第4回 昔から、ずっと
糸井 さんまさんのような生活は、
マネしようと思って
マネできるものではない、と。
さんま あの、まず、大きく間違ってるのは
寝ないんじゃなくて、
僕は寝れないっていうことでね。
糸井 ああ、そうですね。
さんま どうも、そこを誤解している人が多い。
糸井 あの、「寝られない」っていう人は
ふつう、もっと悩んでるんですよね。
さんま クワー(笑)。
糸井 お医者さんとかに相談してね、
「あの、先生、ぼくは寝られないんですよ」
「それは困りましたね」っていうふうに
ふつうはなるはずなんです。
ところがさんまさんは、生き生きしてるから。
さんま クワー(笑)。
糸井 まあ、あの、さんまさんは
とくに心配はしてないでしょうけど、
いちおう安心させるようなことを言うと、
ぼくも、この特集を通じて、
多少は眠りについて勉強したんですけどね。
さんま はい。
糸井 睡眠時間3時間ぐらいの人っていうのは、
あるパーセンテージでけっこういて、
けっきょく、DNA、遺伝なんですって。
さんま はぁ、なるほど、なるほど。
糸井 で、そういう、遺伝的に眠れない人は、
3時間しか寝られなくても
本当に平気なんだそうです。
たとえ、「目を閉じて眠る」ということを
あんまりしていないとしても、
どこかで体は自然に休みを取って、
うまく取り戻してるんですって。
さんま なるほど、なるほど。
糸井 寝られないんだって悩んでる人も、
じつはふつうに暮らしていけるはずなんだと、
睡眠を研究している人が言ってました。
だから、さんまさんも、ほんとは
睡眠導入剤も要らないのかもしれない。
さんま ああ、そうなんですか。
いや、でも、ぼく、
睡眠導入剤飲まなかったら、
まる2日間くらい、
ずっとハイテンションな状態で
暮らすことになりますよ。
糸井 本当にそんななんですか(笑)。
さんま ええ。
だから、寝れないっていうほうが正しい。
これもう体がそうなってしまってるから。
糸井 わかいころはどうだったんですか。
学生時代とかは。
さんま いや、学生時代は、そりゃ‥‥
学生時代も寝なかったですけど。
糸井 昔から(笑)。
さんま 睡眠時間はかなり少なかったですねぇ。
やっぱり、しゃべるのが好きで、
つねにおもしろいことを
考えようとしてるから、
いっつもテンションが高いんです。
で、それがウケると、こう、
もうひとつ、入るんですよね。
糸井 スイッチが入って、
つぎのレベルに。
さんま ええ。だから、中学校時代から、
いや、まあ、小学校時代から。
糸井 ずっと(笑)。
さんま ええ。ネタみたいなことつくったりして、
人前でそれをやってるウケることが、
やっぱり影響してるんですね。
で、遺伝とおっしゃいましたけど、
うちの親父がやっぱりそういう性格なんです。
糸井 あー、そうなんですか。
さんま いや、ずっとしゃべってるとか、
そういうことじゃないですよ。
親父は、まぁ、生活のためにね、
寝ないでがんばるような人で。
糸井 ほう。
さんま 奈良で水産加工業をやってまして、
さんまをひらきにして、
新聞紙を詰めて、水分をとって、
それを大阪の中央市場に卸さなきゃいけない。
糸井 なるほど。
さんま 夜の11時までかかって裏山で荷を積めて、
で、3時ぐらいに起きて、
大阪に持って行くっていう生活をしてて。
やっぱり3時間くらいしか
寝てなかったと思うんですよね。
糸井 ああ、じゃあ、もうそこは同じなんですね。
さんま ええ。だから、いま、
遺伝、DNAと聞いて、
ああ、なるほどなとは思いましたけど。
糸井 ネタを考えたりしてるわけじゃないけど。
さんま むこうは生活のためなんですけどね。
親父は、おじいちゃんの仕事のミスで
奈良に移らざるをえなかったという人で、
そのミスを挽回するために
そういう生活をしてたんですよ。
で、こっちは、まあ、
学校でみんなを笑かさなきゃいけないという
使命を勝手に背負ってますから。
糸井 ふはははは、ま、目的は違うけども、
ベクトルとしては似ている。
さんま うん。だから、そこ、そこだと思う。
糸井 さんまさんの場合はそれが
「笑かすこと」に向いちゃっただけで。
じゃあ、あれですね、
もともと、できる子だったのが
適職を見つけちゃったんだね。
さんま そうそうそう、適職。
いや、そうですかね?
一同 (笑)
  (続きます)

2008-01-23-WED

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN