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南京虐殺や上奏文にも言及、日中歴史共同研究
日中間の歴史問題の溝を埋める狙いで両国の有識者が進めている歴史共同研究の第3回会合が6日、2日間の日程を終えた。出席者によると、犠牲者数などで見解が分かれる「南京大虐殺」や、日本では偽書との見方が定着している「田中上奏文」についても言及があったが、事実認識を詰める議論にまでは至らなかった。
会合後、共同記者会見した日本側座長の北岡伸一東大教授は「白熱した議論もあったが、議論は友好的で率直で学術的に行われた」と総括、6月末か7月上旬までの報告書完成に自信を示した。
議論は両国をめぐる「古代・中近世史」「近現代史」について双方が論文を提出、意見交換する形で実施。
出席者によると、1937年の旧日本軍による「南京大虐殺」について中国側から「犠牲者の数は問題ではない」との意見もあった。また27年、田中義一首相(当時)が対中侵略を昭和天皇に具申したとされる「田中上奏文」は日本では存在が否定されているが、中国側が提出した論文では触れられていた。意見交換で「互いの理解は深まったが、議論が収れんしたわけではない」という。
6月の最終会合後に報告書をまとめるが、統一文書ではなく、双方がそれぞれ論文を提出し、見解が異なる部分について互いに意見を付けた形式になる。
共同研究は2006年10月、安倍晋三前首相と胡錦濤国家主席が合意。前回会合は昨年3月に開かれた。(共同)