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沖縄集団自決:「村役場の独断」肯定の所見…防衛研が公開

 防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が、同研究所図書館に保存している第二次大戦時の沖縄・集団自決の資料に「戦隊長は自決命令を出していない」と断定的な見解を付けて公開していた問題で、別の資料の所見欄にも「集団自決が村役場の独断であるという貴重な証言」と表記したものがあることが新たに分かった。集団自決を旧日本軍が強制したかは、史実が確定しておらず、問題視する識者もいる。

 今回の資料の題名は、「渡嘉敷(とかしき)島及び座間味(ざまみ)島における集団自決の真相」。同研究所が(1)渡嘉敷村巡査だった比嘉喜順氏による「集団自決は赤松隊長の命令でなかった」とする証言(2)座間味島で旧日本軍の海上挺進(ていしん)隊第3戦隊長だった梅沢裕さんが、「集団自決は村の助役が申し出たもの。戦後、遺族が国から補償金をもらうため、戦隊長が命令したと話を作った」とする証言--の二つの資料の提供を受けて、一つにまとめた。

 資料の所見欄は、00年10月18日に同研究所の永江太郎調査員が記したと書かれている。「軍命令による集団自決とされていた両島の事件が、村役場の独断であり、戦後補償のために軍命令とした経緯に関する当事者の貴重な証言である」と書いていた。当時の防衛研究所戦史部長の印もあった。

 関東学院大の林博史教授(戦争論、平和学)は「事実が確定していない自決命令の問題について、旧日本軍側の証言を載せた資料を研究所が肯定しているのは問題」と話す。一方、高崎経済大の八木秀次教授(憲法学)は「所見は資料をまとめたもので、政治的な意味はないだろう。内容も間違っておらず、問題はない」と話している。【三木幸治】

 ▽広瀬琢磨・防衛研究所図書館史料室長の話 所見は資料保存の価値判断を示すため、内容を「要約」したもの。事実関係を解釈したものではない。所見を訂正する必要はない。

毎日新聞 2008年1月15日 2時30分

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