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刑務所職業訓練、「ガテン系」脱却 エステや設計も

2008年01月05日22時29分

 エステティシャンの養成やコンピューターを使った設計(CAD)の技術指導――。刑務所内で受刑者が、そんな職業訓練を受けられるようになる。これまでは「懲役刑」の趣旨を踏まえ、溶接や塗装、配管など、「ガテン系」と呼ばれるような「きつい職種」が中心だった。しかし出所後の就職しやすさをより重視して、新しい職種を導入することになった。

 法務省は新年度、女性だけを収容している栃木刑務所(栃木市)に、エステティックサロンで働くエステティシャンを養成する「総合美容技術科」を新設する。

 首都圏のサロンからプロのエステティシャンを刑務所内に招き、パックや脱毛、マッサージ、化粧の施し方などを半年間、計720時間で学ぶ。接客の方法も身につけ、修了時には日本エステティック協会の証明書を受けられる。

 このほか、二つの刑務所にCAD技術者の資格を取るための科を設ける予定。洋服の型紙を作ったり、家具を設計したりできるなど様々な業界で需要の高い技術だ。

 職業訓練は、生活態度がよく、将来働く意欲の強い受刑者を対象に行われている。

 全国42の施設では、重機の運転免許を取る「フォークリフト科」や様々な溶接技術を学ぶ「溶接科」、建設現場での配管工事の技能を身に着ける「配管科」など計28科目が行われている。職種は「懲役の一環として忍耐力をつけさせるのが主な目的なので、どうしても『ガテン系』に偏りがちだった」(法務省の担当者)という。

 だが最近は、職業についている人は無職の人よりも再犯の可能性が低いとの調査結果に基づき、「就職しやすい技術を身に着けさせることこそ再犯防止のカギだ」との考え方が広がってきた。そこで雇用状況やハローワークの求人情報などを調べたところ、浮かび上がった職種がエステとCADだったという。

 担当者は「われわれにとっては未知の世界。受刑者も驚くかもしれないが、時代に合った技術を選んで身につけさせたい」と話している。

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