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2005年12月21日放送 |
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今回の番組について日清戦争と日露戦争。二つの戦争から戻った兵士たちが持ち帰ったことで、日本中に広まった白菜。果たして現代の日本人に白菜はどう映っているのか、街頭で聞いてみると「味が淡泊」という声が多く聞かれました。しかし白菜農家に聞くと「白菜は甘い」という答えが……。 そこでガッテンが白菜の育ち方をよく調べたところ、ふしぎな植物であることが判明。成長する時の秘密さえ知って調理すれば、おいしさを引き出すことだって可能だったのです。 番組では、お鍋に漬物、ギョーザまでおいしく変えてしまう「ガッテン流白菜調理法」を大公開します。 |
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オープニングクイズ
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「白菜(しらな)かった! おいしさの秘密」街頭インタビューで白菜のおいしい部分を尋ねたところ、50人中31人が「白い肉厚の部分」よりも「緑っぽい葉の部分」のほうがおいしいと答えました。 はたして、白菜のおいしさはどこにあるのか、食べ比べ実験をすることにしました。1個の白菜を4つの部分に分け、見た目で判断しにくいよう細かくカットして4種類のスープを作りました。10人の男女に試食してもらうと、なんと7人が「4番」が一番おいしいと答えました。しかも「一番甘かった」、「これほど濃厚な感じは初めて」など大絶賛! さて、「4番」のスープは白菜のどの部分だったのでしょうか? 白菜の糖度実験で分けた4つの部分の、それぞれの糖度は次の通りでした。
イチゴの糖度は10〜12%ですから、4番のスープで使っていた小さい葉は、イチゴ並みに甘いといえます。 ところが、街頭アンケートによると、6人に1人は「使いづらい」、「ついつい残ってしまう」などの理由で小さい葉の部分を捨てていたのです。 |
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「中はくさいぞ! あやしいぞ!」「中心の小さな葉」の甘さの秘密を探るため、白菜の一大産地である茨城県を訪ねました。白菜作り50年の名人によると、「真ん中で成長するから、おいしさがあつまる」とのこと。 そこで、収穫直前の白菜と、それより1週間若い白菜を切って比べたところ、収穫直前のものは葉がギッシリ詰まっているのに、1週間若いほうは中がスカスカでした。1週間でなぜこれだけ差が出るのでしょうか? 白菜の成長過程白菜の成長過程を苗の時期から観察すると、根元の中心部分から葉が増えているのがわかります。 そして成長著しいのは収穫間際の1週間で、白菜の中心部では1日2枚もの葉が伸びます。成長が盛んな中心部には、うま味成分のグルタミン酸も集まっていて、白い肉厚の部分では3ミリグラムであるのに対し、中心に近い部分では41ミリグラムにもなります(いずれも100グラムあたり)。
白菜の成長は、次のようになっています。
葉は場所によって働きが違う
「製造工場」で作られた栄養は、「成長ポイント」に送られます。余った糖やグルタミン酸は「貯蔵庫」でたくわえられます。このとき糖は「デンプン」に、グルタミン酸は「タンパク質」の形で保存されます。 白菜の真ん中は、糖やグルタミン酸がたっぷり含まれています。糖は甘み、グルタミン酸はうま味として味覚に伝わります。一方、結球部分の「貯蔵庫」には、デンプンやタンパク質が多く含まれていますが、どちらも人間の味覚では感じにくいのです。このため、真ん中が甘くて、周りは味が薄いように感じられるのです。 真ん中の成長パワー白菜を半分にカットして冷暗所で1週間放置しておくと、中心部の葉がだんだん立ち上がってきます。これは中心部が成長している証拠です。さらに放置しておくと花が咲いてしまいます。 白菜の小さい葉を取ってしまうと、グルタミン酸は次のように変化しました。(冷蔵庫で一週間、ラップに包んで保存)
まとめ1:そもそも食べ方に間違いが!? → 常識逆転!内から外へ外の大きい葉から使うと、おいしさたっぷりの中心部を残してしまうことになります。また中心部を残したまま保存すると、白菜に蓄えられた栄養が成長に使われてしまい、周りもおいしくなくなってしまいます。そこで内側のおいしい部分をまず食べ、そこから外に向かって食べ進んでいくのがおすすめです。 まとめ2:なんと!冷蔵庫でうま味UP!! → 中心抜いて うま味27%UP!白菜が残ってしまいそうな時は、小さい葉を先に取って料理に使ってしまうのがおすすめです(サラダや漬物、みそ汁やスープの具など)。中心の小さい葉を取ってから冷蔵庫で保存すると、1週間でうま味成分・グルタミン酸が27%もアップします! |
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「葉食う際は、こんな技!」白菜のおいしさを引き出す調理法を発見したガッテン調査隊。料理に使ってもそのおいしさを最大限発揮させることは可能なのでしょうか。そこで、ギョーザで実験することにしました。 宇都宮のギョーザ名人に協力してもらい、豚肉と白菜だけのギョーザを作ってもらいました。片方はいつも通り白菜を下ゆでしたものを使用、もう片方にはガッテン流白菜を使用しました。どちらの白菜で作ったギョーザがおいしいか宇都宮の皆さんに食べ比べてもらったところ、12対64でガッテン流白菜が圧勝! 両方のグルタミン酸の量を調べると、次のように変化していました。
続いて、ガッテン流白菜を使って、漬物と寄せ鍋を作りました。漬物は、白菜の味がより濃く出て、うま味が凝縮していました。寄せ鍋は、甘みが出ているだけでなく、シャキシャキした歯ごたえも残っていました。 ガッテン流白菜の作り方オーブンを予熱した後、150度で10分間加熱します。こうすると白菜内部は煮くずれしにくい温度帯60〜80度をゆっくりと通過することがわかりました。これにより、水分は20%しか減っていないのに、糖度は2.2倍も上昇しました。
※オーブンがない場合、天日干し(1日)でも、うまみ濃縮効果は得られます。 まとめ3:発見!ガッテン流オーブン調理術 → オーブン 150℃で10分!!オーブン加熱で水分を飛ばせば「うま味凝縮」&「シャキシャキ感キープ」。 |
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「中国料理に見つけた 白菜調理術」中国料理の達人に白菜料理を2品披露してもらいました。
※乾燥白菜はごく一部の中国食材専門店で扱っているのみで、入手はかなり難しいようです。 |
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実習コーナー・レシピ鮭缶とガッテン流白菜の鍋(4人分)
ガッテン流白菜と干し柿のなます(4人分)
ガッテン流白菜と牛肉の韓国風すきやき(4人分)
※梨がなくてもかまいません。 タテギ(とうがらし調味料)
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「白菜の黒い点の正体は?」白菜の黒い点は虫食いでも病気でもありません。細胞のレベルでメカニズムを見るとわかります。 育ち盛りの細胞は、窒素と水をどんどん吸収していきますが、中には吸収しすぎて大きくなる細胞もあります。すると周りの細胞とバランス良く栄養をやりとりすることができなくなってしまいます。こうした細胞は、細胞壁から出てきた酵素の力で活動が止められてしまい、黒い点に変わります。 白菜の黒い点は細胞が栄養をとりすぎた証で、元気に育った白菜、そして大きな玉の白菜に出やすい自然な現象です。特に問題はありませんので安心してお食べ下さい。 |
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