DEMO 08レポート【グリーン系編】 1つのプラグであらゆるデバイスの電源を供給する「GreenPlug」
会期:1月28日〜30日(現地時間) 会場:Desert Springs, A JW Marriott Resort & Spa, Palm Desert ●さまざまな電圧を供給可能なACアダプター“ハブ” ノートPCに代表されるように、デジタル機器の多くは直流電源を用いて駆動するため、本体にACアダプタが付属しているのが一般的だ。このACアダプタの役割は、電力会社から家庭に供給している交流(AC)を、機器が要求する電圧の直流(DC)へ変換することにある。 しかし、ACからDCへ変換するときの損失というものが発生する。技術の進化に伴い小さくはなっているものの、デバイスごとに使用しているACアダプタそれぞれが、少しずつ電力を損失しているのは間違いない。また、充電目的のACアダプタでは、デバイスを取り外したあともACアダプタをコンセントに接続したままにすることがあるが、この場合も一定の電力は失われ続けてしまう。 また、物理的にも、機器ごとにそれぞれACアダプタを利用し、使わなくなったら機器とともに廃棄されてしまうというのは大きな欠点だ。ACアダプタ内の電気部品やケースに使われるプラスチック、ケーブルに利用されるビニールなど、リサイクルできるものはあるにせよ、無駄はゼロにならないだろう。 こうした観点でみると、ACアダプタは地球にとって非常によろしくない存在ではある。DEMO 08でGreen Plugが紹介したのは、このACアダプタの無駄を無くした、“真のユニバーサルACアダプタ”である。 Green Plugがユニバーサルであるゆえんは2つ。1つは1個のACアダプタから複数のポートに、異なる電圧の電力を供給できる点だ。これは、同社が開発したRISCベースのコントローラチップによって可能になるという。複数機器を1つのACアダプタで利用できることからAC-DC変換に伴う損失を減らすことができる上、利用していないポートに対する無駄な電力供給もカットできる。 そして、ユニバーサルである所以のもう1つは、プラグ形状の統一である。現在のACアダプタは製品ごとにプラグ形状も異なっており、同じ電圧/電流なのにプラグ形状が異なるので流用できないといったことも発生し得る。そもそも機器とACアダプタが1対で提供される現在の事情では、そのことが問題になることもあまりなかったといえる。 しかし、Green Plugのように複数の機器を利用できるACアダプタにとって、異なるコネクタが混在していては意味がないわけで、USB端子をGreen Plugの統一形状に規定し、最大24Vまで供給できるようにしている。もっとも、プラグ形状まで統一するということもあって、Green Plugが普及するカギは、いかに技術を採用するパートナーを増やせるかという点になるだろう。 しかし、エコロジーの観点でAC-DC変換時の無駄をなくすというのは注目を集めている分野であるのも事実で、注目されるべき技術だろう。Green Plugのデモは典型的な技術デモではあったものの、現在の電力供給の1つ常識が崩れるかもしれない、非常に大きな意味を持った内容といえるだろう。 ●地球を温暖化から守る人々が集まるコミュニティサイト DEMO 08では、もう1つ、地球を守るエコロジー関連のデモンストレーションが行なわれた。Celsias(Celsiusをもじったもの)が紹介したのは、同社が手がける気候変動から地球を守る人々が集まるコミュニティサイトである。 このサイトは、気候変動から地球を守るためのアイデアを持つ人が、そのアイデアをもとにプロジェクトを作成。そのプロジェクトのリーダーとして、具体的に行動する内容を地図なども含めて提示する。そして、このプロジェクトに賛同する個人同士でディスカッションしたり、企業などがスポンサーとして資金面の協力を行なうといったコミュニケーションをとる、といったのが主な目的となる。 つまり、地球温暖化に対するアイデアと行動力を持った個人と、そうしたアイデアを求める企業のための一種のソーシャルネットワークシステムともいえるだろう。企業がスポンサーとして参画するにあたり、外部から見られないプライベートなプロジェクトスペースも有料で提供される。 すでにベータ版が稼働しており、アメリカやニュージーランド、イギリスなどから80を超えるプロジェクトが登録されているという。
□DEMO 08のホームページ(英文) (2008年1月30日) [Reported by 多和田新也]
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