産科病床稼働率104%/07年県立中部病院
県立中部病院総合周産期母子医療センターの産科病床稼働率が二〇〇七年は年間104・3%に上ったことが分かった。分娩数は七百九十一件で、うち二割に当たる百七十七件が緊急搬送による受け入れだった。病床が常に満床以上の状態である上、重症事例も増加しており、同センターは、県立北部病院の産婦人科休止で北部地区からの搬送増加や、出産までに病院を受診しない「飛び込み出産」・若年妊産婦の増加―などが背景にあるとみている。(黒島美奈子)
総合周産期医療センターは妊産婦と新生児専門の救命救急センター。県内には、県立南部医療センター・こども医療センターと、県立中部病院の二カ所に設置されている。県周産期保健医療協議会が二十二日夜、那覇市内で開かれ、両センターの現況報告があった。
県立中部病院総合周産期母子医療センターの産科で受け入れたケースのうち社会的問題を抱えたケースは百十一件。うち飛び込み出産は四十件で全体の5%だった。病院を受診しない理由は、妊娠の検診料が払えない経済的理由や、精神疾患で妊娠に気付かなかった、介護や育児に追われて受診できなかった―などが多かった。
北部地区からの搬送の課題も指摘された。住居が病院から遠く離れているため、母親の退院後の通院が困難で、未熟児など出産後に支援が必要なケースで地域連携が十分に行えないという。
加えて新生児専任医師の恒常的な不足で、過重勤務が発生。九人の産婦人科医師のうち一人が病気休職中。一人は県立宮古病院産科に応援派遣されており、医師七人での対応を余儀なくされている。同センターの小濱守安医師は「病床が常に満床の状態で、重症な事例も増加しており、医療スタッフの精神的肉体的負担が大きい」と危機感を募らせた。
県立北部病院には昨年十二月に産婦人科医師二人が赴任したが、産科救急を扱うには少なくとも医師四人が必要で産科開始のめどは立っていない。小濱医師は「中北部の周産期医療の維持にはまだ小児科と産科の医師の増員が必要だ」と訴えた。