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糸井 |
結婚していたころは、
生活があったから、
いちばん寝てたとおっしゃってましたけど、
そのころっていうのは、
さまざまな楽しいことを
やらずにいたんですか。 |
さんま |
休んでましたね。 |
糸井 |
休めるもんなんですね。 |
さんま |
だから、そのときは、やっぱり、
顔は生き生きしてないですよね。
活気がなかった。 |
糸井 |
(笑) |
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さんま |
幸せに浸ってるからなのか、なんなのか‥‥。 |
糸井 |
幸せだから、活気がなくなる? |
さんま |
もう、幸せによって、
自分の生活を乱されてるわけですから。 |
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糸井 |
はははははは、すごい話ですね。 |
さんま |
世間の常識からいうと逆なんですけど、
まぁ、ペースを乱されてたと思いますね。 |
糸井 |
はぁーー。
まあ、その、ぼくらは当事者じゃないんで、
そういう結婚生活なんかも、
見世物を見るように見てるわけですけど。 |
さんま |
はい、はい。 |
糸井 |
さんまさんの好きな
『ロードランナー』じゃないけど、
「必死になって逃げてるさんまがおもしろい」
って、キャッキャと喜んでるわけですから。
その意味では、大衆っていつも残酷で。 |
さんま |
それはもう、もちろん、そうです。 |
糸井 |
たぶん、さんまさんは、
そういう大衆に応えまいとしながら、
バランスを取っていると思うんだけど、
たまに、大衆に応えてしまっているような。 |
さんま |
クワー(笑)。 |
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糸井 |
求められてるなら
「応えてやれ!」みたいな(笑)。 |
さんま |
いや、こっちから選べるようなね、
そんな余裕はないですけどね。
自然とそうなってしまってる感じで。 |
糸井 |
「ほっといてくれよ」って
言ったことはないんじゃないですか。
こっそり、あるんですか。 |
さんま |
え、世間に対してですか。 |
糸井 |
ええ。 |
さんま |
ああ、それはないですね。 |
糸井 |
タレントさんがね、
「いい加減、休ませてくれよ」って
思う気持ちは、ぼくにはわかるんですよ。
みんな、そう言いたい気持ちを
押し殺して仕事しているというか。
でも、さんまさんの場合は、そこで
「ほっといてくれ」って言うかわりに
逆にひねって笑わせようとするというか。 |
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さんま |
ま、それなりにね。
伝わる伝わらないはべつにして、
なんとかしようとしてますけどね。 |
糸井 |
いちばんキツいときにこそ、
どうおいしくひっくり返すか、
考えてますよね。 |
さんま |
クワー(笑)。 |
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糸井 |
まぁ、自分の人生に踏み込んでまで
そういうことやるのは、
とんでもなくたいへんだとは思いますけど。 |
さんま |
あの、ちょうど昨日もそういう話になってね。 |
糸井 |
はい。 |
さんま |
その、シリコンをね。 |
糸井 |
はぁ。 |
さんま |
ちんちんに入れるかどうか、という。 |
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糸井 |
(笑) |
さんま |
ま、それは悩むなぁ、っていう話なんですけど。
あのね、ま、入れるとしますよね。 |
糸井 |
シリコンを。ちんちんに。 |
さんま |
ええ。入れたとして、それはいいと。
ところがね、死んだときにね、
たとえば80歳くらいで死んだときに、
シリコンが入ってるジジイなんていやだと。
とくに、家族とか。 |
糸井 |
ははははははは。 |
さんま |
本人、げっそりしてるのにね、
前だけ、持ち上がってるというのは。 |
糸井 |
家族は困りますね(笑)。 |
さんま |
困るでしょう?
そういう話になったんですけど、
まぁ、みんなが言うには、
「それ、やってくれ」と。 |
一同 |
(爆笑) |
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糸井 |
「おまえにはやってほしい」と。 |
さんま |
「とにかくやってくれ」と。
あの、笑うと。とにかく。 |
一同 |
(爆笑) |
さんま |
その、たとえば看護婦さんがね、
最後、看取ったあとでね、
なんか、霊安室かなんかに運ぶ。
で、まぁ、入ってるのわかりますよね。 |
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糸井 |
ははははは。 |
さんま |
で、ナースステーションみたいなところに
看護婦さんが帰ってね、
(手で口をおさえながら小声で)
「‥‥あの人、シリコン入ってます」
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一同 |
(爆笑) |
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さんま |
もう、絶対、話題になるじゃないですか。
それ以前に、検査とかでね、
CTスキャンみたいなやつ、
撮るじゃないですか。 |
糸井 |
あははははははは。 |
さんま |
もう、輪切りですからね。
でも、そのときに、医者は、
ぼくの前では笑わないと思うんですよ。
ところが、医者どうしの部屋で、
「おい、これ、絶対言うたらあかんけど」
ということになると。ウケる、と。 |
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一同 |
(笑) |
さんま |
けどねぇ、やっぱり家族がねぇ。
娘が、万が一、あのぅ、それを見ると、
たぶん、一生、ぼくのこと
嫌いになったままだと思うんですよ。 |
糸井 |
ウケない(笑)。 |
さんま |
いまる(娘さん)は
絶対、笑わないと思うんですよ。 |
糸井 |
なるほど(笑)。 |
さんま |
はい。だから、やっぱり、やめとこと。
死んだときは、娘には、
「お父さん、痩せてたね」とか
そういう会話をしてほしいと。 |
糸井 |
ふつうに「痩せてたね」と(笑)。 |
さんま |
ところが、まわりのタレントたちは、
「いやぁ、入れて死んでほしい!」
というわけですよ。 |
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糸井 |
(笑) |
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(続きます) |