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北海道4年、日ハム黒字に ロッテ・楽天も売り上げ増

2008年01月18日11時00分

 プロ野球パ・リーグで連覇した日本ハムの07年決算が、北海道に移転してから4季目で初めて黒字になったことが分かった。観客動員が伸びたのと、新庄の引退や小笠原の移籍で人件費を減らせたのが大きな要因だ。パ球団の黒字化は珍しい。

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昨季の札幌ドームには、多くの日本ハムファンが足を運んだ=昨年10月、札幌ドームで

 黒字幅は不明だが、藤井純一・日本ハム球団社長によれば07年の総収入は約100億円。親会社日本ハムからの広告宣伝費三十数億円は変わらないなか、移転1年目の04年に約17億円あった最終赤字から、黒字転換につなげた。

 観客動員はレギュラーシーズンの主催試合全体で183万人と前年比14.3%増、1試合あたり約2000人増えた。その入場料収入38億円に加え、交流戦の優勝賞金5000万円や日本シリーズの分配金7400万円と「臨時収入」も経営を潤した。「チームが日本シリーズまで勝ち進んでお客さんが集まってくれたおかげ」と、藤井社長は分析する。

 ただ好成績による「特需」に頼った面が大きい。

 ダルビッシュや稲葉ら2年続けて活躍した選手が多く08年の人件費は、07年より約2億5000万円増える見込みという。藤井社長は「地道にファンサービスをやっていきたい」と話している。

 大坪正則・帝京大経済学部教授(スポーツ経営)は「地域密着のファンサービスがパ・リーグで花を開きつつある」と話す。北海道などの地方局では、パの試合の視聴率が巨人戦を上回っており、「プロ野球の中で起きつつある、大きな変化の象徴が日本ハムの黒字かも知れない」ともいう。

 日本ハムは07年からファンクラブの会員を年ごとに募るのではなく、自動更新に変更し06年の4万1000人から6万人へと伸ばした。札幌以外のファンを開拓するために釧路や帯広など道内4都市で公式戦を開催。06年に好評だった女性向けの割引入場券も続け、いまや「観客の55%が女性」(藤井社長)。

 「1試合で1億円」と言われてきた巨人戦の放映権があまり見込めないパ・リーグだが、将来の見通しを楽観的に見ているのがロッテと楽天だ。ロッテの07年の売り上げは前年比9億円増の85億円。02年からは5倍増。赤字幅は前年より十数億円改善したといい、重光昭夫オーナー代行は「いずれ、収支をトントンにしたい」と言う。

 楽天も本拠球場を改修した経費を償却しているため赤字だが、島田亨新オーナーは昨年11月の就任会見で「売り上げは上昇傾向にある。球場の償却を抜かせばトントンに近い。キャッシュフローではプラスで、自立的経営ができている」。

 両球団とも観客動員が好調で、昨季はロッテが04年に続く球団史上2度目の150万人を突破。楽天も昨年は本拠フルスタ宮城(現Kスタ宮城)での観客動員が初めて100万人を超えた。主催72試合の合計は112万人弱で、1試合平均の前年比では、リーグ唯一の2けた成長となる10.9%の伸び率だ。

 地域密着の先駆けとも言えるソフトバンクの07年観客動員はリーグ1位の230万人。27億円の赤字を出した前年より27万人伸ばした。本拠ヤフードームの観客席を現在の3万6000人弱から、早ければ09年開幕までに約4万6000人収容にする計画を打ち出している。

 一方で、西武は昨季の観客動員が109万3471人で球団ワースト、リーグでも初の最下位に転落した。球団創設30周年の今季、地域密着を打ち出し球団名に元日から埼玉を加え「埼玉西武ライオンズ」とし、大宮で初の公式戦も開く。

 昨年中に神戸からの撤退を決め、今年から京セラドーム大阪へ本拠を絞るオリックスも、観客動員が前年比で1試合平均22.7%も減った。地域密着への取り組みに吉田英樹球団常務は「コツコツやっていきたい」。

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