プロ野球の明日を考える会

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■第3回「プロ野球の明日を考える会」


海老沢   でも向こうの球場って囲いがいっぱいしてない? スタンド。アメリカの球場は。日本みたいにダーンと下までつながってなくて、鉄柵があって、そんなに落ちないようにみんななってるよね。そういうのは選手会が要求する権利がある、少なくとも広島球場の外野フェンスはなんとかしたほうがいいって。あれは見てて恥ずかしいよ。プロ野球の球場じゃないですよ、あれは。

古田   球場の改善は具体的なことを出して、まあお願いしているんですけど、なかなかまあ、えー。

海老沢   それこそオレたちはここでやらないと言ってもいいと思うよ。だって危ないもん、本当に。

谷沢   どこでしたっけ、内野のファールゾーンに金網があるじゃないですか、あそこで過去、何人も大ケガしているんですよね。今年もあった。

黒木   実際、ホーム球場を改善するのは難しいと思うんですよ。一気に100パーセントいい球場にするのは。年間、やっぱ60試合から70試合してますから。その間に改善するというのは難しいと思うんですよ。でも南原さんが言いましたように、地方球場に行くと、凄い熱狂的になってくるじゃないですか、お客さんが。そこでアグレッシブなプレー見せるためには地方球場の改善を真っ先にやらなければいけないと思うんですよ。で、地方球場って年間に1回か2回なんですよね。その地方、地方で。1回のところもあれば、2回のところもありますけど。それは1年に1回か2回のことですから、改善する余地というのもあると思うんですよ、時間も。ですからまず先に地方球場から 。

古田  
でも要は改善する気になったらできんねん、ホーム球場でも。ようはお金の問題とか、やる気があるかというところで。まあ球団の体制もあるんじゃないかなということだよね。

黒木   だから目先のことしか考えてないんですよね。まあ不景気ですから、お金使うのがイヤなのかもわからないですけど。

古田  
っていうか、地方球場のほうが、1試合しかないのにといったら難しいかもしれないですよね、まあ逆の立場になったら。

海老沢   ただ日本の場合はね、スポーツというのが、割と例えば娯楽と思われててね。僕はJリーグが発足するときに、それを1番考えたんだけども、いろんな地方が拒否したよね、フランチャイズになるのを。例えば習志野なんかは今のジェフ市原があそこにしようとしたときにイヤだよと言った。スタジアム作らなくてはいけないから。なんでかというとたかがプロスポーツのチームのためにね、要するに市民の税金を使うというのはおかしいっていう意見が、議会にどこの自治体にもあったわけ。僕は、その自治体に例えば、ヤクルトならヤクルト、横浜なら横浜でもいいや、行くということはそれが市民の楽しみになるわけだから、税金を使う価値っていうのは十分あるわけ。そこで市民が年間70試合楽しむわけだから。だからお客が入らないコンサートホールを作るよりもよっぽどいいわけね。Jリーグなんかができて鹿島がそれを証明したわけだけども。自治体なんかの考え方も、例えば球場の改修の話も、多分彼らなんかはなんであいつらのために市民の税金使わなければいけないんだと思っている議員が多いと思うんだ。あるいは市長がね。そういうところをやっぱりなんというのか、日本人の意識改革を本当は筑紫さんなんかに言ってもらわないといけないんですよ。

長谷川  
例えばアメリカなんかあのテロの後、僕らはシーズンは終わりだと思ったんですよ。日本人的考えで。「これは野球とかやっている場合と違うな」と言ったら、1週間後に「おー始まるぞ!」と「国民の士気をあげるために始まるぞ!」というわけですよ。正直いったら、始まる状況じゃないです。国の混乱といい、それをそうやって始めちゃうんで、そういうところはまあ、お国柄もあるんですけど。日本もそういうふうになれば 。

海老沢   アメリカは太平洋戦争の間もやったわけね。

長谷川   そうですね。そこはそういうふうにするのかなと思って。やらなければいけないのかなと思って。

谷沢   ひとつにね、日本のプロ野球に、スポーツマーケティングはないと思っているんですよ。それはね、昭和29年に国税庁長官の通達というのがありましてね、で、パリーグが1番恩恵を受けていると思うんですけど、年間マイナス20億、30億になっても、それを広告宣伝費で落とせるというね、そういうふうに昭和29年になったんですよ。で、Jリーグもそれが適用されていますけど、これによって、いかにファンに楽しく面白い野球を見せるか、サービスするか、エンターテインメントを求めてファンが来るようにね、そういうね努力っていうのはね、随分、何て言うのかな……ま、特にパリーグというのは大企業が多いですから、自分たちのメリットだけを考えすぎるんじゃないかなと思うんですね。 この特典がある以上はね、なんとかしてお客さんを呼ぼうとかね、地方自治体に協力をもとめようとかね、考えが起きないですよ。

長谷川  
例えば、ミネソタに1Aのチームがあるんです。僕、興味を持ってこのチームを見てたんですけど、そこはいっつも1万8000人かなんか知らないですけど、すぐ近くにツインズの球場があるんですけど、そこよりもいっつも入るんですよ。だからそういうのを僕を1回見に行きたいんです。それは友達から1回聞いた話なんです、そこはずっといっぱいだと。そういうところもあるんで。もともとそこのレベルは高くはないわけでしょう。なんかの形でエンターテインメントでそういうふうにしているということは、そこを一見すれば何か得られるんじゃないかと思いますけど。そういう営業努力というのは実際そういう場所で行われてますから。

石田   そういうのっていくつかあるんですよね。だいたい大都市から少し離れた衛星都市みたいなところで、シーズンチケットソールドアウト。そういうところっていうのは、共通しているのは、お客さんが入らないマイナーとお客さんが入るマイナーの違いというのは、お客さんが入るマイナーというのは組織が小さいんだけれども、みんないっぱしな顔をして、いろんな役職の人間がいるんですよね。例えば、グッズも商品数が少なくても、一応ちゃんとショップを開いて売るとか。チームアナウンサーとかウグイス嬢とかアメリカでは男ですけど、いっぱしな顔してここでやっている。いつかメジャーに行きたいと。

長谷川   小さくても、システムはちゃんとしているんですよね。だから成功すると思うんですよね。

石田   で、やっぱお客さんが入らないマイナーチームと言うのは、1人で、お金持っている人が何人かを雇って、ほとんど1人で切り盛りしている。こういうところはやっぱりガラーンとした球場で、そういうところによって違いが出てくるっていうのは明確ですよね。

谷沢   僕は、これは関連してですね、今、社会人野球がもう瀕死の状態でしょ。休部あり、廃部あり。企業スポーツが、クラブチームに移行しているじゃないですか。クラブチームの運営というのは、地方自治体の協力が不可欠なんですよね。これが協力できればいいんだけども、なかなかそういうわけにはいかない。で、成功しているクラブチームもあるんだけど、ほとんどクラブチームというのは、数年でダメになるケースが非常に多いんですよね。プロ野球の本体にかかわる問題じゃないかなと思いますよね。だって高校生が野球やってて、大学生でもそうなんですけど、そのクッションの行く場がないんだから。大学出て、野球やっててね、その上のプロじゃなくて、社会人で野球やろうと思っていてもできないんだから、今ね。

長谷川   アメリカみたいにね、何十人もドラフトで取ってくれればいいんだけど。日本の場合はそういうことないんで。それこそ独立リーグみたい感じのができるかというと、日本はそういう雰囲気もないし。

海老沢   ただよく日本とアメリカを比較するけれども、考えて見たら、日本ってカリフォルニアぐらいしかないんだよね。そこで12球団でやっているわけだから。比較するのも、フランチャイズの問題にしても、これはちょっと無理がある話なんだよね。

長谷川   とりあえずさっきの話じゃないですけど、ツインズがすぐ近くにあるのに、営業努力でね、まあ野球を見にきているとは思わないんですよ。何か雰囲気があると思うんです。そういうことをしても、例えばジャイアンツと日本ハムは同じ球場ですけど、まあヤクルトがあったとして、同じ日に同じ試合があっても、雰囲気が違ったら見にくる人の層も違うんで。ジャイアンツは本当におじさんばっかり行ってて、ヤクルトはアイドルチームで、っていうのも何かあるのかなと。僕はそれはよくわからないですけど

石田   まあそれはあるだろうね。神宮の雰囲気がいいからって東京ドームより神宮に行きたいと思っている人も多いと思うんだよね、実際に。

長谷川   ただ40歳以上の人は巨人ファンだからみんな巨人の応援に行くとか。

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