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「産業突然死」の時代の人生論

食の安全に揺れる中国

 環境とともに問題視されているのが、食の安全だ。

 先に挙げた太湖は上海カニの名所なのだが、あのカニは、汚染された水の中で何を食べて育っているのか。正直いってわたしも不安を覚える。他にも最近は、中国の食の安全に関するニュースが毎日のように報道されている。後でねつ造だったと報道されたダンボール入りの肉まん、有害物質の入ったペットフード、偽物の塩、廃棄された油から作った食用油‥‥。食品ではないが有害物質の入った歯磨き粉、偽物の医薬品というものもあった。

 それに、今回問題になったもの以外にも、注意しておきたいものもある。例えばフグだ。フグは天然物だと浜値でキロ1万円もする。ところが養殖物となるとキロ2000円まで落ちてしまう。日本では、出荷までにかかるえさ代が2000円近くになるので、ほとんどもうからないという状況だ。しかし中国の養殖物ならキロ1000円で手に入るのだ。

 冷静に考えてみるとえさ代より安いフグというものはどうなのだろう。いったい何を食べさせて育てたのか。そう想像するとちょっと恐くなる。

 先日も中国政府は、悪質な41社を食品輸出停止の処分にしたのだが、11社は日本向けに輸出していた会社だった。ウナギの蒲焼きなどから大腸菌や有害物質が出たからである。当然の処置である。だが、中国の食品に対する日本の反応は、「ややオーバーではないか」「冷静さを欠いている」とわたしは感じている。もちろん、安全について意識するのは大切なことだ。しかし、今では中国の食品はすべて危険というような風潮が生まれつつあるのではないだろうか。

 まず中国から輸入するものには、二つのランクがあることを知ってほしい。一つはニチレイや加ト吉など日本の大手食品会社が中国に作った工場で生産されるものだ。これらの工場は衛生的にしっかりしている。日本以上と言ってもいい。口に入れても安心だ。もう一つは零細商社や代理店が中国の農村で買い付けてくるようなものだ。しっかりした生産体制が整っていないから、悪質なものが混ざってくる。問題が出るのはこちらの食品だ。だから、中国の食品だからといって、すべて危険視するのではなく、見識眼を持って、「(トレーサビリティのしっかりした)いいものを選び、(誰がどう作ったのか不明な)悪いものは避ける」ことが大切なのである。

おしえてBP!

自然環境問題

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