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【音楽の政治学】バレンボイムの“正論” パレスチナ (1/2ページ)
このニュースのトピックス:音楽の政治学
「イスラエルとパレスチナ、ふたつの人々の運命は結びつけられている。軍事的解決はないのだ。私は今夜、ラマラの人々のためにピアノを弾きに来た」
ドイツのベルリン州立歌劇場の音楽総監督、ダニエル・バレンボイム氏(65)は今月12日夜、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラで開いたピアノ・リサイタルでこう語り、大喝采を浴びた。
著名なユダヤ系ピアニストで指揮者としても活躍する氏はイスラエル人でありながら、自国のパレスチナ占領政策を、「倫理的におぞましく、戦略的に誤っている」と痛烈に批判する。
2004年、人々の友好に貢献した功績に与えられるイスラエルのヴォルフ賞を受賞したときのこと。氏は同国国会で行われた受賞演説でイスラエル独立宣言を読み上げ、こう続けた。
「心の痛みを感じながら、皆さんに問いかけたい。征服と支配の立場が果たして、イスラエルの独立宣言にかなっているのか。他民族の原則的な権利を犠牲にすることが代償なら、ひとつの民族の独立に道理というものがあるのか。ユダヤ人の歴史は苦難と迫害に満ちているが、隣の民族の権利と苦難に冷淡であってよいのか」と。会場にはどよめきが広がった。
氏はこうした信念を行動に移し、1999年には、イスラエルとアラブの若い演奏家で組織する「ウエスト・イースタン・ディバン・オーケストラ」を創設、毎夏、世界各地に演奏旅行している。イスラエルとレバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナなどの若者が参加、2005年にはついに、ラマラでのコンサートを実現させ、記念碑的な演奏はDVDに収録された。