<榎本大輔氏>
「無重力というものが、どういうものなのか、地球では体験できないので、一番楽しみです」」
2年前、日本初の民間人宇宙飛行士を目指すと語り、脚光を浴びたライブドアの元取締役最高戦略顧問の榎本大輔氏。
この榎本氏が最高顧問を務め大株主だったIT関連会社で不正な株価のつり上げが行われ、多額の売却益を上げた疑いが浮上している。
果たしてその手口とは!
不可解な買収劇の真相にサツ担が迫った。
榎本氏が最高戦略顧問を務めていたのは、東京のIT関連会社「アイシーエフ」(現:オーベン)。
関係者によると榎本氏は4年前、アイシーエフの顧問に就任する際、当時の幹部にこう持ちかけた。
「自らを顧問にすれば、株価が上がる」
とは言いつつ、榎本氏は1日しか出社せず半年で退任。
しかし、実際その間、アイシーエフの株価はその年度の最高値となる49万円を達成し、最終的に榎本氏は5億円の売却益を得たとみられている。
こうした株価急伸の背景にあったのが…。
株式交換による企業買収。
4年前からアイシーエフは広告会社や駐車場運営会社など16の企業を次々に買収し、「優良企業を買収した」と投資家にアピールすることで株価を上げてきた。
しかし、フタを開けてみると買収した企業のうち3社がすでに破産・解散。
1社が休眠状態、9社が売却されるなどほとんど利益を上げていない企業ばかりだった。
<記者>
「企業買収を繰り返したアイシーエフは、大阪の広告会社にも触手を伸ばします。こちらの広告会社が超過債務に陥っていたにもかかわらず、8億円の価値があるとして買収していたのです」
広告会社「大阪第一企画」。
社員が数人にしかおらず、債務超過に陥っていた大阪の零細企業だ。
この買収劇に今、疑惑の目が向けられている。
この買収にもう1人深く関与したとされる人物がいる。
アイシーエフの大株主であり、パチンコの攻略本などを販売する「梁山泊」グループの元実質経営者だ。
元経営者らは買収の直前、大阪第一企画への7,000万円の増資を引き受けた上で、急きょ、梁山泊との広告取引を活発にし、月額売り上げ高1億円の優良企業に仕立て上げた。
しかし、大阪第一企画の元社長は当時の取り引きの実態について、こう語る。
<大阪第一企画・元社長>
「梁山泊からA社に広告が行っていたところに、大阪第一企画が1枚はいってきたんです」
(Q.大阪第一企画を通して1億円は抜けていった?)
<大阪第一企画・元社長>
「利益としては500万円。(マージンとしての)0.5パーセントの粗利」
アイシーエフは、そんな会社に対し8億円の価値があると算定し、株式交換により買収。
大阪第一企画は、アイシーエフ株を大量に取得した。
ところが―
<大阪第一企画・元社長>
(Q.社長に株は入った?)
「入ってないです。全然入ってないです」
株の扱いは梁山泊の元経営者らに一任され、複数の関係者の手を渡り市場で売却され、多額の利益を生んだとされる。
サツ担の取材にアイシーエフ関係者は「大阪第一企画に8億円の価値をつけた評価算定はズサンだった」と話し、ライブドアの元監査役で広告会社の評価を行った人物も、警察などの調べに「言われるがままに評価書を書いた」と話しているという。
これらの買収はアイシーエフの株価を不当に吊り上げる為のものだったのか?
サツ担は当時、アイシーエフの最高顧問だった榎本氏を去年6月に訪ねた。
<サツ担>
「すいません、榎本さんのお宅ですよね?」
<榎本大輔氏>
「どちら様ですか?」
<サツ担>
「毎日放送の者なんですけど、アイシーエフの件でお伺いしたいんです」
<榎本大輔氏>
「…、…」
<サツ担>
「毎日放送なんですけど、アイシーエフの関連で捜査を受けていると聞いたんですけど、事実ですか?」
<榎本大輔氏>
「ちょっとわからないです」
榎本氏は、取材には一切応じようとはしなかった。
<サツ担>
「アイシーエフによる買収の時にも関与された?」
<梁山泊グループ元実質経営者>
「事実と関係ないことは取材を受けない」
<サツ担>
「榎本大輔さんは?付き合いはないんですか?」
<梁山泊グループ元実質経営者>
「ない、ない」
大阪府警と証券取引等監視委員会は、アイシーエフの株主や旧経営陣らが投資家をだます目的で、不正な株式交換によって株価をつり上げ多額の売却益を得たとして、捜査に乗り出してる。
榎本氏が株の取引を指示したメールも押収されていることから事情を聴く方針で、立件に向けた捜査は大詰めを迎えている。
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