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管中央でガソリン発電機運転、3人はCO中毒死 北九州

2008年01月08日23時08分

 北九州市八幡西区の工業用水道の送水管敷設工事現場で男性作業員3人が死亡した事故で、3人が取り残された地下約13メートルの送水管(直径約1.1メートル、長さ約230メートル)の中央付近で当時、作業員がガソリンエンジンの発電機を動かして作業していたことが分かった。司法解剖の結果、死因は3人とも一酸化炭素中毒と判明。福岡県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて、8日から現場の実況見分を始めるとともに、作業内容や換気の状況に問題がなかったかなど発注元の同市や業者から事情を聴いている。

 この日の実況見分は約3時間行われ、労働基準監督署や業者を含む総勢48人が参加。主に地上の作業場や竪坑内の空気の成分を調べた。安全を期すため、3人が倒れた送水管には入らなかった。9日以降も続ける予定。

 亡くなった3人は下請けの作業員。管のずれを正すためボルトを締める作業をしていたという。管の中央付近で発電機を動かしていたため、酸素が減って一酸化炭素がたまった可能性がある。

 労働安全衛生法の細則では「自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない」と定めている。

 また、工事を請け負った「平林組」(同市八幡東区)が掘削作業開始前の07年6月、同市に提出した施工計画書でも、管内で発電機を使用する予定はなかった。

 市水道局は、何のために発電機を使っていたのかなどについて工事関係者から事情を聴いている。現場では送風機が動いていたことが確認されているが、県警は換気の状況に問題がなかったかどうか注目している。

 今回と同様の工事現場で働く作業員は「狭い管に発電機を入れるのは非常識。通常はガソリンのものに限らず地上に置いて、ケーブルを中に持って行く」と話している。

 大島栄次・東工大名誉教授(安全工学)は「3人が作業していただけでも酸素不足が懸念されたのに、ガソリンエンジンの発電機を使っていたなら、事態は一層悪化したはず。酸素が足りなくなると、ますます不完全燃焼が起こる悪循環に陥るからだ。偶然や不測の事態ではなく、ずさんだったと言わざるを得ない」と指摘している。

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