消費者庁はデンマークなどを参考に
福田首相「消費者が主役」発言は本気か!?
2008年の福田首相は、年頭に「消費者が主役の政治」という言葉を発した。
福田首相は、支持率回復の1つとして、多くの省庁に分散してまたがっている複雑な消費者行政の一元化を行ないたいようだ。そして、自民党は消費者庁創設案を実績にしたいようだが、どこまで本気なのか未知数である。
一般消費者が困っているレギュラーガソリンの高騰ひとつとって見ても、自民党は、今年で期限が切れるはずの、ガソリンの上乗せ暫定税率の10年延長を主張している。
その上、2007年は国民生活センターの縮小案を言っていた政府・自民党から、今年になるや、いきなり真逆の消費者庁の設立構想がでてきている。消費者庁を創設するということは、各省の利権や縄張りをもぎ取ってスリム化させる事も必要だが、自民党は多くの省を説得できるのか未知数だ。
私の意見は、現在の状況は消費者が主役ではなく、政官財の大物が主役としかいいようがないということだ。
日本のマスコミは現在のところ、自民党が言い出した消費者庁構想について、英米の行政との比較に忙しいようだが、私は北欧のデンマークの消費者庁のような官民合体効率化構想で進まないと、新しい庁も役人行政の権益の肥大化になってしまうと思う。
デンマーク消費者庁は、組織改革の過程で、消費者苦情委員会と消費者オンブズマンの事務局窓口との融合化がすすんだ。民間財団デンマーク消費者情報センターが、消費者庁の敷地内に併設されているのも特徴的だ。
世界20カ国の消費者保護機関共同プロジェクト「econsumer.gov」のサイト内に諸外国の消費者行政の日本語訳が掲載されている。「デンマーク消費者庁」もある。
私の考えた具体案をまとめてみた。
◇ 新しい消費者庁構想を天下りの温床や利権の温床にしないために、日本の国民生活センターでできることは、国民生活センターで行なってもらう。
◇ 消費者庁の人員は、地方消費者センターや、地方公共団体からの2年間ぐらいの逆出向者も検討して、官僚組織の硬直化と汚職を防ぐ。そして、消費者庁から、地方消費生活センターへの現場研修出向などで官僚色を弱める。
◇ 消費者庁と国民生活センターの敷地やビルの同一化で、土地や賃貸の非効率性を無くす。
◇ 消費者庁が設立された場合は、最初からキャリア採用は禁止。また消費者庁のトップには、特定企業の株を大量保有している人物の就任を禁止する。
自民党議員の考える消費者庁は、どこの国を参考にしているのか気になる。自民党がどんどん繰り出している観光庁構想や、消費者庁構想に、キャリア官僚制度の弊害を排除する工夫や手立てが含まれているようには思えない。
今の日本の消費者行政は、諸外国に比べて信頼度で大きな差をつけられている。福田首相の、今年は消費者が主役発言は、選挙前の猫なで声であって欲しくはない。
私達も、政府・自民党が消費者庁設立にあたってどこの国を参考にし、どこへ向かおうとしているのか考える必要がある。
参考 「国際安全衛生センター」 「国民生活センター」