ブラックホール蒸発、ホーキング理論をスパコンが検証2008年01月16日00時58分 重力がとても強くて光さえ抜け出せないブラックホールは、物質を飲み込む一方で熱を出し、いずれ「蒸発」する――。「車いすの科学者」として知られる英国のスティーブン・ホーキング博士が74年に提唱したこんな理論のうち、ブラックホール内部に熱源があるように見える理由が、モデル計算で確かめられた。理論の正しさが検証されたことになり、遠い未来にブラックホールが消えてしまうという予測が現実味を帯びてきた。 高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の西村淳准教授らのチームが、スーパーコンピューターで計算した。 宇宙の成り立ちを説明する究極の素粒子理論「超弦(ちょうげん)理論」をもとに、ブラックホールの中心部のモデルをスパコン内に構築。同理論ですべての粒子の本体とされる極小の「弦」が無数に生成・消滅し、合体・分裂をしながらさまざまに振動する様子を計算した。すると、こうした弦の反応の様子がホーキング博士の理論とよく一致した。 弦の反応は複雑で計算量が膨大になるため、これまで厳密なモデルはなかった。チームは弦の4つの基本振動パターンをうまく組み合わせ、無駄な計算を省いた。成果は米科学誌フィジカル・レビュー・レターズ電子版に15日、掲載される。 西村さんは「さらに計算能力を上げ、ブラックホールが蒸発する様子や、『宇宙は実は9次元空間だ』という超弦理論が求める宇宙構造などを検証したい」と話す。 PR情報この記事の関連情報サイエンス
|
ここから広告です 広告終わり どらく
一覧企画特集
特集
朝日新聞社から |