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道立紋別病院、循環器科は閉鎖の危機〜医師の流出、歯止めかからず
(1月18日付け)
 道立紋別病院(及川郁雄院長)の医師不足が深刻化している。循環器科の常勤医2人が、今年3月末で退任するが、後任の医師確保のメドがまだ立っていない。後任がいなければ閉科という最悪の事態になり、連携する他科の診療や医師確保にも影響を与えそうだ。現在、同病院の常勤医は12人だが、このまま常勤医の減少が続けば、救急対応が行えない可能性も出てきた。同病院では「深刻な事態と受け止めている。医師確保に向けて全力であたっているが、今のところ出口は見えない」と頭を抱えている。
 循環器科は共に自治医大出身の常勤医2人の体制で運営しているが、1人は大学卒業後、地域医療に従事する義務年限が過ぎたため3月末で退職し、もう1人は研修のため大学に戻る予定だという。
 同病院でも後任の医師確保に奔走しているが、今のところ「非常に厳しい」と言う。
 循環器科は昨年11月現在で、入院患者が1日平均21人、外来が同46人、さらに人工透析を受けている患者は32人いる。このまま医師確保ができなければ、市内や近隣市町村の病院に回ってもうことも検討中だという。最悪の事態に備え、すでに一部の患者については、他院へ移ることについて意向を聞いているという。透析患者については、市内の曽我クリニックや、遠軽厚生病院、名寄市立病院などが考えられるが、道立紋別病院では「どこも空きがないか、少ない状況なので、受入れは厳しい状況にあると思われる。市内や近隣のまちが無理なら、旭川の病院に行かざるを得ない場合も出てくる」と予想する。
 紋別市内で人工透析を受けられるのは、道立紋別病院と曽我クリニックだけ。同クリニックでは20台の透析機を備え、一日平均の患者は18〜19人だというが、常勤医師が1人のみで、これ以上の受入れは難しい状況だという。ただ同クリニックと母体(医療法人社団耕仁会)が同じ医療機関・曽我病院(中湧別)では「(透析は)若干の余裕があり、ある程度なら受け入れることは可能」という。
 1日おきの人工透析を受けに、近隣や遠くのまちの病院へ出かけていく行く負担は大きいが、道立紋別病院では「どうしても遠くへ行けないという人のために、大学側から非常勤の医師を派遣してもらうことも考えているが、その確保すらも現状では厳しい。大学の医局そのものに医師の余裕がない」と言う。

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