今週は、多くの週刊誌で、小沢一郎民主党代表をバッシングしている。

　私が「週刊現代」の編集長時代、毎週のように小沢批判を続けたが、この人は、いまだに、変わっていないようだ。以下の文章は、私が月に1回書いている東京新聞の「新聞を読んで」に載せようとした原稿の一部だが、急遽、他のテーマに変えたので、ここに掲載させていただく。


　文春も新潮もトップで取り上げていたが、小沢氏がリーダーの器ではないということで一致している。

　今週号の見出しを見て読みたくなったのは、「SPA!」の「実録ルポ　ネットカフェ難民の壮絶な年越しに密着!」だ。

　1月3日、新宿中央公園のNPO法人らによる「炊き出し」に来ていたネットカフェ難民歴10年という男性に話を聞いている。職場でのいじめが原因で静岡から上京し、日雇いや年に50回ぐらい献血に行って、飢えを凌（しの）いでいるそうだ。彼は、ネットゲームが生き甲斐だそうで、「ゲームをしながら死ねたら、最高です!」と話している。

　編集部員が、ネットカフェ難民と一緒に年越しをした潜入記も載っている。畳一畳ほどの個室で、200円の年越しカップうどんを買って食べようとするのだが、フロアの臭いが強烈すぎて、「完食できなかった」という。

　ネットカフェ難民からホームレスへの境界線は、ほんのわずかなのだろう。ネットゲームがやりたくて難民から抜け出せないというのでは、いやはやだが、働く意欲があっても働く場所がない若者たちを救ってやる手だてを早急に考えることは、政治家や経済人の喫緊の課題だと思うのだが、キヤノンで、偽装請負をしていたことが発覚しても、開き直る御手洗冨士夫会長が日本経団連会長でいるうちは、大きな期待はできないだろう。

　ところで、この記事の文中、気になる表記があったので、書いておく。「元旦朝5時の東京の場末、蒲田初詣帰り」とあるが、「蒲田」に「場末」という形容詞はいかがなものか。

　だいぶ前、講談社の某漫画雑誌で、「某市は恐いところ」というキャプションを付けて、そこから強い抗議を受け、大きな騒ぎになったことがあった。細かい表現ひとつでも、疎（おろそ）かにしてはいけない。

　今週のピカイチ記事は、文春の「江原啓之『インチキ霊視』　壇れい『死んだ父親』が生きていた」だ。私も、細木数子や江原の占いや霊視を、公共の電波を使って放送することに大きな疑問を持っている1人だが、今回の記事を読んで、なおさらその気持ちを強くした。

　女優の壇れいが江原の番組「オーラの泉」に出演したときのことだ。子どもの頃のことを話しながら、亡き父親からの愛の言葉と称して、江原が語ったメッセージに、彼女は泣き崩れたという。ところが、彼女が失ったのは、2度目の父親で、子どもの頃、一緒にいた父親は、離婚はしたが元気に生きていたのだ。それでは、江原は、誰の言葉を伝えたのか？　2人の父親がいるのを霊視できなかったのだ。

　文春は、「こんなところで霊視の“インチキ”が馬脚を現した」と切って捨てる。

　自分の前世や後生、背後霊を知りたいという人がいるのは分からないでもない。そうした人は、直接彼らのところへ行って、聞けばいいのだ。

　テレビ局は、視聴率が稼げるからといって、こうしたものを流し続けるのは、そろそろ止めたらどうか。彼らは、テレビの人気を利用して、「信者」たちから、多額のお金を取っているのだが、そうしたことへの責任に考えが及ばないのだろうか。

　そのうち、こうした番組のスポンサーになっている企業の社会的責任が問われることも、あると思うのだが。

【編集部注】 署名部分を修正しました。（2008/1/21 12:18）

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