全国発信、広がる舞台――今年、新・ABCと「プリーゼ」誕生

 
              
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全国発信、広がる舞台――今年、新・ABCと「プリーゼ」誕生

2008/01/08配信

    5月に開館する新・ABCホール
    5月に開館する新・ABCホール

今年、大阪市内に舞台関係の本格的ホールが2館誕生する。5月にオープンする「新・ABCホール」(福島区)と、11月開館の「サンケイホールブリーゼ」(北区)だ。新施設は関西の文化を盛り上げるとともに、全国に向けた企画の発信拠点も目指している。

 「サンケイホールブリーゼ」は客席数912の大型ホールで、2005年に閉館したサンケイホール(1425席)の後継施設。座席や壁面を黒で統一した内装が特徴で、演劇・演芸のほかコンサートなどにも活用する。

サンケイホールブリーゼで米団治襲名披露公演を開く桂小米朝
サンケイホールブリーゼで米団治襲名披露公演を開く桂小米朝

 オープン特別公演の目玉の1つは、落語家の桂小米朝が5代目桂米団治襲名を披露する公演(11月27日)だ。米団治は実父、桂米朝の師匠の名。落語界のプリンスと将来を期待されてきた小米朝にとって、真価を問われる公演となる。前身のサンケイホールは長く米朝一門の落語会の拠点だっただけに、小米朝の思い入れも強く「ホームグラウンドにしたい」と話す。

 ブリーゼは、自主企画作品の全国発信に力を入れるという。関西出身の俳優、生瀬勝久を主演に据え、忠臣蔵に歌舞伎役者の恋などを絡めて描く「冬の絵空」(小松純也作、鈴木勝秀演出、12月6―17日)はその一例。09年1、2月には東京の世田谷パブリックシアターで上演、その後、他都市にも巡回させる。

 唐見博サンケイホールブリーゼ事業室室長は「大阪発の演劇を年に1、2本作る。約300人規模の会議向けの小ホールも連休や週末には演劇の公演に活用し、ホール内を案内するバックステージツアーやダンスのワークショップも開いてファンを増やしたい」と抱負を語る。

 一方、朝日放送新社屋の2―5階に設けられる客席数約300の中規模ホール「新・ABCホール」は、現ABCホール(約500席)のような番組収録が主目的の施設から、舞台公演を中心にしたホールに生まれ変わる。こけら落とし公演は「中之島演劇祭2008」(5月2日―6月22日)で、関西の人気8劇団がそれぞれ1週間公演する。


 新ホールの設置については、現ホールでの番組収録が減っていることから、社内で反対意見もあったという。しかし、「最終的に上方文化振興のためにホールを設けることにした。小劇場系劇団や漫才師、落語家がコスト的にも使いやすい拠点にして、若い才能を見いだしていきたい」と山村啓介・事業部部長プロデューサーは語る。

 新ホールは移動式客席で舞台を自在に組める。また、かつて小劇場系演劇の拠点だった扇町ミュージアムスクエアや近鉄小劇場とほぼ同規模であるため、劇団側の期待は大きい。「劇団パロディフライ」座長の妹尾和夫は「使い勝手がよく、客席と舞台の一体感も作りやすそうだ」と言う。同劇団は春の公演「時の旅人」で新ホールを使用する計画だ。

 また、幕末を舞台に暗殺を繰り返す岡田以蔵を主人公にしたアクション時代劇の上演を予定している劇団「ファントマ」主宰の伊藤えん魔は放送局の劇場という点に着目して、「芝居が面白ければ役者をテレビ番組で使ってもらいたい。その放送を見た人が劇場を訪れるという連鎖が生まれれば」と期待する。劇団「リリパットアーミー2」主宰のわかぎゑふは「関西の小劇場系演劇を引っ張っていく劇場になってほしい」と話す。

 劇場運営はコストが見合いにくいといわれ、事業から手を引く動きが企業や自治体の間に広がりつつある。そんな中で、新ホールがこうした流れを食い止め、関西の舞台を活性化できるか注目される。
(編集委員 小橋弘之、大阪・文化担当 田村雅弘)
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