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2008.1.21号を読む 2008.1.18号を読む

再診料はパブコメで国民に是非問う
診療所の再診料下げ、折り合わず 2008年度診療報酬改定で厚労相が諮問

2008.1.21

 舛添要一厚生労働相は18日、中医協総会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に、2008年度診療報酬改定を諮問した。これを受け総会では、次期2008年度診療報酬改定の「現時点の骨子」を了承した。日本医師会が猛反発している「診療所の再診料の点数引き下げ」は、骨子案の段階で明記されていた「引き下げ」との文言を明記せず、「病院と診療所の格差是正について検討する」との表現に修正した。

 厚生労働省は診療所の再診料を下げることで病院勤務医対策に財源を回すとの従来の考え方を変えていない。同日は、現時点の骨子についてパブリックコメントの募集を開始することを決め、診療所の再診料引き下げは、広く国民からの意見を聞いた上で最終的に判断することになった。

 総会に先立って開かれた診療報酬基本問題小委員会は、16日の小委に提示された骨子案について意見を交わしたが、診療所の再診料の引き下げについては意見の集約を図ることができなかった。支払い側は対馬忠明委員(健保連専務理事)が、「病院と診療所の点数格差を是正することが基本姿勢ではないか。議論としては、診療所の引き下げだけでなく、病院の引き上げも考えられる」と述べた。

 一方、診療側は鈴木満委員(日医常任理事)が「医師の技術料の象徴である再診料の引き下げは承服しかねる。診療所を下げずに、病院を引き上げる選択肢もある」と指摘。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)も「病診格差の是正の方向性は良い」と述べ、各側の意見は「病診格差の是正」という点では一致した。

 しかし、病院の再診料を引き上げるという選択肢について厚労省は、「可能性としてはあるが、勤務医対策の財源をつくらなければいけないことを考えると厳しい」(保険局医療課)としており、あくまで診療所の再診料を引き下げることを念頭に置いている。

● 外来管理加算の「時間」も両論併記

 このほか現時点の骨子では、慎重意見の多かった外来管理加算への「時間の概念の導入」については、「5分以上という時間の目安を設けるべきとの意見があった一方、外来管理加算は無形の技術に対する評価であり、時間のみで算定について判断すべきではないとの意見があった」と両論併記の表現とした。

 同じく時間の概念の導入で、各側で意見が割れていた人工透析については、「要した時間の長さに応じて人工透析を行った場合の評価を行う」とし、4時間以上の人工透析の評価を引き上げる方向で合意した。

 また、療養病棟入院基本料の引き下げについては、「医療区分1・ADL区分3の評価について配慮する」と明記。5分類の点数を一律に引き下げるのではなく、医療区分1・ADL区分3については引き下げ幅を小さくするなど配慮することになった。

 後期高齢者の診療報酬について厚労省は16日の小委で、外来管理加算の診療所の点数(57点)を病院の点数(47点)に統一する方向性を示していたが、現時点の骨子では、「診療所の外来管理加算を引き下げるべきではないという意見があった」と記し、両論併記の形とした。




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