蔚山で鯨肉違法流通、国際問題化の恐れも
韓国海洋警察、取り締まりに本腰
蔚山のクジラ料理店が、鯨肉を購入できない事態に陥っている。違法な手段によるクジラの捕獲や取引に対する大々的な取り締まりが1カ月以上続き、肉の供給が事実上ストップしたためだ。
韓国沿岸でのクジラの捕獲は全面的に禁止されている。ただし、クジラが偶然に漁網にかかった場合や、死体が沿岸に打ち上げられた場合には、海洋警察が違法な捕獲行為の有無について調査した後、競売によって販売されている。
海洋警察は昨年11月末以来、蔚山の冷凍倉庫2カ所で、密猟の疑いがある鯨肉約2000箱を押収した。一箱当たり25キロ前後で、最大60頭分に相当する。これは昨年、韓国で肉が合法的に販売されたクジラ約200頭の30%に当たる。
海洋警察は「DNA検査の結果、押収した肉は当局に届け出られていないクジラのものであることが判明した」と発表し、冷凍倉庫の関係者や、蔚山市内の約40の鯨肉専門店関係者など約70人を呼び出して取り調べを行っている。
このため、鯨肉の供給がストップし、蔚山市内のクジラ料理店は12月中旬以降、1週間に1‐3回ずつ臨時休業するなど、営業に支障を来している。同市南区三山洞のある業者は「冷蔵庫に保管していた肉も今月末までになくなってしまう。向こう1、2カ月は開店休業状態が避けられない状況だ」と悲鳴を上げている。
一方、蔚山市や南区も困惑している。「クジラ特区」の指定申請や、蔚山沖でのホエールウオッチングの観光資源化など、「クジラ観光都市」構想の推進に支障を来すことが懸念されているためだ。同市関係者は「これでは“鯨肉違法流通特区” の烙印(らくいん)を押されてしまう」と心配している。
だが、海洋警察とクジラ研究所は「クジラの違法な捕獲や流通は、国際的に問題になりかねない」として、厳しい姿勢を取っている。国際捕鯨委員会(IWC)はここ数年の間、韓国でのミンククジラの違法な捕獲を問題にし続けている。IWCに報告されている、世界各国で偶然に漁網にかかったクジラの数は最大で5頭以下だ。だが、韓国では昨年、84頭のクジラが漁網にかかっている。海洋警察などは「IWCが“なぜ韓国だけクジラがこんなに漁網にかかるのか、理由を説明せよ”と求めており、国際的なイメージの低下が心配だ」と話している。
一方、蔚山のクジラ料理店は「蔚山では伝統的に鯨肉を食べる習慣が根付いており、全国の鯨肉消費量の80%以上を占めている。日本のように調査目的での捕鯨を認めるなど、政府レベルでのフォロー策が必要だ」と求めている。
蔚山=金学賛(キム・ハクチャン)記者
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