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社説天声人語

天声人語

2008年01月10日(木曜日)付

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 画面左に現れた民主党の小沢代表はこう始めた。「総理、明けましておめでとうございます。えー新年早々から、総理にとってはあんまり気分の良くない、愉快でない話をしなくてはならないんですけれども……」。小沢さん、それがあなたの仕事です▼ねじれて5カ月の国会で、福田首相と小沢代表の党首討論が実現した。何度か密談はしたようだが、有権者の目が届く場所で両党首が一戦交えるのは初めてだ▼悠長で紳士的すぎる前置きが示すように、小沢氏には政権を奪うぞという迫力が見えない。「政治行政への不安、不満、不信なんちゅうのが日本社会に充満している」という認識は正しいが、たたみかける材料と技量を欠いた▼年金から入ったのはいい。だが、関係職員を総動員して国民の不安を解消せよという追及に、福田氏は「私も本当にね、考え方は同じだと思いますよ」。柳に風の受け答えに、ゆるい笑いが議場を包んだ。質問が給油法案に移り、小沢氏の声が熱を帯びた。口も滑らかになった。でも時間切れだった▼首相はへらへらしているようで、言い逃れを含め言いたいことは言えていた。「福田屋」と染め抜いた暖簾(のれん)を、小沢氏の武骨な腕が押している図だ。テレビの音声で一番元気があったのは進行役の衛藤委員長、次がヤジだった▼小沢氏はかつて「不器用で口べたな東北かたぎ」と自己評価し、北国から文句が出た。来るべき総選挙では党首の発する言葉と、その発し方で一票の行方が決まる。今からでも弁舌を磨くべきではないか。

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