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台湾総統選がスタート 大勝の国民党、楽観論に引き締め

2008年01月13日21時17分

 野党国民党が与党民進党に大勝した12日の台湾立法院(一院制の国会に相当)選挙から一夜明けた13日、両党は3月22日の総統選に向けてスタートを切った。民進党は陳水扁(チェン・ショイピエン)総統が党主席から引責辞任し、総統候補の謝長廷(シエ・チャンティン)氏が継承を表明。歴史的勝利に沸いた国民党も一転、楽観論を引き締めた。台湾では選挙の度に勝敗が大きく動く「振り子現象」が両党の関心事に上っている。

 「党創設以来の歴史的敗北」(陳総統)という事態に謝氏は13日朝、記者団に「死ぬ気で戦い、本当に反省しないと勝てない」と述べ、「落選したら政界引退する」と背水の陣を敷いた。

 謝氏は13日夜には地盤の高雄市で「反省」をテーマに数万人規模の決起集会を開き、再出発を誓った。だが高雄市でも5議席中3議席を失い、支持者の視線は「権力を手にしておごり、権力闘争に明け暮れた結果」(60代男性)と手厳しい。

 民進党の復活は70日後に迫る総統選で「振り子現象」をいかに起こすかにかかっている。

 台湾では一党独裁時代への嫌悪感から有権者の間に権力の集中を嫌う傾向が強い。00年と04年の総統選で勝利した民進党は、直後の01年や04年末の立法院選で国民党ら野党連合を議席数で超えられなかった。

 民進党は総統選で「総統職まで奪われたら国民党の一党独裁時代に逆戻りだ」とのキャンペーンを張り、有権者の危機感をあおって、振り子現象の再現を狙う思惑だ。

 一方、国民党に笑顔は意外なほど少ない。8年間失った総統職を取り戻さない限り、真の復権にはならないからだ。

 13日は国民党の指導者、蒋経国元総統の没後20周年記念日。北部の桃園県の遺体安置所に朝から総統候補の馬英九(マー・イン・チウ)氏、呉伯雄党主席らが集まって勝利を報告した。周囲には支持者が集まり、大きな拍手で馬氏らを迎えて「中華民国、万歳」と気勢を上げた。

 だが馬氏は厳しい表情を崩さず、「(振り子現象を起こさないよう)謙虚で慎み深くあるべきだ」と気の緩みを引き締めた。国民党は振り子現象を「いかに防ぐかが勝敗の鍵だ」(黄玉振・党スポークスマン)と警戒する。

 台湾の選挙制度に詳しい陳朝建・銘伝大学助教授は「台湾の有権者はバランス感覚が強く、今回の選挙結果も陳総統への批判の面が強い。ただ今回は総統選まで2カ月しかなく、有権者にバランス感覚が浸透して振り子現象が起きるには時間が短い」と話している。

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