁護士ら特定の「職」にある人物が業務上知り得た秘密を、正当な理由なく漏らした場合に適用される。

 崎浜医師は起訴時、「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)の著者でフリージャーナリストの草薙厚子氏(43)に調書を流出したことは認めていた。しかし、公判では、長男の精神鑑定を担当したときは「あくまで『鑑定人』であって、同罪が問われる医師と患者の関係ではない」と主張する方針。検察側は「そもそも被告が『医師』だったため、精神鑑定が依頼された」と反論するとみられる。

 崎浜医師は長男の精神鑑定をしていた06年秋に草薙氏の依頼に応じ、調書のコピーなどを見せたほか鑑定結果を渡したとして、昨秋に奈良地検に逮捕、起訴された。

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