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社会

元労組幹部100人超仲介? 障害手帳疑惑 「報酬は受領せず」(01/01 07:57)

 【芦別、赤平】聴覚障害の身障者手帳申請で札幌市の耳鼻咽喉(いんこう)科医(72)の診断書に虚偽記載の指摘が出ている問題で、一九九四年に閉山した住友赤平炭鉱の下請け会社の元労組幹部(67)が社会保障制度を学ぶために元炭鉱マンを集めてサークルを結成し、この会を中心として芦別、赤平両市の手帳申請者を増やしていった疑いのあることが、三十一日分かった。元労組幹部は、両市を中心に百人を超える申請者を取りまとめたとされ、申請の際の「着手金」や身障者手帳交付などに伴う「成功報酬」のやりとりにもかかわっていた。

 この元労組幹部は芦別市在住で、今回の問題に絡み、札幌の耳鼻咽喉科医への送迎と、手帳申請手続きを代行していた札幌の社会保険労務士(66)との連絡を担当した、取りまとめ役の一人。住友赤平炭鉱の下請け会社に勤め、閉山時に下請けの坑内員たちが結成した労組の幹部だった。

 二○○○年に元炭鉱マンと労災や福祉などの制度について学ぶ「障害者交友会」を発足させ、代表に就任した。最盛期の会員は約四十人で、労組員の労災申請を通して知り合ったこの社労士を招き、勉強会を開催していた。

 元幹部は、サークル結成と相前後し、問題の耳鼻咽喉科医の診断で聴覚障害で最重度の二級の身障者手帳を受けた。

 複数の関係者によると、元幹部はサークル会員を中心にその家族や知人を含めた多数の手帳申請を取りまとめていたという。元会員の男性は「(元幹部は)正常に耳の聴こえる会員に対しても聴覚障害の身障者手帳を取るよう何度も誘い、耳に障害のない多くの会員が身障者手帳を持つなど、この会が申請を広げる場になっていた」と話す。

 道などの調査で、問題の耳鼻咽喉科医師が関係した手帳交付者は○二年度以降、全道で五百九十人に上る。社労士は元幹部からの紹介者数について「芦別、赤平以外の人も含めると○三年以降、約百人いる。それ以前を加えると百数十人になる」と証言する。

 元幹部が取りまとめた申請者数は、空知管内に複数いる取りまとめ役の中でも最大規模になるとみられる。

 元幹部は、身障者手帳や障害年金の申請手続きで申請者が社労士に支払う金銭の集金も担当。複数の関係者は、申請者は元幹部に着手金を一人当たり数万円、成功報酬同数十万円を渡していたとしている。一方、社労士は「着手金や成功報酬は受け取ったが、十万円を超える成功報酬を得たことはない」としている。

 これに対し、元労組幹部は身障者手帳申請の取りまとめ行為を認めた上で「仲介したのは二十七、八人で、百人ということはない」と否定。聴覚の正常な会員に手帳申請を勧めたとされることについては「何年も前のことで覚えていない」、社労士との金銭のやりとりに関しては「着手金や成功報酬などを集めたことはあるが、全額を社労士に渡し、自分は受け取ってない」と話している。

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