お茶女裁判 その1 2007.07.23
これまでのあらすじ
初めての読者のために、まず、「これまでのあらすじ」を述べておこう。
お茶の水女子大学の公式ホームページの中に「水商売ウォッチング」というサイトがある。それは今から7、8年前に、当時お茶の水女子大学理学部の富永教授のもとで博士課程を終えて、就職浪人中の天羽優子という女性が、富永教授に割り当てられたお茶の水女子大学公式サイトの中に作ったサイトで、浄水器や活水器などを製造したり販売したりしている会社を「「水商売」と蔑称し、名指しで批判していた。
その後、天羽氏は山形大学の助教授になったが、お茶の水女子大学のサイトはそのまま天羽氏の完全管理下にあり、現在でも相変わらず好き勝手な企業批判を繰り返している。
そのサイトの社会的不公正さについては、「水は変わる」の第3章に詳述しているので、それを参照していただきたいが、とにかく天羽氏は2003年に、私の問いに対して、これはお茶の水女子大学の社会貢献の一環だと主張していた。
しかし実情はどうか。「水商売ウォッチング」のごく最近の記事を見てみよう。
[24205] 会員の意見
エコ会員 のコメント: 2007-07-18 08:25 :
小生、エコプライムに係り2年です。5名の方にご紹介し、製品は満足頂いております。が、如何せん社長始め、会社の人たちは所謂ネットワーカー上がり。始めはネットワーカーの意味が判りませんでしたが2年も経つといろいろと見えて来ました。繰り返しますが、製品は悪くないです。満足いくものですが会社が変です。小生関東在住に付き、よく本社に参ります。すると、ヤクザあがりのH氏がうろうろしており・・・・・・・・・・・・・以下略
こういう実名記事が平気で掲載されているのである。
天羽氏は、記事の内容が事実かどうかなど検証もしないし関知さえしない。垂れ流しである。このようなやり方は、お茶の水女子大学から発信される公式の言論として、はなはだ不適切であり、お茶の水女子大学の恥と言ってよい。こんな記事のどこが社会貢献なのか。この投稿によってこの会社が損害を受け、そのことを訴え出られたら、お茶の水女子大学は損害賠償することになるだろう。
なぜ、お茶の水女子大学はそんなリスクを冒すのか。なぜ、このような異常な状態が放置されてきたのか。
お茶の水女子大学は一度、「水商売ウォッチング」の追放を試みたのだが、逆に天羽氏に告訴されてしまい、びっくりして、和解という形で天羽氏に屈服したようである。
天羽 ウェブページに対するクレーム処理では,自分の就職先(学術方面)も決まらないのに,修士課程の母校で博士(理学)をとったお茶の水大を行政訴訟の対象にしました。まあ,第一回口頭弁論前に裁判外で和解契約成立でしたが。
交渉の落とし所もそれなりに見えてはいましたけどね。
(水は変わる 第3章より)
ふつうの人間は母校を告訴などしない。天羽氏は常軌を逸している、何をするか分からない、というおそれを大学当局は抱いたはずだ。
このようにして、お茶の水女子大学の職員でも学生でもない人間が、お茶の水女子大学の公式サイトを自由に操り、お茶の水女子大学の名で好き勝手な言論を発し、サイトの責任者である富永教授も含めて、お茶の水女子大学の誰もそれを制御できないという、常識では考えられない状況が何年も続いてきたのである。
私が以前、販売員として個人契約していたエッチアールディ社も、天羽氏の批判にさらされ、営業妨害を受けていた。2003年末私は、天羽氏へのメールで、「水商売ウォッチング」の内容の理学的な間違いを指摘し、大学名を語るそのあり方の社会的不公正さを指摘したが、天羽氏の反論は稚拙で社会常識を欠くもので、ラチがあかなかった。
それでも2004年の前半くらいまでは、エッチアールディ社の業績は伸びていたし損害も軽微だったのだが、2004年の後半頃からは社会状況が変化し、ウエブ2.0の時代となって、インターネット人口が増大し、検索エンジンが高速かつ膨大になり、その影響で営業の実害が顕著になった。
私のグループは当時2000人近くになっていたが、いくら説明会や実験などで本人が納得しても、家に帰って、息子や娘に相談すると、インターネットでエッチアールディとかダイポールとかで検索すると、お茶の水女子大学の公式ページにある「水商売ウォッチング」が出てきて、お母さん、お茶の水女子大学がインチキだと言ってるよ、ということになって商談が次々につぶれるということが、ひんぱんに起こるようになった。
これが無名の天羽優子氏の個人サイトなら、天羽って誰よ?というだけのことで、販売側としては、「そうですねぇ、誰かが勝手に言ってるみたいですねぇ」でおしまいなのだが、お茶の水女子大学の公式サイトであることが、人々に強い影響力を及ぼすのである。そのことは、このサイトに投稿する者たちも心得ている。
[22381] 忠告のききめ
こなみ のコメント: 2006-09-29 09:08 :
公的機関である「産業技術総合研究所中部センター」というところから来たメールの効き目は自治体にとってはかなり大きいでしょう。女子大きょーじゅからだとよくある変人学者の突っ込みにしか取られないことも。それにしても柘植さんの文章はよく練られていると思います。じわりと効き目がありますね。
[22390] 大成功
SSFS のコメント: 2006-09-30 01:12 :
いや、素晴らしい反応です。こういう自治体が増えれば、ニセ科学で頭を悩ます機会は減るでしょう。ってことで、go.jpからの情報発信を今後ともよろしくお願いしますです。
>女子大きょーじゅからだとよくある変人学者の突っ込みにしか取られないことも。
なことはありませんよ。ac.jpからのメールだって、かなりのプレッシャーを与えることが期待できるでしょう。
注:go.jpは政府関係 ac.jpは大学、研究関係のURL
実にさもしい心根である。
とにかく、私はグループのリーダーとして、お茶の水女子大学に善処を求める必要があると考えて、2005年の夏に書いたのが「お茶の水女子大学への要求書」であり、それを10月にお茶の水女子大学学長に提出した。ところがお茶の水女子大学は、クレームを言うためには大学の書式があるので、それにしたがって書けと、呆れた回答だった。自分のサイトに問題があるという、外部からのクレームに対して、自分のところの書式で届け出なければ受け付けない、などというノー天気な組織はお茶の水女子大学くらいなものだろう。こんな返答をしたら、民間企業なら一発で「炎上」、官公庁でもこんな回答はしないだろう。
しかし仕方がないので書式に記入して再提出したら、今度は、要求する当事者としての法的な資格があることを明示しろと言ってきた。
「水商売ウォッチング」で批判されているのはエッチアールディ社であり、私は同社と契約してその製品の販売をしている販売員に過ぎない。本体のエッチアールディ社が動かないのに、私だけが突出して動くわけにもいかない。だから、法的な資格という点では弱いことは初めから分かっている。だから裁判ではないのである。
私の行動は、大学はどう思うのか、このサイトをそのまま放置して恥ずかしくないのか、という問いかけであり、裁判ではなく、学内世論を喚起しようと言う、政治運動であり社会運動であり、お茶の水女子大学の正門でビラを撒くような話である。「水は変わる」の第4章でも、お茶の水女子大学の学生や卒業生に呼びかけている。そして、学長がダメなら学部はどうか、と2006年3月に理学部長に問うてみたが、そこでもまったく同じ回答だった。
さて一方、お茶の水女子大学に上記の要求書を提出していたころ、公正取引委員会は、「ぬめりが取れる」などの「効果」について、エッチアールディ社に対してその科学的根拠を問うてきた。そして公正取引委員会は、期限内にそれに答えられなかった(答えたのだが、公正取引委員会に却下された)エッチアールディ社に、2005年12月末に排除命令を出し、エッチアールディ社はそれに屈服した。
こういう時系列と発生の経緯だから、「お茶の水女子大学への要求書」と公正取引委員会の排除命令とは直接の関係はない。
私は、エッチアールディ社の「科学的説明」に間違いが多々あることを知っている。だから個人契約の販売員の立場ではあるが、それを修正するようにできるだけアドバイスはしたが、相手は私の命令で動く組織ではないし、ふつうの中小企業と同様、基礎的な学問を欠く人々なので、修正できなかった。だから私のグループでは、会社の説明員を呼ばずに私自身が説明するようにし、科学的に分かっていることだけを伝えるようにしていた。
しかし、会社の説明が科学的に間違っていても、製品が起こす事実は事実なのだ。実際に、ぬめりが取れるし、ごはんはおいしくなるし、洗剤は減らせるし、いやな臭いは軽減されるし、風呂は気持ちよい。そのことで消費者からの不満は無かったし、不公正な取引など無かったのである。
私は、エッチアールディ社に対する排除命令は不当だと考える。
公正取引委員会とは、取引の公正を期するための委員会である。その権力の発動の条件として、原則的に言って、取引が公正に行われていないという前提がなければならない。取引が公正に行われていない、という前提条件のないところ、すなわち、どこにも被害者がなく正常な取引が行われているところに、恣意的に介入する事は許されない。それは権力の濫用である。もしそれが許されるなら、公正取引委員会はいつでもどこでも介入できることになる(現状は実際にそうなっているようにも思えるが)。そんなことは警察にも許されないことだ。
ぬめりがとれると言われて消費者がそれを購入し、それで実際にぬめりがとれて消費者が満足している時、公正取引委員会には「ぬめりがとれることの科学的な根拠を示せ」と介入してくる権限はない。それが法の理であり、法の精神であり、この国のあり方である。
そして実際、エッチアールディの製品に対して消費者の不満はなかったのだから、公取が介入すること自体が不当だったのであり、エッチアールディ社は自信をもって公取と争うべきだったのである。
しかし、排除命令は出てしまい、エッチアールディは屈服した。だからその命令は守らなければならない。私は、そんな命令は守らないぞ、などと言ったことはない。
ニセ科学批判者たちは今、私がそう言ったかのように言っているが、それは意図的で陰湿な言い掛かりである。私が言っているのは、エッチアールディ社に対する排除命令は不当だ、ということと、同じことが私に降りかかったら、私は同社のように安易には屈服しない、ということである。
さて、これは別の問題だが、公正取引委員会に屈服した後、エッチアールディ社内部で、創業者を追放し、技術者を追放するなどの動揺が起こり、技術者がいないため製品の耐久性の欠陥や価格などが改善される可能性がなくなった。
私は磁気活水器の不思議さに感動して、できるだけ多くの人々にそれを伝えようと活動していたのだが、その時点で私は、エッチアールディ社は磁気活水器を本格的に普及する能力を失った、と判断して2007年の1月末で同社との個人契約を解消し、「マグローブ」という磁気活水器を独自で開発して、新しい会社を興して、その製造と販売を行うこととした。
そしてエッチアールディ社の販売員をやめたことで、私は、「水商売ウォッチング」に限らず、インターネット上で私個人や、私の会社、製品に対する不当な書き込みがなされた場合に、エッチアールディ社の意向に左右されることなく、その是正を要求する法的な立場とフリーな立場を確保したのである。
そしてその機会はすぐにやってきた。
つづく