韓国・江華島（カンファド）の非武装地帯に行ったのは、オーマイニュースの日韓市民記者交流会に、参加させていただいたからだった。交流会に応募したのは、「北東アジアの平和をどう構築していったらいいのか」という、チョン・セヒョン氏の講演を、聞きたかったからだった。2007年12月1日、午前中の講演のあと、午後は非武装地帯に行くことができた。

　韓国には兵役がある。朝鮮半島が南北に分断され、1953年から休戦状態になっている。江華島（カンファド）の北はイムジンガンで、38度線の非武装地帯を韓国兵が守っている。

　守っているという言葉で適切なのか、私にはわからない。でも、ほかに適切な言葉がみつからない。かつてのように、北朝鮮が攻めてくるのだろうか。

　日本には兵役がない。なくて当たり前だと思っている。憲法で「戦争放棄」と言っているのだから、軍隊はいらないはずだし、徴兵制にする必要もない。

　誰でも、平和を望んでいるはずだと、私は思いたい。だが、現実はちがう。

　非武装地帯という、最も重武装地帯で兵役中の、若い彼に「カムサハムニダ」と言ってみたところ、ふっと笑ったように見えたのは、私の目の錯覚かもしれない。笑ってほしかった。何を言ってるのか、意味不明だったのだろうか。

　でも、日韓の歴史を振り返れば、「ありがとう」では、すまないことは承知している。韓国語ができない私には、その言葉しか言なかったのだ。韓国語ができれば、聞いてみたいことは、いろいろあった。今になって、無知で軽薄な自分を恥じている。

　韓国にも米軍基地がある。在韓米軍は、全体としては縮小しているが、ピョンテクでは農民を追い出して、広大な田園地帯に米軍基地をつくっている。

　在日米軍は強化、恒久化され、「米軍再編」という名の「変容」を続けている。そして、自衛隊と一体化している。首都圏の横須賀にアメリカの海軍司令部があり、座間市、相模原市にまたがり、広大な陸軍司令部、そして横田に空軍司令部がある。自衛隊駐屯地とは国道16号でつながっている。