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2008年1月25日(金) 夕刊 1・7面
米国防総省が敗訴/沖縄ジュゴン訴訟
 米軍普天間飛行場の移設をめぐり、名護市キャンプ・シュワブ沖に生息するジュゴンの保護を求め、日米両国の自然保護団体などが米国防総省を相手に起こしている「沖縄ジュゴン訴訟」で、米サンフランシスコの連邦地方裁判所は二十四日、同省の米文化財保護法(NHPA)違反を認定する判決を出した。基地建設によるジュゴンへの影響を回避する「考慮」を命じた上で、環境影響評価(アセスメント)文書を同地裁に九十日以内に提出するよう求めた。

 AP通信によると、米政府は、控訴するかどうか決定していない。同法は米政府による海外での行為に文化財への影響考慮を義務付けているが、実際に適用されるのは初めてという。

 同地裁のマリリン・パテル裁判長は、同省がジュゴンへの影響軽減策の必要性を把握、考慮していないことを同法違反と認定。「計画が国防長官らによる最高レベルの承認を得ているにもかかわらず、ジュゴンへの影響はよく把握されていない。国防総省は引き返すことができないほど計画に関与しており、法に基づく義務履行を建設直前まで待つことはできない」と判示した。

 同訴訟は二〇〇三年九月、県内外の自然保護団体が米国の団体とともに提訴した。原告にはジュゴンも含まれる。

 国防総省は当初、同法の適用対象は建造物などに限られる上、米国は基地建設に直接関与していないとして却下を求めた。同地裁は〇五年に同省の主張を退け、実質審理入りしていた。

 原告代理人で、環境法律事務所「アースジャスティス」のサラ・バート弁護士は、「判決は、国防総省は真剣な検討をする義務があると明示した。ジュゴンの保護措置が取られることになる」との見通しを示した。

 日本環境法律家連盟事務局長の籠橋隆明弁護士は「国防総省は日本政府のアセス結果を地裁に提出するだろうが、その内容は米国で求められる水準には到底達しない。地裁が審査し、さらなる決定を出す可能性もある」と指摘した。

 判決について名護市の島袋吉和市長は「現時点で、コメントできる立場にない」。県幹部は「外国での訴訟なのでまだ判決内容が分からない。普天間移設の事業主は国なので、動向を見守る」としている。

[ことば]

 米文化財保護法(NHPA) 正式には「国家歴史保存法」または「国家歴史的遺産保存法」。米政府の「連邦行為」に対し「同等の意義を持つ他国の法で保護された文化財も保護対象」とする「域外適用」の項目がある。

     ◇     ◇     ◇     

「大勝利 移設断念を」/米司法の壁 原告評価

 「大勝利だ」。名護市キャンプ・シュワブ沖への米軍普天間飛行場の移設をめぐる訴訟で、米サンフランシスコの連邦地裁が、国防総省にジュゴンへの影響を回避・緩和するための考慮を命じたことに、原告らは判決を高く評価、喜びの声を上げた。一方、移設容認の立場を取る地元関係者は「移設計画を進めて、世界中の環境団体が詰めかければ、迷惑する」と戸惑いも。代替施設の建設を急ぐ日本政府に、米司法が高いハードルを突きつけた。

 原告の東恩納琢磨さんは「大勝利だ。米国政府に言われて見直すのは恥ずかしいことだが、日本政府はそれをやらないと、世界から大きな批判を浴びる。(基地建設に)高いハードルができたし、この判決を克服するには、相当の労力と時間がかかる。それよりは、辺野古への基地建設を見直した方が早い。ジュゴン保護区の設置を米国民にも訴えていきたい」と話した。

 原告の一人で、米自然保護団体「生物多様性センター」のピーター・ガルビンさんは「地裁決定に基づく見直しと、基地建設の影響が広く知れわたることで、日米両政府がジュゴンを絶滅に追いやる計画を断念することを願う」と話した。

 「市民アセスなご」の吉川秀樹さんは、「九十日以内に、ジュゴン保護の根拠を提出するよう求めるだけでなく、それを判断した米国防総省側の担当者の氏名の提出を求めるなど米国の法律の要求に、日本のアセスが適合しているかを求めている」と指摘。「こちらが望んでいた判断。ここまでやってくれたことに、感心している。ここから新たな基地建設反対の運動を積み上げることができる」と評価した。

 移設を容認する立場の移設先の辺野古出身の島袋権勇名護市議会議長は「米国らしい。(移設の)ハードルが高くなった。そのまま、移設計画を進めて、世界中の環境団体が詰めかければ、迷惑するのは地元。アセスへの知事意見にもあった通り、(防衛省は)ジュゴンを含む環境調査をしっかり、やってほしい。成り行きを見守るしかない」と話した。



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