よくある質問と答え

最初のページに戻る

Q1:日本はどうして絶滅にひんしたクジラをとるのか?

Q2:調査捕鯨は疑似商業捕鯨ではないか?

Q3:日本は海外援助で開発途上国の票を買っているか?

Q4:クジラを殺さなくとも調査は出来るのではないか?

Q5:どうして世界の世論に反して捕鯨を行うのか?

Q6:クジラを食べなくても他に食べ物があるではないか?

Q7:クジラは特別な動物とは思わないか?

Q8:捕鯨が再開されれば必ず乱獲になる?

Q9:クジラのついては何もわかっていない?(だから捕鯨はするべきではない)

10:調査のために毎年500頭もクジラを捕獲する必要が有るのか?

11:クジラの肉は汚染されている?

Q1:日本はどうして絶滅にひんしたクジラをとるのか?

日本の調査捕鯨では資源の豊富なミンククジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラだけを捕獲している。日本は資源が豊富なクジラの種を、枯渇させないように持続的に利用することを希望しているのであって、シロナガスクジラのように数が減ってしまったクジラについては、積極的に保護にとり組んできている。一言で鯨と言っても80種余りも有り、絶滅にひんするほど数が減っている種類も有れば、極めて資源量が豊富な種類も有る。

 

Q2:調査捕鯨は疑似商業捕鯨ではないか?

調査捕鯨では、1頭1頭の鯨から、それぞれ100項目以上の科学データが収集されている。その分析結果は、毎年国際捕鯨委員会の科学委員会に多くの科学論文として報告されている。科学委員会は、日本の調査捕鯨から得られる科学的知見を大変評価しており、科学委員会の報告書の中にも、調査捕鯨からのデータを評価する記述が多数有る。実際、調査捕鯨からのデータが無ければ、科学委員会の議論ははるかに低調なものになるのは間違い無い。

調査が終わった鯨の肉は日本政府が値段や配分が公平になるように監督しながら市場に販売されるが、これは、IWCを設立した国際捕鯨取締条約の第8条第2項に、調査後の鯨は可能な限り加工して利用しなければならないと規定されていることに従っているからである。従って、鯨肉が販売されることに基づいて、調査捕鯨を疑似商業捕鯨と非難することはおかしい。

 

Q3:日本は海外援助で開発途上国の票を買っているか?

そのようなことは行われていない。日本の海外援助は世界の150ヶ国以上を対象に行われているが、この中には、インドやアルゼンチンなど常に反捕鯨の政策をとっている発展途上国も含まれている。日本から援助をもらうために国際捕鯨委員会で日本の味方をする必要も無いし、反捕鯨政策をとっているからと言って、日本からの援助が無くなるわけでもないのである。

また、日本に票を買われていると非難されるカリブ海の国々のうち、セント・ビンセントは、国際捕鯨委員会からザトウ鯨の捕獲を認められているれっきとした捕鯨国である。他のいくつかのカリブ海諸国は、IWCの管理外のゴンドウ鯨を捕獲して利用して来ている。日本からの援助とまったく関係無く、彼らには持続的な捕鯨を支持する理由が有るのである。

 

Q4:クジラを殺さなくとも調査は出来るのではないか?

鯨の資源管理は、その数がわかるだけでは不可能で、様々なデータが必要となる。例えば鯨の年齢は資源管理のために絶対に必要なデータであるが(詳しくは本文?ページ参照)、現在のところヒゲ鯨についてはその内耳に蓄積する耳あかのかたまり(耳腔栓)、歯鯨についてはその歯が無ければ年齢を正確に判定することが出来ない。これらはいずれも鯨を捕獲しなければ得られないデータである。また、現在、鯨と漁業の競合が世界的な問題となってきているが、鯨が、いつ、どこで、何をどれくらい食べるかを知るためには、胃の内容物を見るしか方法が無い。

日本は捕獲調査の実施だけにこだわっているわけではなく、必要な科学データを得るために、それぞれ最適な方法を用いているだけなのである。鯨を捕獲せずに得られるデータは捕獲せずに入手しており、実際、日本の目視調査は世界でも最も充実したものとなっている。

 

Q5:どうして世界の世論に反して捕鯨を行うのか?

鯨類の持続的利用は今や世界の多くの国が認める考え方であり、いかなる状況でも、資源が豊富であっても捕鯨を認めないとの考え方こそが世界で孤立しつつある。とかく欧米の一部の国々の世論を世界の世論ととり違える傾向があるが、中国、韓国、ロシア、ノルウェー、アイスランド、そして多くの開発途上国が持続的捕鯨を支持している。世界の150ヶ国以上が加盟しているCITES(絶滅にひんした動植物の国際取引に関する条約)では鯨類の持続的利用を認める国が常に過半数を占めているし、FAO(国連食糧農業機構)では2001年に鯨類と漁業の競合についてFAOが調査を行うことが満場一致で合意されている。

また、そもそも、科学的に見て豊富な鯨類を持続的に利用することが可能であり、国際捕鯨取締条約の基本原則も鯨類資源の持続的利用であるときに、一部の国の政治的、感情的反捕鯨圧力に屈しなければならないのか。特に、これらの国々が、自国では様々な野生生物の持続的利用を認めていることを考えると、なおさらこの圧力は理不尽である。

 

Q6:クジラを食べなくても他に食べ物があるではないか?

まず第一に、捕鯨の問題は食べるものが有るか無いかと言った単純な問題ではない。科学的にも、法的にも正当な捕鯨が、世界的に認められている持続的利用の原則に反して否定されてきたと言う大きな問題がある。

第二に、過剰保護による鯨類の増加が漁業資源に悪影響を与えている可能性が高くなってきている。今や、鯨の問題は漁業全般の問題になっており、鯨を食べるか食べないかの問題に止まらない。

第三に、今後も人口増加が避けられないことから、食糧確保のオプションはすべてオープンにしておく必要が有る。捕鯨問題に見られるように、特定の動物を特定の価値観に基づき世界中で利用を禁止する様なアプローチは認められるべきではない。

最後に、食は量さえ足りれば何を食べても変わらないと言うものではない。世界各国の民族は、それぞれの生活環境、自然、そして歴史に基づく食文化を発展、維持させてきた。文化の重要性は、たとえその文化が日常的なものでは無くなっても、減少するものではない。近年日本人は滅多に着物を着ないが、着物が日本文化であることに異論はないはずである。

 

Q7:クジラは特別な動物とは思わないか?

鯨に限らず、すべての動物が特別である。すべての動物がかけがえの無い生命を持ち、長い地球の歴史の中での進化を受けて現在の姿で存在している。そして、すべての動物が食う食われるの関係で生態系の中での役割を果たしている。人間もこの生態系の一部であり、他の生物の命をいただくとで生存している。われわれはすべての生物を利用するにあたって、その命の大切さを噛みしめながら利用する義務が有る。

他方、人間は様々な民族や国民が様々な生き物に特別の地位を与えている。一般に食糧とみなされる牛も、インドでは神聖な動物である。日本でも金華山ではシカが神の使いとされているが、フランス料理ではシカは普通のメニューである。ある民族や国民が、自らの特定の動物に対する価値観を他の民族や国民に押しつけることは、「文化帝国主義」と呼ばれる行為で許されるべきではない。しかし、捕鯨問題ではまさにこれが行われている。

鯨類の「特別さ」についての神話については、本文??ページで述べた通りであるが、「スーパーホエール」を信じ込んでしまうのではなく、すべての生物を客観的に理解する努力が必要なのである。

 

Q8:捕鯨が再開されれば必ず乱獲になる?

1960年代以前の捕鯨は確かに乱獲の歴史であった。しかし、その経験に基づいてIWC科学委員会は生物資源の管理方法としてはもっとも先進的で、資源枯渇の可能性をほぼ排除した改訂管理方式(RMP)を作りあげ、反捕鯨国の科学者を含むすべての科学者の合意を得てこれをIWCに提出したのである(本文??ページ参照)。そして、このRMPが確実に実施されるために捕鯨活動を監視し、取締る制度(RMS)も実質上完成している。10年以上の歳月と何百人もの専門家の知識が費やされて作られたRMPやRMSが役に立たないと主張するのならば、その理由が明確に示されなければならない。

また、1960年代以前の捕鯨は鯨油の獲得が主目的であったが、今や石油が発見され鯨油の需要は無くなってしまっている。言いかえれば、捕鯨が再開される場合は鯨肉が主目的であり、昔イギリスや米国が行ったような大規模な捕鯨は必要無いのである。更に、現在では科学技術の発展により、DNAを用いれば1頭1頭の鯨からとられた鯨肉を区別することが出来、人工衛星を用いれば捕鯨船の動きを24時間追いかけることが可能となっている。昔のような乱獲はもう起こり得ないのである。

 

Q9:クジラのついては何もわかっていない?(だから捕鯨はするべきではない)

日本の鯨類捕獲調査などの結果、ミンク鯨などはすべての生物資源の中でもっとも科学的知見が蓄積されている生物である。しかし、科学的探求は奥深く、調査すればするほど古い課題が解決されながらも新しい課題が生まれていく。その意味で、まだまだ鯨については調査や研究すべきことが有るが、だからと言って1頭も獲るべきではないと主張することはむしろ非科学的で極端である。科学的知見の不確実さにあわせて、慎重に捕獲枠を設定していけばいい(すなわち、不確実さが大きければ捕獲枠を小さくする)わけで、これが改訂管理方式(RMP、本文??ページ)の基本的考え方である。更に、RMPでは、天変地異や環境悪化が起こって突然鯨の数が半分に減ってしまう場合や昔の捕獲実績のデータがまったく間違っていた場合でも、鯨資源が枯渇しないような捕獲枠を出すことが求められているし、最新の資源の大きさに関する科学データが提供されなければ、捕獲枠を徐々に減らしていくフェーズアウトルールも有る。鯨の科学はここまで進んでおり、わかないから獲らないと言うのが、いかに幼稚な議論であるかは明らかではないだろうか。

 

10:調査のために毎年500頭もクジラを捕獲する必要が有るのか?

本文でも詳しく解説したが、生物資源を利用するための科学データは統計学的にある基準以上の「確かさ」が必要とされる。何十万頭もいる南半球のミンク鯨の科学データについて必要最低限の「確かさ」を得るためには一定の数のサンプルが必要となる。例えば、京都市の人口は約70万人であるが、京都市民の平均身長を知りたいと思ったとき、10人の身長を図るだけで果たして平均身長がわかるであろうか。100人ではどうだろう。1万人の身長がわかればかなり確かな答えが出るのではないだろか。このようにして、更に数値のバラツキなどの要素を考慮すれば最低限必要なサンプル数が算出できる。調査捕鯨の捕獲頭数もこのような統計学的な計算を行って決められた数字なのである。

 

11:クジラの肉は汚染されている?

一部の反捕鯨勢力により、鯨肉が水銀やPCBなどにより高度に汚染されているとの批判が行われているが、現在の鯨肉供給の大部分を占める南氷洋鯨類捕獲調査からの副産物鯨肉は、汚染の極めて少ない南氷洋で捕獲されたものであることからも当然であるが、他のいかなる食料に比較しても極めて汚染度が低い。また、北西太平洋鯨類捕獲調査から得られる鯨肉の汚染度合も、厚生労働省の暫定基準値以下である(具体的な分析値については日本鯨類研究所のホームページhttp://www.icrwhale.orgに記載されている。)。反捕鯨勢力の批判の根拠は、日本近海で捕獲されたイルカの内臓に高い汚染が見られたことに有るが、このようなイルカの内臓はほとんど食用には供されていないのが実状である。

 

先頭へ戻る