いまさら、どんな紹介もいらないでしょう。
明石家さんまさんの登場です。
今回、ほぼ日で「睡眠」の特集をするにあたり、
この人が出てくれたら最高だなぁということで
夢のように名前を挙げていたのが
「とにかく寝ない人、明石家さんまさん」でした。
ほぼ日にかぎらず、こういった取材ものには
ほとんど登場しないといわれる明石家さんまさんですが、
多忙を極める中、時間を割いてくださいました。
脱線大歓迎、というスタンスで臨んだ糸井との対談は、
予想どおり、いえ、予想をいい意味でおおいに裏切る
「おもしろい時間」になりました。
全17回、どうぞたっぷりお楽しみください。
ああ、そうそう、この対談は期間限定の掲載となります。
睡眠特集の終了とともに読めなくなってしまいますので
どうぞ、読み逃しのないように!

「いつか無くなるものを求めちゃいかんのだよ。
無くなるものは、求めるためではなく、
そいつで遊ぶために、この世にあるんだからな」
(『セフティ・マッチの金の言葉』より)

第1回 寝ない人 第10回 動物とサッカー
第2回 ずっと元気 第11回 ハズレをつかむ快感
第3回 そんな生活はできない 第12回 落合采配
第4回 昔から、ずっと 第13回 考えてる時間
第5回 寝てられない 第14回 生きてるだけで丸儲け
第6回 シリコン 第15回 追いつかないんですよ
第7回 さんまシステム 第16回 幸せってなんだっけ?
第8回 負けてるときは 第17回 師匠
第9回 ピヨヨヨヨン    
第4回 昔から、ずっと
糸井 さんまさんのような生活は、
マネしようと思って
マネできるものではない、と。
さんま あの、まず、大きく間違ってるのは
寝ないんじゃなくて、
僕は寝れないっていうことでね。
糸井 ああ、そうですね。
さんま どうも、そこを誤解している人が多い。
糸井 あの、「寝られない」っていう人は
ふつう、もっと悩んでるんですよね。
さんま クワー(笑)。
糸井 お医者さんとかに相談してね、
「あの、先生、ぼくは寝られないんですよ」
「それは困りましたね」っていうふうに
ふつうはなるはずなんです。
ところがさんまさんは、生き生きしてるから。
さんま クワー(笑)。
糸井 まあ、あの、さんまさんは
とくに心配はしてないでしょうけど、
いちおう安心させるようなことを言うと、
ぼくも、この特集を通じて、
多少は眠りについて勉強したんですけどね。
さんま はい。
糸井 睡眠時間3時間ぐらいの人っていうのは、
あるパーセンテージでけっこういて、
けっきょく、DNA、遺伝なんですって。
さんま はぁ、なるほど、なるほど。
糸井 で、そういう、遺伝的に眠れない人は、
3時間しか寝られなくても
本当に平気なんだそうです。
たとえ、「目を閉じて眠る」ということを
あんまりしていないとしても、
どこかで体は自然に休みを取って、
うまく取り戻してるんですって。
さんま なるほど、なるほど。
糸井 寝られないんだって悩んでる人も、
じつはふつうに暮らしていけるはずなんだと、
睡眠を研究している人が言ってました。
だから、さんまさんも、ほんとは
睡眠導入剤も要らないのかもしれない。
さんま ああ、そうなんですか。
いや、でも、ぼく、
睡眠導入剤飲まなかったら、
まる2日間くらい、
ずっとハイテンションな状態で
暮らすことになりますよ。
糸井 本当にそんななんですか(笑)。
さんま ええ。
だから、寝れないっていうほうが正しい。
これもう体がそうなってしまってるから。
糸井 わかいころはどうだったんですか。
学生時代とかは。
さんま いや、学生時代は、そりゃ‥‥
学生時代も寝なかったですけど。
糸井 昔から(笑)。
さんま 睡眠時間はかなり少なかったですねぇ。
やっぱり、しゃべるのが好きで、
つねにおもしろいことを
考えようとしてるから、
いっつもテンションが高いんです。
で、それがウケると、こう、
もうひとつ、入るんですよね。
糸井 スイッチが入って、
つぎのレベルに。
さんま ええ。だから、中学校時代から、
いや、まあ、小学校時代から。
糸井 ずっと(笑)。
さんま ええ。ネタみたいなことつくったりして、
人前でそれをやってるウケることが、
やっぱり影響してるんですね。
で、遺伝とおっしゃいましたけど、
うちの親父がやっぱりそういう性格なんです。
糸井 あー、そうなんですか。
さんま いや、ずっとしゃべってるとか、
そういうことじゃないですよ。
親父は、まぁ、生活のためにね、
寝ないでがんばるような人で。
糸井 ほう。
さんま 奈良で水産加工業をやってまして、
さんまをひらきにして、
新聞紙を詰めて、水分をとって、
それを大阪の中央市場に卸さなきゃいけない。
糸井 なるほど。
さんま 夜の11時までかかって裏山で荷を積めて、
で、3時ぐらいに起きて、
大阪に持って行くっていう生活をしてて。
やっぱり3時間くらいしか
寝てなかったと思うんですよね。
糸井 ああ、じゃあ、もうそこは同じなんですね。
さんま ええ。だから、いま、
遺伝、DNAと聞いて、
ああ、なるほどなとは思いましたけど。
糸井 ネタを考えたりしてるわけじゃないけど。
さんま むこうは生活のためなんですけどね。
親父は、おじいちゃんの仕事のミスで
奈良に移らざるをえなかったという人で、
そのミスを挽回するために
そういう生活をしてたんですよ。
で、こっちは、まあ、
学校でみんなを笑かさなきゃいけないという
使命を勝手に背負ってますから。
糸井 ふはははは、ま、目的は違うけども、
ベクトルとしては似ている。
さんま うん。だから、そこ、そこだと思う。
糸井 さんまさんの場合はそれが
「笑かすこと」に向いちゃっただけで。
じゃあ、あれですね、
もともと、できる子だったのが
適職を見つけちゃったんだね。
さんま そうそうそう、適職。
いや、そうですかね?
一同 (笑)
  (続きます)
   
2008-01-23-WED

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN