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薬害肝炎:与野党案、隔たり 一般対策の法制化先送り 次期国会で議論再燃必至

 薬害肝炎被害者の救済問題で与野党は7日、「感染被害者救済給付金支給法案」を9日にも成立させる方針で合意する一方、薬害に限らず、肝炎患者を広く救済する一般対策の法制化は、与党の「肝炎対策基本法案」、民主党の対案「特定肝炎対策緊急措置法案」とも継続審議とすることで折り合った。民主党が自らの独自案にこだわったうえ、08年度政府予算案にインターフェロン(IFN)治療を受ける患者への助成費が盛り込まれたために与党も「基本法案の早期成立は不要」と判断したことが背景にある。両案の隔たりは大きく、次期通常国会での議論再燃は必至だ。

 IFNは月ごとの自己負担額が8万円程度と高額で、治療を要するB、C型肝炎を発症した患者は約60万人いるのに、IFN治療を受けている人は約5万人に過ぎない。

 政府・与党は自己負担額を1万~5万円に抑える助成策を打ち出し、08年度予算案に129億円を計上した。その代わり基本法案では治療費助成の理念を記すだけにとどめ、具体的な助成額には触れなかった。

 これに対し、民主党の緊急措置法案は、自己負担を月0~2万円にすると明記し、肝炎が悪化して起きる肝硬変、肝がんなどへの医療費助成も早急に検討する、としている。民主党の厚労委理事らは「肝硬変や肝がんが含まれない与党案では救済範囲が限定され、09年度の保証もない」と主張。被害者救済法案を民主党の緊急措置法案とセットで成立させるよう求めた。

 だが、同党の山岡賢次国対委員長らは、セットでの成立にこだわって被害者救済法案の成立がずれ込めば、「国民の批判が民主党に向き、与党の思うつぼ」と判断し、両法案を切り離す方針を取った。被害者救済法案を成立させる一方で一般対策は妥協せず、独自法案を掲げて「幅広い患者の救済」をアピールするのが狙いだ。

 与党も、主導した被害者救済法案さえ成立させれば、国民の理解を得られると踏んだ。自民党は7日、基本法案にも「国の責任において、一律救済のみちを開いた」との一文を加える修正案を了承したが、IFN治療への助成費が08年度予算案に計上されている以上、基本法案を現在、無理して成立させる必要はないというのが本音だ。与野党の利害が一致した。【吉田啓志】

毎日新聞 2008年1月8日 東京朝刊

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