■表在性細菌性毛包炎の犬における膿疱および運搬部位から分離されたコアグラーゼ陽性ブドウ球菌に対するパルスフィールドゲル電気泳動パターンと抗菌剤感受性表現型
Pulsed-field gel electrophoresis patterns and antimicrobial susceptibility
phenotypes for coagulase-positive staphylococcal isolates from pustules
and carriage sites in dogs with superficial bacterial folliculitis
Am J Vet Res. May 2007;68(5):535-42.
Lauren R Pinchbeck, Lynette K Cole, Andrew Hillier, Joseph J Kowalski, Paivi J Rajala-Schultz, Tammy L Bannerman, Steven York
目的:表在性細菌性毛包炎の個々の犬の膿疱および運搬部位から得られた遺伝子型的に同じコアグラーゼ陽性ブドウ球菌分離菌が同じ抗菌剤感受性表現型を持つかどうか判定する
動物:表在性細菌性毛包炎の犬40頭
方法:細菌培養、形態学的同定、グラム染色、カタラーゼ及びコアグラーゼ試験、抗菌剤感受性試験、種分化、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)のため、3つの膿疱、3つの運搬部位(すなわち肛門、病変のない腋窩皮膚、鼻粘膜)からサンプルを入手した。
結果:膿疱と運搬部位から223の分離菌を得た。その中から17の感受性表現型が見つかった。膿疱から分離された128(100%)の菌と運搬部位からの95(100%)の分離菌はセファロチンに感受性があった。膿疱の128(100%)と運搬部位の94(98.9%)の分離菌はアモキシシリンクラブラン酸に感受性があった。膿疱の114(89.1%)と運搬部位の82(86.3%)の分離菌はエリスロマイシン及び塩酸リンコマイシンに感受性があり、膿疱の103(80.5%)と運搬部位の70(73.7%)の分離菌はトリメトプリム-スルファメトキサゾールに感受性を示した。39頭中37頭(94.9%)で複数の膿疱から同じPFGEパターンを持つ分離菌は同じ感受性表現型を持っていた。33頭中21頭(63.6%)で複数の運搬部位から同じPFGEパターンを持つ分離菌は同じ感受性表現型を持っていた。
結論と臨床関連:表在性細菌性毛包炎の犬で、遺伝子型的に同じ株である膿疱からのほとんどのコアグラーゼ陽性ブドウ球菌分離菌は同じ感受性表現型を持つと思われ、治療は経験的な抗菌剤選択または1病変分離菌の感受性試験を元になされるかもしれない。(Sato訳)
■猫の皮膚疾患治療における経口シクロスポリンの使用:23症例の回顧的分析
The use of oral
cyclosporin to treat feline dermatoses: a retrospective analysis of 23
cases.
Vet Dermatol. 2006 Jun;17(3):201-6.
Vercelli A, Raviri G,
Cornegliani
L.
猫の皮膚疾患の治療におけるシクロスポリンA(CsA)の使用に関して限られた情報しかない。ゆえに、この回顧的研究の目的は、好酸球性肉芽腫(EG)、好酸球性プラーク、無痛性潰瘍、線状肉芽腫、特発性掻痒そして口内炎の治療におけるシクロスポリンの効果を記述することだった。1999年から2004年にシクロスポリンで治療した猫の皮膚疾患症例をコンピューターで検索した。病歴、臨床症状そして診断検査に基づいて、症例を可能な限り3つのグループに分類し、23症例を選択した。
7頭の猫が次の一つ以上に罹患していた。好酸球性肉芽腫(EG)、好酸球性プラーク、無痛性潰瘍そして/あるいは線状肉芽腫(グループA)、8頭の猫が特発性掻痒(グループB)そして、8頭の猫が形質細胞性口内炎(グループC)に罹患していた。経口シクロスポリンの投与量は5.8〜13.3mg/kgだった。完全血清血液分析、身体検査を1か月に1度(最低6ヶ月間)検査し、すべての猫をモニターした。来院時(0日、30日、60日、
90日)にビジュアルアナログスケール(VAS)で0〜10段階でスコア化(病変と掻痒の重症度)し、治療に対する反応を評価した。グループAとBのすべての猫が治癒し、隔日治療で維持できた。グループCでは4/8頭が寛解したが、残る猫はまずまず-良い改善しかしなかった。血液学的そして生化学的検査でシクロスポリン投与による明らかな異常を検出することは出来なかった。(Dr.Kawano訳)
■ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)外部寄生により4頭の猫に見られたカキ殻状疥癬(ヒゼンダニ症)
Crusted scabies (sarcoptic mange) in four cats due to Sarcoptes scabiei infestation
J Feline Med Surg. October 2006;8(5):327-339.
Richard Malik, Keith McKellar Stewart, Candace A Sousa, Mark B Krockenberger, Sally Pope, Peter Ihrke, Julia Beatty, Vanessa R D Barrs, Shelley Walton
猫でヒゼンダニ症の4つの新しい症例を述べる。2頭はキツネがたびたび見られることが分かっている地域に住んでいた。1頭は最近ヒゼンダニ症と診断された犬と一緒に飼育されていた。最後の1頭は7ヶ月前からヒゼンダニ症の治療をしている雑種犬と飼育されていた。3例は頭部(2例)、頭部と後肢遠位(1例)など代表的な病変からの皮膚掻爬から、特徴的なダニの大きさと形態をもとに診断した。ダニは全ての例で移動性が高く豊富に見られ、2例で得られた皮膚バイオプシー標本にも容易に検出できた。
組織切片で好酸球性炎症、角化増殖、不全角化は優勢だった。残りの1例は、特徴的病変、ヒゼンダニ症の犬と一緒にいた、ヒゼンダニ症両方に反応したことをもとに推定で診断された。どの猫も痒みは優勢な臨床特徴でなく、4例中3例は痒みがないと考えられた。疾患が長期にわたる3例の病変は、人で見られるようなカキ殻状疥癬(別名:ノルウェー疥癬、不全角化疥癬)を思わせた。3例は接触したヒトキャリアーに掻痒性皮膚丘疹病変を発症させた。2例はアベルメクチン剤の全身投与で即座に反応し、1例はライムサルファの局所処置で反応し、残り1例はライムサルファリンスとイベルメクチンを投与した。特にキツネや犬との接触があるとき、オーナーに掻痒性丘疹病変があるとき、猫の非掻痒性痂皮痙性皮膚疾患の鑑別診断にヒゼンダニ症を考慮すべきである。(Sato訳)
■犬ニキビダニ症の診断で皮毛引き抜きおよび滲出物顕微鏡検査の相対感度
Relative sensitivity of hair pluckings and exudate microscopy for the diagnosis of canine demodicosis
Vet Dermatol. April 2007;18(2):138-41.
Manolis N Saridomichelakis, Alexander F Koutinas, Rania Farmaki, Leonidas S Leontides, Dimitris Kasabalis
この研究で犬ニキビダニ症の診断に対する深部皮膚掻爬、皮毛引き抜き、滲出物顕微鏡検査の感受性を比較した。ニキビダニ症と診断された67頭の犬を研究に使用した。30頭は局所、37頭は全身性ニキビダニ症だった。67頭中27頭は併発疾患(二次的感染)で40頭は非併発型だった。各犬で、単一病変を無作為に選択し、深部皮膚掻爬、皮毛引き抜き、滲出物があれば(n=13)滲出物を入手した。皮膚掻爬と滲出物顕微鏡検査は、2.2x2.2mmのカバーガラス下を検査し、trichographyでは皮毛100本を評価した。
最低1つの寄生虫要素はtrichogramsで85.1%、滲出物標本で100%認められた。寄生虫要素の数は、他の2つの方法と比べ皮膚掻爬でより多かった。皮膚掻爬の診断鋭敏度は、サンプルの合計数に対し(P=0.002)、局所病変(P
= 0.004)、非併発型(P = 0.002)の犬から入手したそれに対し(P=0.004)、疾患の皮毛引き抜きの診断鋭敏度よりも高かった。皮毛引き抜きの診断鋭敏度は、局所および非併発型と比較し、全身および併発型ニキビダニ症でより高かった。
それらの結果をもとに、滲出物顕微鏡検査は、深部皮膚掻爬と同等の感受性を持つと思われ、trichographyは全身性および併発型ニキビダニ症で価値があるかもしれないが、陰性結果でルールアウトは出来ない。
■犬の散在性フェオフィホ真菌症の治療成功例
Successful treatment of disseminated cutaneous phaeohyphomycosis in a dog
Aust Vet J. December 2006;84(12):431-5.
Im Swift, A Griffin, Ma Shipstone
7歳去勢済みオスのホイペットが、免疫介在性溶血性貧血の治療でプレドニゾロンとシクロスポリンに免疫抑制量を投与されているとき、深い潰瘍皮膚病変を発症した。病変はCurvularia lunataによるフェオフィホ真菌症と確認された。免疫抑制剤の離脱と全身性抗真菌役の投与で治療し、完全に回復した。著者の知るところでは、これは犬の散在性皮膚フェオフィホ真菌症の治療が成功した最初の症例報告である。(Sato訳)
■皮膚疾患における皮膚バリア機能の障害と加湿による修復
Impaired skin barrier function in dermatologic disease and repair with moisturization.
Cutis. 2005 Dec;76(6 Suppl):7-12.
Lebwohl M, Herrmann LG.
経皮水分蒸散量(TEWL)の増加、水分-結合特性そして皮膚表層脂質、特にセラミド濃度の減少に証明された皮膚バリア機能の障害と関連したアトピー性皮膚炎や様々な他の皮膚疾患を立証するかなりのデータがあります。臨床実験の結果は、皮膚の水和を改善し、刺激に対する感受性を低下させ、角質層の統合性を修復する適切な保湿剤の賢明な使用で、これらの欠乏に取り組むことが出来ることを示唆します。また易感染性の角質層に重要な脂質を提供し、バリアーの回復を促進させる皮膚軟化薬もあります。保湿剤は、アトピー性皮膚炎や他の慢性皮膚疾患の患者にとって、重要な第一選択治療オプション(first-line
therapeutic option)として貢献し、これらの難解な皮膚コンディションの臨床症状と徴候の改善において非常に有効である場合があります。(Dr.Kawano訳)
■毛周期停止(アロペシアX)の犬におけるエストロゲンレセプター拮抗薬と再発毛
Oestrogen receptor antagonist and hair regrowth in dogs with hair cycle arrest (alopecia X)
Vet Dermatol. February 2007;18(1):63-6.
Linda A Frank
マウスで毛包の休止期-成長期移行を調節するエストロゲンレセプター経路が述べられている。この研究目的は、純粋なエストロゲンレセプター拮抗剤のフルベストラントで、毛周期停止(AlopeciaX)のポメラニアンに再発毛を起こすかどうかを調査することだった。毛周期停止のポメラニアン11頭を、10mg/kgフルベストラント(n=6)、または同量の生食(n=5)を1ヶ月ごとに2回筋肉注射投与する群に振り分けた。最初の注射前と2ヶ月間毎月全血検査、生化学パネル、尿検査をモニターした。各月の犬の再発毛の程度、罹患した体の比率、新しく発毛した毛の質を評価した。3頭のコントロール犬は、研究終了後にフルベストラントを投与した。また、1頭のコントロール犬と1頭の処置犬に、1ヶ月ごとに2回の20mg/kgフルベストラント皮下注射を行った。
10mg/kgフルベストラントを投与した犬で、再発毛の所見はなかった。20mg/kgフルベストラントを投与したコントロール犬は、最初の注射から1ヵ月後かなりの再発毛が見られた。処置による副作用は見られなかった。
10mg/kgフルベストラント筋肉注射で投与するとき、フルベストラントは毛周期停止(AlopeciaX)の犬に対して実行可能な治療ではなかった。高用量のフルベストラントのさらなる調査が必要であるが、コストがかなりかかるかもしれない。(Sato訳)
■モノポーラ電気メス、CO2レーザー、電波放射線、皮膚バイオプシーパンチ、メスで採取した犬の皮膚バイオプシー標本の組織学的比較
Histologic comparison of canine skin biopsies collected using monopolar electrosurgery, CO2 laser, radiowave radiosurgery, skin biopsy punch, and scalpel
Vet Surg. January 2007;36(1):50-6.
Edward B Silverman, Robert W Read, Carolyn R Boyle, Robert Cooper, William W Miller, Ron M McLaughlin
目的:メス、皮膚バイオプシーパンチ、モノポーラ電気メス、CO2レーザー、完全整流波形での電波放射線(RWRS)により採取した犬の皮膚バイオプシー標本の組織学的所見を比較する
研究構成:実験、無作為構成
動物:健康なグレイハウンドの成犬(n=4)
方法:皮膚バイオプシー標本を5つの方法で採取した。バイオプシー標本の切縁と隣接辺縁皮膚を、組織炭化(炭)による真皮の浸透を比較するため、光学顕微鏡で評価した。
結果:バイオプシーパンチとメスでは皮膚標本に炭化は起こらなかった。電気メス、CO2レーザー、RWRSによる標本には炭浸透が起こった。皮膚バイオプシー標本の平均炭浸透は、モノポーラ電気メス(0.223mm)、CO2レーザー(0.215mm)よりもRWRS(0.158mm)が有意に少なかった。RWRS(0.171mm)によるバイオプシー周囲の隣接辺縁皮膚の平均炭浸透は、モノポーラ電気メス(0.255mm)よりも有意に少なかったが、CO2レーザー(0.215mm、P<.07)とはあまり変わらなかった。
結論:RWRS(切開凝固モードで混合波)はモノポーラ電気メスおよびCO2レーザーよりも犬皮膚バイオプシーに対する側面熱ダメージがより少なく、モノポーラ電気メスより辺縁皮膚への側面熱損傷がより少なかった。
臨床関連:熱産生機器による犬皮膚バイオプシー標本の切除は、特に皮膚バイオプシー標本のマージンを評価する時に確実な組織学的解釈が出来ないかもしれない。RWRSは切開に使用するとき、モノポーラ電気メスおよびCO2レーザーよりも皮膚に対する傷害が少ないかもしれない。(Sato訳)
■キャバリアキングチャールズスパニエルの先天性乾性角結膜炎と魚鱗癬様皮膚疾患
Congenital keratoconjunctivitis sicca and ichthyosiform dermatosis in the cavalier King Charles spaniel
J Small Anim Pract. September 2006;47(9):524-8.
K C Barnett
目的:キングチャールズスパニエルで、過去に報告された眼および皮膚を侵す先天性および遺伝性疾患を記録する
方法:特に眼および皮膚の臨床症状を持つ19例(13同腹子)を調査した。また1例の除き全症例の5つの世代家系図を入手し、研究した。
結果:乾性角結膜炎による眼の症状はよく見られた眼疾患であったが、先天的起源のものはまれであった。魚鱗癬様皮膚疾患の皮膚症状は、魚鱗癬はまれな皮膚疾患だった。ヒトで魚鱗癬は同様の疾患で多くは遺伝性で新生児に発現し、時々他の発育欠損を付随する。キャバリアキングチャールズスパニエルで、被毛異常は成犬になった時に皮膚症状が悪化する'カーリーコート'としてブリーダーに知られていた。
臨床意義:この犬種で発症するそれら二つの疾患は、あるブリーダーではよく知られているが、獣医専門職によればまれなものだった。良い治療方法はないが、いくらかの改善は特に乾性角結膜炎で見込める。その疾患の起こりそうな遺伝性質はコントロールに重要な因子である。(Sato訳)
■犬の緑膿菌感染で引き起こった膿皮症:20症例
Pyoderma caused by Pseudomonas aeruginosa infection in dogs: 20 cases.
Vet Dermatol. 2006 Dec;17(6):432-9.
Hillier A, Alcorn JR, Cole LK, Kowalski JJ.
この報告において、病変のある皮膚からの細菌培養において緑膿菌が単独で分離された膿皮症の治療と臨床結果と同様に、組織学的、臨床的、組織病理学的そして細菌学的兆候について記述します。20頭の犬でこの回顧的研究を行った。全身性あるいは局所性皮膚疾患の既往歴を伴わない7頭の犬は、背部体幹痛の突然の発現に特徴付けられた急性深部緑膿菌性膿皮症を呈した。これらの犬の皮膚病変は紅斑性丘疹、出血性水疱、背部に限られた潰瘍そして出血性落屑からなった。
経口フルオロキノロンによる3〜4週間の治療で素晴らしい臨床応答が得られた。緑膿菌性膿皮症と関連したよりゆるやかに発現する皮膚病変を伴う13頭の犬は皮膚、耳あるいは全身性疾患の既往歴があり、以前に抗生物質そして/あるいは免役調節薬で治療したことがあった。これらの犬の皮膚病変は不定で、表層性そして深部スタフィロコッカス膿皮症で述べられている病変と似ていた。このグループにおいて、1頭の犬は治療開始前に安楽死させられ、2頭の犬は追跡に失敗したが、局所スルファジアジン銀(1頭)、3〜12週間のフルオロキノロン(6頭)あるいはセファレキシン(2頭)の経口投与で9頭の犬は病変が消散した。桿菌は細胞学的にいつも検出されるというわけではなかった。深部緑膿菌膿皮症の犬の組織病理学は、激しく穿孔する化膿性毛嚢炎とフルンクローシスによって特徴付けられた。(Dr.Kawano訳)
■重度好酸球性皮膚炎の犬29頭の臨床履歴と皮膚所見の比較:遡及研究
Comparison of clinical history and dermatologic findings in 29 dogs with severe eosinophilic dermatitis: a retrospective analysis
Vet Dermatol. October 2006;17(5):338-47.
Elizabeth A Mauldin, Brian S Palmeiro, Michael H Goldschmidt, Daniel O Morris
要約:ウェルズ症候群に似ている独特の好酸球性皮膚炎と診断された29頭の犬の医療記録と組織病理切片を、この症候群の病原を解明するため再検討した。医療記録に関しては、皮膚病変所見、他器官の全身症状、臨床分析物異常、薬剤療法の情報を再検討した。毛包炎およびフルンケル症が見られない中程度-重度の好酸球性皮膚炎を持つ犬の組織切片を再調査し、コラーゲン炎状構造の有無を評価した。患者に3つのカテゴリーをみつけた。
カテゴリー1は17頭で、皮膚病変発現前(平均4.6日)に嘔吐および/または下痢の治療をした。そのうち14頭は腹部にほとんどが明白な紅斑病変(斑、丘疹またはプラーク)があった。17頭中16頭は複数クラスの薬剤投与を受け、59%は低アルブミン血症だった。
カテゴリー2は5頭で来院時に皮膚病変と胃腸症状があり、そのうち4頭は低アルブミン血症が見られた。
カテゴリー3は7頭で、腸疾患はなかった。
ポジティブな薬剤スコアーはカテゴリー1の犬で6頭、カテゴリー2と3の犬でそれぞれ1頭見つかった。18頭の好酸球性皮膚炎の犬に炎状構造はなく、7頭は早期炎状構造、4頭はよく発達した炎状構造があった。それら変化は、カテゴリーや臨床症状に相関しなかった。50%以上の犬は、重度胃腸疾患の治療後好酸球性皮膚炎を発症した。著者は、ここに示す独特の症候群が原因となる薬剤と関連するかもしれないと示唆する。(Sato訳)
■猫アレルギー性皮膚疾患に対しシクロスポリンに関する前向きオープン予備研究
Prospective open pilot study on the use of ciclosporin for feline allergic skin disease
J Small Anim Pract. August 2006;47(8):434-8.
C Noli, F Scarampella
目的:アレルギー性皮膚疾患の猫に対するシクロスポリンの効果を評価する
方法:アレルギー性皮膚疾患の症状を持つ10頭の猫に、シクロスポリンを1日1回3.6-8.3mg/kgで1ヶ月間投与した。過去に低アレルギー性食試験で反応した猫はおらず、全ての猫は経皮殺寄生生物薬を投与しており、研究開始前2週間に改善したものはいなかった。0日目、30日目にオーナーがビジュアルアナログスケールで痒みを評価し、獣医師は皮膚病変を評価した。
結果:全ての猫は痒みと紅斑があり、5頭は脱毛、2頭は好酸球性の斑、1頭は粟粒性皮膚炎、2頭は脱毛と好酸球性の斑を有していた。良い、または顕著な改善が痒みに対し40%、脱毛に対し57%、紅斑に対し60%の猫で観察された。平均スコアーの有意な低下は痒みのみ認められたが、紅斑と脱毛も有意に近かった(P<0.052)。
臨床意義:シクロスポリンは、ネコアレルギー皮膚疾患症状の徴候的治療の助けとなると思われる。しかしシクロスポリンは猫への使用に認可されていないことを忘れてはいけない。(Sato訳)
■足指爪真菌症の治療にイトラコナゾールパルス療法と持続投与を比較する二重盲目無作為研究
A double-blind, randomized study comparing itraconazole pulse therapy with continuous dosing for the treatment of toe-nail onychomycosis
V. HAVU, H. BRANDT, H. HEIKKILA¨, A. HOLLMEN, R. OKSMAN, T. RANTANEN, S. SAARI, S. STUBB, K. TURJANMAA & T. PIEPPONEN
この多施設二重盲目パラレルグループ研究で、足指爪真菌症の治療としてイトラコナゾール200mg1日1回3ヶ月継続投与、比較として月に1週間400mg1日1回を3ヶ月間のパルス療法の効果と安全性を評価した。研究は顕微鏡検査および皮膚糸状菌培養陽性で確認した足指の遠位爪下真菌症を持つ129人で、65人は継続投与、64人にはパルス療法を行った。患者は治療後9ヶ月間追跡調査した。12ヵ月後、評価できる患者は継続群で62人、パルス群で59人いた。
臨床反応(すなわち、罹患エリアの大きさと感染の進行)、菌学的治癒(すなわち、顕微鏡と培養陰性結果)が主要結果測定値だった。臨床反応は治癒、または顕著な改善と定義した。12ヶ月時の継続群の臨床反応率は69%、パルス群は81%で、対応する菌培養率は66%と69%だった。徴候および症状でのより良い改善はパルス群で見られた。6人は全て薬剤関連とは考えにくいが、副作用のため治療を中止した。臨床的な関連検査異常はなかった。
我々は両方法とも有効、安全、よく許容できると結論する。どちらか一方が優れているという確証はなかったが、結果はパルス療法により好ましい傾向があった。パルス療法は継続投与と少なくとも同等であると確認した。(Sato訳)
■イヌ小胞子菌体部白癬と診断されたオーナーの飼育犬猫の被毛からMicrosporum
canisの分離
Isolation of Microsporum canis from the hair coat of pet dogs and cats belonging to owners diagnosed with M. canis tinea corporis
Vet Dermatol. October 2006;17(5):327-31.
Claudia Cafarchia, Diana Romito, Gioia Capelli, Jacques Guillot, Domenico Otranto
抄録:Microsporum canisは頭部白癬、体部白癬のヒト症例からよく分離されている。その感染は皮膚病変をもつ感染動物から獲得されると思われるが、無症候性キャリアーまたは環境もそうである。ヒトで無症候性M.canisキャリアーは皮膚糸状菌症の疫学に重要な因子と考えられるため、この研究は皮膚病変がない犬猫の被毛における皮膚糸状菌の存在と、それぞれのオーナーの疾患発生の関連を調査した。1999年1月から2005年1月まで合計犬136頭と猫248頭のサンプルを採った。78頭(犬22頭、猫56頭)はM.canisが原因の体部白癬に罹患したオーナーが飼育し、306頭(犬114頭、猫192頭)は皮膚糸状菌症がないオーナーが飼育していた。
各動物の年齢、性別、犬種、住居、季節を記録し、潜在リスクファクターとして調査した。皮膚糸状菌は20.5%の犬と28.2%の猫から分離した。体部白癬と診断されたオーナーと同居する犬の36.4%からM.canisが分離されたが、病変のないオーナーの犬からは分離されなかった。対照的に、体部白癬と診断されたオーナーと同居している猫の53.6%からM.canisは分離され、症状がないオーナーの猫の14.6%からも分離された。それらの結果は、皮膚糸状菌症の臨床症状が存在しないときでも、ヒトに対する病原皮膚糸状菌の主要ソースとして犬猫を考慮すべきと明確に指摘する。(Sato訳)
■通常の避妊手術後に見られた腹部膿疱性カリシウイルス皮膚炎の猫2例
Pustular calicivirus dermatitis on the abdomen of two cats following routine ovariectomy
Vet Dermatol. December 2005;16(6):395-400.
J Declercq
2頭の猫に見られたカリシウイルス皮膚炎の珍しい型を紹介する。2頭の完全ワクチン接種済み猫が、通常の避妊手術後、食欲不振と元気がないということで再入院した。上部呼吸疾患の症状は存在しなかった。1頭はその後切開創の痛みを伴う壊死を認め、もう1頭は胸水を伴う呼吸困難と孤立性舌潰瘍を起こした。手術の準備をした腹部領域に膿疱性病変がそれぞれ11日目と9日目に出現した。組織病理学的診断は汎表皮膿疱症と壊死性皮膚炎だった。猫カリシウイルス抗原に一致する免疫組織化学染色の陽性所見が、膿疱性病変内の上皮細胞で検出された。治療は抗生物質とケトプロフェンで行った。1頭は呼吸困難の進行で安楽死を行った。もう1頭の臨床症状はグルココルチコイド療法により速やかに、完全に解消した。報告された症例は避妊手術後、特徴的なカリシウイルス誘発膿疱性皮膚炎を現したのかもしれないと仮定される。(Sato訳)
■犬の肛門周囲瘻病変の程度と関連臨床症状に対するシクロスポリンの2つの投与量の効果を評価する
Evaluation of the effect of two dose rates of cyclosporine on the severity of perianal fistulae lesions and associated clinical signs in dogs
Vet Surg. August 2006;35(6):543-9.
Arthur K House, Javier Guitian, Susan P Gregory, Robert J Hardie
目的:肛門周囲瘻(PAF)に対するシクロスポリン(2または5mg/kg24時間ごと)の効果を調査する
研究構成:盲目無作為前向き研究
動物:肛門周囲瘻の犬(n=20)
方法:犬を無作為に振り分け、24時間おきにシクロスポリン2mg/kg(n=10)または5mg/kg(n=10)を8週間投与した。2週間ごとに病変表面積を測定し、病変程度はビジュアルアナログスケールでグレードをつけ、臨床症状の有無と程度を記録した。
結果:8週後に両群の病変値は有意に低下し、オーナーも臨床症状程度の低下を報告した。2mg/kgに比べ5mg/kgの投与量は病変消散を有意に促進した。2mg/kg群で20%の犬の臨床症状は完全に解消し、10%の病変が消散した。5mg/kgの群で40%の犬の臨床症状は完全に解消し、60%の病変が消散した。
結論:24時間おきの5mg/kgの投与量は、2mg/kgよりもPAF病変の表面積、程度を減少させるのにより効果的であるが、12時間毎5mg/kg以上の投与を行った過去の研究よりもPAF病変を解消する効果は少なかった。
臨床関連:24時間おきのシクロスポリン5mg/kgの投与はPAF病変の緩和に有効と思われる。(Sato訳)
■3頭の犬における色素沈着性表皮斑
Pigmented epidermal plaques in three dogs.
J Am Anim Hosp Assoc 40[5]:411-7 2004 Sep-Oct
Stokking LB, Ehrhart EJ, Lichtensteiger CA, Campbell KL
3頭の犬の色素沈着性表皮斑(PEP)でパピローマウイルスを確認した。ミニチュアシュナウザーは副腎皮質機能亢進症と低グロブリン血症、アメリカンスタッフォードシャーテリアは低グロブリン血症、ポメラニアンは未確認の甲状腺機能低下症だった。ポメラニアンの別々の斑内に扁平上皮癌(SCC)が発生した。最初の2症例は、併発疾患の治療と低用量経口インターフェロン‐アルファーの投与で臨床症状の改善が見られた。これはアメリカンスタッフォードシャーテリアとポメラニアンにおけるPEPの最初の報告である。PEPからSCCへの悪性転換の可能性は、PEPの認識と臨床管理の必要性を強調するものである。(Sato訳)
■毛サイクル停止(alopeciaX)のポメラニアンへのメラトニン補完に対するエストロジェン受容体の評価
Oestrogen receptor evaluation in Pomeranian dogs with hair cycle arrest (alopecia X) on melatonin supplementation.
Vet Dermatol. 2006 Aug;17(4):252-8.
Frank LA, Donnell RL, Kania SA.
免疫組織化学によって毛包サイクル停止(alopeciaX)をもつ犬のエストロジェン受容体の役割を調査した。
この研究の目的は、メラトニンで治療した毛サイクル停止をもつ犬の育毛が、毛包のエストロジェン受容体の減少と関連があるかどうかを決定することだった。毛サイクル停止をもつ15頭のポメラニアン(避妊していないメス犬を除外)が登録された。メラトニン投与前と投与3ヵ月後に胴体の脱毛部位より2箇所の生検組織を採取してヘマトキシリン・エオジン染色で染色された組織を検査し、エストロジェン受容体αを免疫組織学的に示した。一般的な組織病理学的検査では角質増殖、毛胞の角化、過剰な毛根鞘の角質化(炎状毛包)、薄い表皮、少なくて小さい発育期相の毛根、上皮の色素沈着そして毛包角質内のメラニン凝集が観察された。基底細胞と毛の中のメラニン凝集が時々観察された。 3カ月後、40%の犬(6頭)犬で軽度から中等度に毛の成長が観察された。生検したところ、6頭の犬で発育期相の毛の増加、8頭の犬で上皮の色素沈着の減少という組織学的証拠が見られた。エストロジェン受容体-αの中等度から著しい染色強度がすべての皮脂腺基底細胞、すべての小さい毛根、および休止期の毛の毛包上皮で観察された。
上皮、アポクリン腺あるいは皮膚線維芽細胞において核のエストロジェン受容体-α染色は全くありませんでした。大きい発育期相の毛根にはエストロジェン受容体染色は最小限か、まったくありませんでした。毛の再成長はエストロジェン受容体-α染色における変化に関連づけられませんでした。(Dr.Kawano訳)
■実験的に誘発した大豆過敏症の犬における加水分解大豆蛋白に対する免疫反応
Immunologic responses against hydrolyzed soy protein in dogs with experimentally induced soy hypersensitivity
Am J Vet Res. March 2006;67(3):484-8.
Anna Puigdemont, Pilar Braz?s, Montserrat Serra, Alessandra Fondati
目的:実験的に誘発した大豆蛋白に対するI型過敏症の犬が加水分解の大豆に反応し、皮内および経口暴露後に皮膚または胃腸管反応を起こすかどうか調査する
動物:12頭の未処置ビーグルの子犬(9頭感作、3頭コントロール)
方法:9頭は90日間アレルゲンを投与することにより、大豆に対し感作した。感作期間後、大豆−特異IgE血清濃度を測定し、大豆蛋白に監査されていることを皮内試験で確認した。自然の大豆蛋白と加水分解大豆蛋白の皮内チャレンジ試験および経口チャレンジ試験を、6頭の感作犬と2頭のコントロール犬で実施した。
結果:感作過程終了後、大豆−特異IgE血清高濃度および皮内試験陽性が9頭の感作犬で観察された。感作犬に加水分解大豆蛋白を暴露したとき、自然の大豆蛋白で皮内および傾向暴露した反応と比べ、皮内注射後の炎症反応は低減し、経口暴露後の臨床反応は観察されなかった。
結論と臨床関連:大豆感作犬は加水分解大豆蛋白の経口投与に反応しなかった。このように加水分解大豆蛋白は食物有害反応を持つ犬の管理に作成された食餌として有効と思われる。(Sato訳)
■181頭の掻痒症の犬において食物有害反応の診断における家庭食と鶏肉加水分解食を使ったの一連の症例の回顧的分析
A retrospective analysis of case series using home-prepared and chicken hydrolysate diets in the diagnosis of adverse food reactions in 181 pruritic dogs.
Vet Dermatol. 2006 Aug;17(4):273-9.
Loeffler A, Soares-Magalhaes R, Bond R, Lloyd DH.
この回顧的研究の目的は犬の食物有害反応(ARF)の診断において家庭食と鶏肉加水分解食を比較することだった。72頭の犬に家庭食を与え、109頭の犬に加水分解食を与えた。飼い主は説明時に食事のタイプを選択し、家庭食の成分はそれぞれの犬の食事の履歴に依存して選択した。外部寄生虫感染と細菌感染は試験中に治療した。食事試験の前、6週間の試験中、もとの食事の暴露の後に皮膚と胃腸管症状と痒みのスコアを記録した。試験中に痒みが解消し食事暴露で再発した場合に食物有害反応と診断した。
統計学的に有意差はなかった(市販食18.1% ; 加水分解24.7%, P = 0.377)が、ドロップアウト率は家庭食の方が低かった。家庭食を使った10頭(17%)の犬と、加水分解食を与えた15頭(18.3%)が食物有害反応と診断された。胃腸管症状は食物有害反応がない犬より食物有害反応がある犬のほうがより多く認められた(P
= 0.001)。家庭食グループの他の11頭(18.6%)と加水分解食グループの20頭(24.4%)は主にアトピーのような他の痒みを伴う疾患と共に食物有害反応を呈した。2つのグループ(食物有害反応
P = 0.837 続発性食物有害反応P = 0.416)における食物有害反応の同じような診断頻度は、鶏肉加水分解食が犬の食物有害反応の診断において家庭食よりも有益な代替手段であるかもしれないことを示した。前向き交差研究がこれらの調査結果を確認するために必要と思われる。(Dr.Kawano訳)
■メラトニンの経口投与による成犬の性ホルモン、プロラクチンそして甲状腺ホルモン濃度への影響
Effect of oral melatonin administration on sex hormone, prolactin, and thyroid hormone concentrations in adult dogs.
J Am Vet Med Assoc. 1999 Oct 15;215(8):1111-5.
Ashley PF, Frank LA, Schmeitzel LP, Bailey EM, Oliver JW.
目的:犬の性ホルモン、プロラクチンそしてチロキシン血清濃度に対するメラトニン(MT)経口投与による効果を決定する。
計画: 前向き研究
動物: 性的に無傷の成犬雄8頭と雌8頭
方法: 5頭の雄雌犬をMT(1.0〜1.3mg/kg、経口投与、12時間毎に28日間) で治療した。他の6頭の犬はコントロールとして使用した。0、14、および28日目で血液を採取して、エストラジオール-17β、プロゲステロン、テストステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン(17HP)、硫酸ジヒドロエピアンドロステロン (DHEAS)、プロラクチン、およびチロキシンを測定した。4頭の治療犬において5日目に血清MT濃度を測定し、MT投与前と投与後定期的に8時間まで測定した。
結果: MTで治療した雌犬は0と28日目の間において血清エストラジオール、テストステロン、およびDHEAS濃度が明らかに低下した。
MTで治療した雄犬は0と28日目の間において血清エストラジオールと17-HP濃度が明らかに低下した。 血清MT濃度は、MT投与後にかなり増加して、少なくとも8時間高いままを維持した。プロラクチンとチロキシン濃度は治療に影響を受けなかった。
結論と臨床関連: メラトニンは、経口投与によってよく吸収され、血清性ホルモン濃度を変化させるかもしれません。(Dr.Kawano訳)
■脱毛している犬の性ホルモン濃度
Sex Hormone Concentrations in Dogs with Alopecia
Sm Anim Clin Endocrinol 14[1]:37-38 Jul'04 Retrospective Study 0 Refs
C. B. Chastain, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine) Professor, Companion Animal Medicine and David Panciera, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine) Professor, Small Animal Medicine
Frank LA, Hnilica KA, Rohrbach BW, et al.; Vet Dermatol 2003;14:91-97
イントロダクション:
背景:脱毛は種々内分泌疾患の犬の一般的な臨床所見である。副腎過形成様症候群、alopecia
X、成長ホルモン反応性皮膚病、去勢反応性皮膚病や他の名前で知られているまれな症候群は、副腎ステロイドホルモン異常の結果と仮定されている。プラッシュ皮毛犬種やプードルでよく発生する。下毛の喪失後、完全脱毛が通常四肢を残して起こる。原因と最適な治療は依然不明である。
目的:この研究目的は、脱毛の原因がわからない犬の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)刺激試験前後のいくつかのステロイドホルモン血清濃度を評価することだった。
サマリー:
方法:ACTH刺激試験中のプロゲステロン、17-OHプロゲステロン、硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)、アンドロステンジオン、エストラジオール、コルチソル血清濃度を回顧的研究で評価した。全頭脱毛があり、正常な血清T4、犬TSH濃度、または甲状腺ホルモン補填で反応がなく、ACTH後のコルチソル濃度が200ng/ml以下だった。追加の臨床情報は明白に提供されていなかった。
結果:7年間にわたる276頭の血清で研究した。多く見られた犬種は、ポメラニアン、プードル、チャウチャウ、キースホンド、サモエド、アラスカンマラミュート、アメリカンエスキモー、シベリアンハスキー、コッカスパニエルだった。最低1つの基礎、またはACTH刺激後ステロイドホルモンは、73%の犬で正常範囲以上だった。刺激後のプロゲステロン濃度が一般的に異常を呈し、サンプルの58%が上昇していた。エストラジオール、プロゲステロン、17-OHプロゲステロン、DHEASの基礎およびACTH刺激後の濃度は、犬種間および正常犬と比較していくらかの症例で有意差が認められた。プロゲステロン、17-OHプロゲステロンの基礎、ACTH後血清コルチソル濃度および基礎アンドロステンジオン濃度は、コルチソル濃度と有意に相関した。
結論:甲状腺機能低下症または過剰なコルチソル分泌が原因ではない脱毛に関与する一貫したステロイドホルモン異常はなかった。ホルモン不均衡は多くの症例の脱毛の原因ではないかもしれない。
臨床への影響
この研究は多くの症例を使用しているが、脱毛の原因の最終的な診断はここの犬で明確に確立されなかった。また、正常な特定犬種のホルモン濃度正常範囲も確立されず、犬種間で正常範囲が変化する可能性が高い。過剰なコルチソル分泌を起こす副腎皮質機能亢進症の犬が、頻繁にプロゲステロンや17-OHプロゲステロンなどの他のステロイドホルモンを過剰に分泌することが示されている。また、クッシング症候群に関与する全ての臨床異常は、正常血漿コルチゾールの犬で述べられているが、ACTH刺激試験でプロゲステロンまたは17-OHプロゲステロン濃度は上昇した。脱毛の非内分泌性の原因は、研究した全ての症例の脱毛で除外されなかった。この研究で脱毛の他の臨床所見に関する情報なしに、この研究で気付いたホルモン異常の重要性は不明である。(Sato訳)
■猫の座瘡の臨床的、細胞学的、感染性そして組織病理学的兆候の評価
An evaluation of the clinical, cytological, infectious and histopathological features of feline acne
Veterinary Dermatology Volume 17 Page 134 - April 2006
E. Jazic, K. S. Coyner, D. G. Loeffler and T. P. Lewis
アメリカ南西部の獣医皮膚科病院に委託された、あるいは有志による猫22頭の猫の座瘡における細胞学的、微生物学的そして組織病理理学的兆候を調査した。比較のために5頭の罹患していない飼い猫において、いくつかのパラメーターを評価した。さらにすべての猫で、座瘡病変における猫カリシウイルス(FCV)と猫ヘルペスウイルス(FHV-1)の存在を免疫組織化学検査(IHC)によって評価した。座瘡に罹患した猫の発症年齢は6ヵ月から14歳で、平均4歳でした。
最も一般的な皮膚病変は、コメド (73%)、脱毛(68%)、落屑(55%)、丘疹(45%)および紅斑(41%)でした。
掻痒は罹患した猫の35%で報告されました。Malassezia pachydermatitisの細胞学的エビデンスは罹患した猫の4/22(18%)に存在していました。 Microsporum canisは罹患した1頭の猫で観察された。 細菌は22頭の罹患した猫のうち10頭(45%)で分離された。 コアグラーゼ陽性ブドウ球菌とα溶血性連鎖球菌は最も一般的でした。 組織病理学的特徴はリンパ球プラズマ細胞性血管周囲炎(86%)、皮脂腺導管拡張(73%)、栓子あるいは拡張を伴う毛包角化症(59%)、外毛腺閉塞そして拡張(32%)、毛包炎(27%)、化膿性肉芽腫性皮脂腺炎(23%)そしてフルンケル症(23%)であった。
5頭の同居猫のうち1頭の猫には座瘡があり、IHCによる顎の生検でFCV抗原が検出された。5頭の健康な猫と同様に、すべての他の罹患した猫からの顎組織検体ではIHC によるFCVおよびFHV-1抗原は陰性であった。(Dr.Kawano訳)
■シェットランドシープドックとラフコリーの小胞皮膚紅斑性狼瘡の11症例:臨床管理と予後
Eleven Cases of Vesicular Cutaneous Lupus Erythematosus in Shetland Sheepdogs and Rough Collies: Clinical Management and Prognosis
Vet Dermatol 15[1]:37-41 Feb'04 Retrospective Study 8 Refs
H. A. Jackson
皮膚潰瘍疾患は、シェットランドシープドックとラフコリーの成犬に認められる。これは、皮膚紅斑性狼瘡の小胞変化(VCLE)に一致する明確な臨床、組織学所見を持つ。臨床結果と治療に対する反応の回顧的情報を、VOLEと組織学的に確認した11症例から収集した。11頭中8頭の疾患発現は夏だった。次の夏に3頭が再発した。8頭で、皮膚疾患は、最低9ヶ月の追跡調査後も治療により75-100%コントロールできていると判定された。それら症例の7頭で成功した治療方法は、経口グルココルチコイドの免疫抑制量単独(1頭)、アザチオプリンと併用(5頭)、ドキシサイクリンと併用(1頭)だった。1頭は局所フルオシノロンに反応した。3頭はその疾患に直接関連する理由で安楽死され、1頭は治療を開始する前に安楽死された。ラフコリーやシェットランドシープドックの小胞皮膚紅斑性狼瘡は、解消可能で積極的な免疫抑制量法による管理が一番良い。日光を避ける、または日焼け止めの使用が、追加の管理に推奨され、重要である。(Sato訳)
■犬のマラセチア性皮膚炎の治療で経口セファレキシン、テルビナフィンまたはケトコナゾールの組み合わせで臨床効果を比較した‐予備研究
Comparison of the Clinical Efficacy of Oral Terbinafine and Ketoconazole Combined with Cephalexin in the Treatment of Malassezia Dermatitis in Dogs - A Pilot Study
Vet Dermatol 16[3]:171-176 Jun'05 Clinical Trial 18 Refs
Millie S. Rosales, Rosanna Marsella *, Gail Kunkle, Bradley L. Harris, Constance F. Nicklin and Jennifer Lopez
この無作為単一盲目臨床試験の目的は、犬のマラセチア性皮膚炎の治療として経口セファレキシン単独およびそれとテルビナフィン、またはケトコナゾールとの組み合わせで細胞、および臨床的効果を評価することだった。
マラセチア性皮膚炎の22頭の飼育犬が3週間の研究を完遂した。全ての犬にセファレキシン(ジェネリック、250mgまたは500mg)を1日2回22-30mg/kgで投与した。8頭には1日1回テルビナフィン30mg/kgを投与し、7頭は1日2回ケトコナゾール(ジェネリック、200mg)5-10mg/kgを投与した。残り7頭はセファレキシン単独投与だった。
0週(来院1)と3週(来院2)時に、3箇所の罹患部でテープストリップ細胞診を用い平均酵母数を測定し、その罹患部に臨床指数スコア(CIS)を割り当て、オーナーにはビジュアルアナログスケールで痒みを評価してもらった。
全群で平均酵母数、CIS、および痒みの減少を認めた。来院1から来院2の間の平均酵母数の低下は、テルビナフィン、ケトコナゾール、セファレキシン単独でそれぞれ86.8%、80.2%、28.8%だった。しかし治療群比較で、平均酵母数の有意な減少はテルビナフィン(P<0.002)とケトコナゾール(P<0.01)に見られただけだった。痒みの低下はテルビナフィン群のみ有意であった。それらの予備的結果は、テルビナフィンの犬マラセチア性皮膚炎の治療に対してさらなる調査を示唆する。(Sato訳)
■犬のBlack hair follicular dysplasia: 透過型電子顕微鏡検査を使用した超構造的研究
Black hair follicular dysplasia in a dog: an ultrastructural study using transmission electron microscopy
A. Shimizu, A. Ishiko, N. Murayama and M. Nagata
Veterinary Dermatology
Volume 15 Issue s1 Page 53 - August 2004
Black hair follicular dysplasia (BHFD)は、2色あるいは3色の被毛がある犬が幼齢時に黒い領域だけ毛を喪失する稀な疾患である。 毛幹と毛庖の中の大きいメラニン顆粒沈着はこの疾患の顕著な特徴だが、病因は不確実なままである。 走査型電子顕微鏡検査を使った研究で、色素転移の異常が病因に役割を果たすかもしれないことが示された。ここに、私たちは透過型電子顕微鏡検査で病変を調べた犬のBHFDを紹介する。
白黒被毛を持つ3歳の雑種犬(雄)は黒色被毛領域での2年間の脱毛の経歴があった。身体検査で脱毛症以外の異常は全く認められなかった。皮膚掻爬検査、真菌培養、完全血球計算、生化学分析、そして内分泌検査に顕著な変化は認められなかった。 組織病理学的に、白色被毛領域に異常は全く観測されなかったが、黒色被毛領域には毛幹と毛包に多数の大きいメラニン顆粒が見られた。 これらの所見に基づいて、BHFDと診断した。
透過型電子顕微鏡検査で休止期毛包の下部で非定型的 (形とサイズ) なメラノソームから成る多数のメラニン色素塊が明らかにされた。 いくつかのメラニン塊が細胞膜様構造によって囲まれて、そこでは、変性した核が認められた。メラニン色素塊がメラニン遮断から発すると推測された。 さらなる調査がBHFDの病因のより良い理解に必要である。(Dr.Kawano訳)
■脱毛を伴う犬における性ホルモンとステロイドホルモン中間介在物の回顧的評価
Retrospective evaluation of sex hormones and steroid hormone intermediates in dogs with alopecia
Veterinary Dermatology
Volume 14 Issue 2 Page 91 - April 2003
Linda A. Frank, Keith A. Hnilica*, Barton W. Rohrbach and Jack W. Oliver
この研究の目的は、甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢症が除外された犬における、内分泌性が疑われる脱毛と関連した特定のステロイドホルモン異常があるかどうか判定することだった。7.5年の期間(783検体)、脱毛症を伴う犬からUTCVM内分泌学研究所に報告されたステロイドホルモンパネルを検討した。この期間、276頭の犬が評価基準を満たし、異なる54犬種から構成された。約73%の犬はプレあるいはポストACTH刺激ステロイドホルモン中間介在物が1つ以上正常範囲より高かった。上昇の頻度が最も多かったたホルモンはプロゲステロン(57.6%の検体)だった。
正常な犬と比較してエストラジオールはキースホンドで有意に高く、プロゲステロンはポメラニアンとシベリアンハスキーで有意に高かった。
すべての個々の犬には、ホルモン異常があったというわけではなかった。チャウチャウ、サモエド、およびマラミュートは、この研究において正常なステロイドホルモン中間介在物を持つ割合が最大であった。基礎のコルチゾール濃度はプロゲステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、およびアンドロステンジオンと有意に関連があった。この研究の結果は、少なくともいくつかの犬種において脱毛症の病理機構がステロイドホルモン中間介在物に関連しないかもしれなく、犬種特異性の正常値であることの必要性を強調することを示した。(Dr.Kawano訳)
■メラトニンとミトタンによる治療前と治療中において毛周期の停止(Alopecia
X)した犬における副腎ステロイドホルモン濃度
Adrenal steroid hormone concentrations in dogs with hair cycle arrest (Alopecia X) before and during treatment with melatonin and mitotane.
Vet Dermatol. 2004 Oct;15(5):278-84.
Frank LA, Hnilica KA, Oliver JW.
研究の目的は、メラトニンで治療中の毛周期が停止(Alopecia X)した去勢犬の中間副腎ステロイドホルモン(ISH)を評価すること、および毛の再生が正常範囲内の性ホルモン濃度と関連があるかどうか評価することである。29頭の去勢した、甲状腺機能が正常で、正常なコルチゾール値の犬 (ポメラニアン23頭、キースホンド3頭、ミニチュアプードル2頭、およびシベリアンハスキー1頭) を研究した。
被毛検査とACTH刺激試験は処置前および治療後一年間、約4ヶ月ごとに実施した。メラトニンを初めは3-6mg、12時間毎で投与し、臨床症状の進行に基づいて各犬は、増量したメラトニンで維持するか、あるいはまたはミトタンに変更した。23頭中14頭のポメラニアンで部分的もしくは完全に再発毛し、3頭中3頭のキースホンドそして2頭中1頭のプードルで部分的に再発毛した。シベリアンハスキーは再発毛しなかった。15頭の犬は、最初の再評価の時点で部分的な再発毛があった。メラトニンの投与量は8頭の犬で増加したが、1頭だけ再発毛した。ミトタン処置において6頭中4頭で部分的もしくは完全に再発毛したが6頭中2頭で再発毛しなかった。メラトニンもしくはミトタン処置中に性ホルモン濃度の有意な減少は見られなかった。再発毛を伴う犬のISH濃度は処置前の値と有意差がなかった。
研究の終了時、アンドロステンジオン、プロジェステロン、17-ヒドロキシプロジェステロンが部分的もしくは完全に毛が再成長した犬のそれぞれ21%、64%、36%推奨範囲よりまだ高かった。
結論として、62%の犬は部分的もしくは完全に再発毛した。 しかし、再発毛した犬のすべてのISH濃度が正常範囲ということではなかった。(Dr.Kawano訳)
■皮脂腺炎の犬の臨床、組織学的異常に対するシクロスポリンAの効果
Effects of Cyclosporine A on Clinical and Histologic Abnormalities in Dogs with Sebaceous Adenitis
J Am Vet Med Assoc 226[1]:59-64 Jan 1'05 Clinical Trial 44 Refs
Monika Linek, Dr med vet; Christina Boss, DVM; Renate Haemmerling, Dr med vet; Marion Hewicker-Trautwein, Prof; Lars Mecklenburg, PhD *
目的:犬の皮脂腺炎の治療でシクロスポリンAの効果を評価する
構成:Open-label臨床試験
動物:皮脂腺炎の犬12頭
方法:12ヶ月間シクロスポリンA5mg/kg/日経口投与で治療し、4ヶ月毎に再評価した。各体の17箇所の部位で、脱毛の広がりと毛包円柱の程度を欠如、軽度、中程度、重度とグレードをつけ、臨床スコアーを算出した。バイオプシー標本を採取し、組織学的に免疫組織化学染色で検査した。
結果:治療4ヶ月後の平均臨床スコアーは最初の基準スコアーと比較し有意に低下し、8ヶ月、12ヶ月と低下し続けた。組織学的に、炎症の程度はマクロファージ、CD3+T細胞、腫瘍組織適合性複合体クラスII発現細胞など有意に低下した。皮脂腺を伴う毛包の比率は増加し、皮脂腺の再生を示唆した。臨床症状はシクロスポリンを中止すると再発した。
結論と臨床関連:結果から、皮脂腺の犬に5mg/kg/日でシクロスポリンAを投与すると炎症を低下させることが分かる。疾患の管理には長期治療が必要と思われる。(Sato訳)
■イヌネコの皮膚糸状菌症の治療:発表された研究の再検討
Treatment of Dermatophytosis in Dogs and Cats: Review of Published Studies
Vet Dermatol 15[2]:99-107 Apr'04 Review Article 49 Refs
Karen A. Moriello
イヌネコの皮膚糸状菌症に関する最近の文献を再検討した。感染した皮毛を分離して使用するインビトロ研究やコントロール、またはフィールドインビボ研究をもとに、続く局所治療薬は一致しており、抗真菌剤(すなわち抗皮膚糸状菌)、石灰硫黄(1:16)、0.2%エニルコナゾールリンス、2%ミコナゾール/クロルヘキシジン混合シャンプーなどである。動物、または皮毛は1週間に1回か2回入浴またはリンスをした。イトラコナゾール、グリセオフルビン、テルビナフィンをよく関与するネコでコントロール、またはフィールド研究で評価した。
グリセオフルビン(50mg/kg)は、41-70日で罹患動物を治癒させると報告された。イトラコナゾール(10mg/kg1日1回、または毎日/パルス療法の組み合わせ10mg/kg1日1回28日間と1週間投与/1週間休薬)は、56-70日で罹患動物が治癒すると報告された。低用量イトラコナゾール(1.5-3.0mg/kg)15日サイクルで、1-3サイクル(15-45日)必要だった。テルビナフィンの種々の投与量(5-40mg/kg)は伝えるところによれば、イヌ、またはネコの治療で使用された。高用量のテルビナフィン(>20mg/kg)は、菌学的治癒を達成するのに必要だった。治癒までの治療日数は、21日から>126日まで変動した。ルフェヌロンは裏づけが乏しく効果的に治癒すると報告されたが、コントロール研究で実証されていない。最後に、真菌ワクチンはチャレンジ試験に対し効果がなかったが、治療プロトコールで有効かもしれないという所見はあった。(Sato訳)
■猫の形質細胞性足皮膚炎:8症例の研究
Feline plasma cell pododermatitis: a study of 8 cases
Veterinary Dermatology
Volume 14 Issue 6 Page 333 - December 2003
Patr?cia Dias Pereira and Augusto M. R. Faustino
3年以上かけて集めた猫の形質細胞性足皮膚炎の8症例を、組織学的(ヘマトキシリンとエオジン)、組織化学的(メチレングリーン-ピロニン)そして免疫組織化学的(免疫グロブリンのλ(L)鎖に対する抗体)技術を使って研究した。性、品種もしくは年齢の素因はなく、罹患しやすい肢もないことが観察された。この病気は肉球の腫脹に始まり、続いて潰瘍を形成した。組織学的に、病変は主に血管周囲パターンにおける多数の形質細胞の存在に特徴付けられた。2核形質細胞と 有糸分裂像が観察された。1年以上の臨床経過で4症例の糖質コルチコイド療法そして2頭の全外科的切除の両方において完全寛解を認めた。1症例において追跡調査ができなかった。(Dr.Kawano訳)
■2頭の猫における慢性の肉球出血を伴う形質細胞性足皮膚炎
Plasma cell pododermatitis with chronic footpad hemorrhage in two cats.
J Am Vet Med Assoc. 1990 Aug 1;197(3):375-7.
Taylor JE, Schmeitzel LP.
掌部そして中足肉球の腫大、そして罹患した肉球のうち1つの潰瘍、そして潰瘍からの慢性出血の病歴を伴う2頭の猫で形質細胞性足皮膚炎を診断した。1頭の猫は貧血(PCV, 14.6%)であった。潰瘍は出血をコントロールするため辺縁切除、縫合し、コルチコステロイドの免疫抑制量で治療した。両方の猫は3〜4週間の治療後、肉球の大きさにおいてかなりの減少が見られた。形質細胞足皮膚炎は免疫介在性、もしくはアレルギー性疾患かもしれないことを示唆する所見があるが原因は未だに分っていない。(Dr.Kawano訳)
■皮脂腺炎の犬における臨床的、組織学的異常に関するシクロスポリンAの効果
Effects of Cyclosporine A on Clinical and Histologic Abnormalities in Dogs with Sebaceous Adenitis
J Am Vet Med Assoc 226[1]:59-64 Jan 1'05 Clinical Trial 44 Refs
Monika Linek, Dr med vet; Christina Boss, DVM; Renate Haemmerling, Dr med vet; Marion Hewicker-Trautwein, Prof; Lars Mecklenburg, PhD *
目的:犬の皮脂腺炎の治療において、シクロスポリンAの効果を評価することです。
計画:オープンラベル臨床試験
動物:皮脂腺炎の犬12頭
手順:12ヵ月間、犬をシクロスポリンA、5mg/kg/day、POで治療し、4ヵ月ごとに再評価しました。臨床スコアは、体の17領域において、それぞれ、なし、軽度、中程度、重度と、脱毛の程度と毛包の重症度を階級付けすることにより算出しました。生検標本を採取し、免疫組織化学染色により組織学的に検査しました。
結果:平均臨床スコアは、治療の4ヵ月後、基準スコアと比較して有意に減少し、8ヵ月、12ヵ月後も、スコアは低いままでした。組織学的に炎症の重症度は、マクロファージの数、CD3+T細胞、そして主要組織適合複合体クラスU発現細胞に関し、有意に減少しました。皮脂腺を持った毛包のパーセンテージは増大し、皮脂腺の再生を示唆しておりました。臨床徴候は、シクロスポリン投与を中止した時、再発しました。
結論と臨床関連:結果は、シクロスポリンA、5mg/kg/dayの投与が、犬における皮脂腺炎に関連した炎症を減少させるかもしれないということを示唆しております。疾患をコントロールするには、長期治療が必要であると思われます。(Dr.K訳)
■イヌ家族性皮膚筋炎のイヌで、ペントキシフィリンとその活性代謝産物の治療反応
Therapeutic Response to Pentoxifylline and Its Active Metabolites in Dogs with Familial Canine Dermatomyositis
Vet Ther 4[3]:234-241 Fall'03 Case Report 14 Refs
Christine A. Rees, DVM & Dawn M. Boothe, DVM, PhD
臨床所見と皮膚バイオプシーの結果をもとに家族性皮膚筋炎と診断した10頭のイヌを、3ヶ月間ペントキシフィリン(25mg/kg1日2回)の経口投与で治療した。全血数、血清生化学、尿検査のために、血液と尿サンプルを隔週で採取した。また、血清でペントキシフィリンとその2つの主な代謝産物(代謝産物1[M1]と5[M5])も分析した。身体検査を行った。そして皮膚病変を写真撮影し、隔週で主観的なスコアーをつけた。反応の中央値は、6週間(範囲4-10週間)だった。臨床化学検査、血液検査、尿検査結果は、最初のサンプル採取と最終評価(12週目)で違いはなかった。
一般にペントキシフィリンとその2つの代謝産物は、採取時間のピーク(3時間)でしか検出できなかった。M5濃度は各採取時間で3つの物質のうち最も高く、最も小さな変動を特徴とした。2週目と12週目の濃度の統計学的有意差は存在しなかった。10頭のイヌのうち4頭は、治療に対する完全な臨床反応を特徴とし、6頭は部分的反応を起こした。それら反応をもとに、12時間ごとの25mg/kg投与は、家族性イヌ皮膚筋炎のイヌのペントキシフィリン初期投与量として有効である事は明らかだった。代謝産物の組成など変わりやすい性質のため、ペントキシフィリン濃度のモニタリングで、治療の有効性を提示できないかもしれない。(Sato訳)
■フェノバルビタールの投与歴を持つ11頭のイヌの表皮壊死性皮膚炎(1995-2002)
Superficial Necrolytic Dermatitis in 11 Dogs with a History of Phenobarbital Administration (1995-2002)
J Vet Intern Med 18[1]:65-74 Jan-Feb'04 Retrospective Study 74 Refs
Philip A. March, Andrew Hillier, Steven E. Weisbrode, John S. Mattoon, Susan E. Johnson, Stephen P. DiBartola, and Peter J. Brofman
表皮壊死性皮膚炎と組織学的に確認され、過去にフェノバルビタール投与歴を持つイヌ11頭の臨床記録を回顧的に評価した(1995-2002)。病歴、臨床、臨床病理、超音波、病理所見を、過去にフェノバルビタール投与を受けていない表皮壊死性皮膚炎のイヌや、皮膚疾患がないフェノバルビタール関連肝毒性を持つイヌのものと比較した。フェノバルビタールの投与歴を持つ表皮壊死性皮膚炎のイヌは、1995年から2002年の間にオハイオ州立大学病院で評価し、表皮壊死性皮膚炎とすべて組織学的に確認された症例の44%を占めた。
フェノバルビタール投与歴を持つ表皮壊死性皮膚炎のイヌの年齢中央値は10歳で、フェノバルビタール投与期間の中央値は6年だった。平均ALT活性は239U/L、異常な高ALT活性持続期間の中央値は、表皮壊死性皮膚炎の診断前6.25ヶ月だった。1頭のイヌで測定した血漿アミノ酸濃度はかなり低下していた。高エコーの縁を持つ低エコーの結節の超音波所見は、空胞肝細胞を伴う崩壊した実質帯に囲まれた正常な肝組織の結節部分の病理所見と一致した。フェノバルビタール投与歴のある表皮壊死性皮膚炎と投与歴のないものの臨床、臨床病理、超音波、病理所見は同じだった。フェノバルビタール関連肝硬変、明白な肝不全は、フェノバルビタール投与歴を持つ表皮壊死性皮膚炎のイヌの特徴ではなかった。異なる病原メカニズムが、イヌの表皮壊死性皮膚炎を引き起こすと思われる。フェノバルビタールの慢性投与は、表皮壊死性皮膚炎発症のリスクファクターの可能性を持つものとして更なる検査が必要である。(Sato訳)
■トリロスタンによるAlopeciaXの治療
Treatment of canine Alopecia X with trilostane
Volume 15 Issue 5 Page 285 - October 2004
ROSARIO CERUNDOLO*, , DAVID H. LLOYD*, ANGELO PERSECHINO , HELEN EVANS
and ANDRIA CAUVIN§
抄録
AlopeciaXの臨床症状、副腎皮質刺激ホルモン刺激後17-ヒドロキシプロゲステロンの血中濃度上昇、尿中コルチゾール/クレアチニン比増加を呈す16頭のポメラニアン、8頭のミニチュアプードルを3ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ競合阻害剤トリロスタンで治療した。トリロスタンは1日1回か2回、平均投与量10.85mg/kg/dayで投与した。副腎機能をポメラニアンで28ヶ月、ミニチュアプードルで33ヶ月追跡評価した。4-8週間でポメラニアンの85%、ミニチュアプードル全頭が完全に再発毛した。トリロスタン投与に起因する副作用は認められなかった。皮毛の再発は、副腎ステロイドの下方制御および・または毛包レベルのエストロゲンレセプターの非競合的阻害の結果と思われる。(Sato訳)
■犬の限局性掻痒性皮膚炎における局所ティーツリーオイルの効果-獣医診療での複数施設無作為二十盲目対照臨床試験
Topical tea tree oil effective in canine localised pruritic dermatitis--a multi-centre randomised double-blind controlled clinical trial in the veterinary practice.
Dtsch Tierarztl Wochenschr 111[10]:408-14 2004 Oct
Reichling J, Fitzi J, Hellmann K, Wegener T, Bucher S, Saller R
揮発油ティーツリーオイルは、その広域抗細菌、抗真菌活性でよく知られている。犬の限局性急性、慢性皮膚炎の管理に対し、標準、安定化10%ティーツリーオイルクリームを、市販皮膚ケアクリーム(コントロールクリーム)と比較した。7人の臨床獣医師により、主に皮膚分離細菌、真菌陽性と確認された痒みを主徴とする皮膚病変、皮膚変調、皮膚ひだ膿皮症の臨床症状を持つ57頭を選択し、2つの研究群(28:29)に無作為に振り分け、1日2回盲目局所性剤を塗布した。10日後、ティーツリーオイルクリームの成功率は71%、コントロールは41%(獣医判定者により提出された総体評価)で有意差があり(p=0.04)、ティーツリーオイルクリームのほうが好ましかった。10日目、一般的な臨床皮膚症状の痒み(84%で発生)、脱毛に対し、ティーツリーオイルクリームはコントロールクリームよりも有意に早い軽減をもたらした(p=0.04)。有害事象がティーツリーオイル群の1頭に見られ(研究薬剤に関連した原因ではないと疑われる)、コントロールクリーム群には認められなかった。検査したハーブのクリームは、痒みを伴う犬の限局性皮膚炎の対症療法で、従来の治療に代わる速効性のある安全な薬剤である。(Sato訳)
■ネコでミクロスポーラム・キャニス抗原に対する即時、遅延型過敏反応の普及率
The Prevalence of Immediate and Delayed Type Hypersensitivity Reactions to Microsporum canis Antigens in Cats
J Feline Med Surg 5[3]:161-166 Jun'03 Prospective Study 5 Refs
* KA Moriello; DJ Deter; J Greek; K Kuhl; M Fintelman
ネコでミクロスポーラム・キャニスからの自発性回復は、有能な免疫反応の発現に依存していると思われる。この研究の目的は皮膚糸状菌症を持つ、または持たないネコで明確な遅延型過敏反応の普及率を判定することだった。ネコ4群にM・キャニス抽出物による皮内試験を行い、注射後0、24、48時間目の注射部位を主観的、客観的に評価した。皮膚糸状菌症に暴露されたことが無いネコ(n=20)で、遅延皮内試験反応は存在しなかった。感染-回復したネコ(n=38培養、病変陰性とn=43病変陰性、培養陽性)は、暴露されたことが無いネコや、今感染が活動的なネコ(n=18)よりも有意に大きな皮内反応を示した。この研究の結果をもとに、M・キャニス抽出物による皮内試験は皮膚糸状菌症のネコの細胞免疫反応の評価に使用できる。(Sato訳)
■足の石灰化を持つ5頭のネコの臨床病理学的所見
Clinicopathological Findings in Five Cats with Paw Calcification
J Feline Med Surg 5[1]:11-17 Feb'03 Retrospective Study 19 Refs
* W Bertazzolo; L Toscani; S Calcaterra; L, Crippa; M Caniatti; U Bonfanti
この回顧的研究は、趾間、パットの軟部組織石灰化を持つ5頭のネコの臨床病理学的所見を述べている。足の疾患は5頭の内3頭で獣医師に相談する理由となっていた。全てのネコは、腎不全と高い溶解度積(カルシウム×リン)を示唆する検査所見を示した。全頭で、足病変の細胞学的検査は石灰沈着症を示唆した。我々の研究結果は、過去に報告されたネコの足石灰化の2症例に一致するもので、転移性の病原や足の石灰化と腎不全の関連を示唆している。(Sato訳)
■類狼瘡爪ジストロフィーの治療に関する回顧的研究30頭のイヌと文献再検討
A Retrospective Study Regarding the Treatment of Lupoid Onychodystrophy in 30 Dogs and Literature Review
J Am Anim Hosp Assoc 39[2]:139-150 Mar-Apr'03 Retrospective Study 27 Refs
* Ralf S. Mueller, Dr.med.vet., DACVD; Rodney A.W. Rosychuk, DVM, DACVIM; Leonard D. Jonas, DVM, DACVIM
類狼瘡爪ジストロフィーは、特徴的な臨床そして組織病理学的所見を伴う比較的よく遭遇するイヌの爪の異常である。この症候群は複数の原因があると思われ、多数の治療様式が報告されている。この回顧的研究の目的は、組織、臨床検査、組織病理検査をもとに類狼瘡爪ジストロフィーと診断されたイヌ30頭の様々な治療オプションの効果を評価することだった。
それら30頭の中で、ミニチュアシュナウザー、ジャーマンシェパード、ラブラドールレトリバーが良く見られた。全頭最初に提示された主訴は、四肢複数の爪に見られた爪脱落症、爪ジストロフィー、爪甲層状分裂だった。バイオプシーは、爪切除、または最近紹介されている爪切除しない爪バイオプシー法で行った。この研究で、30頭中12頭は、甲状腺機能低下症、アレルギー関連状態などの併発疾患を持っていたが、類狼瘡爪ジストロフィーとの関連は不明なままである。
脂肪酸添加(n=18)、ドキシサイクリンとニコチンアミド(n=12)、テトラサイクリンとニコチンアミド(n=10)、ペントキシフィリン(n=6)、プレドニゾロン(n=5)、アザチオプリン(n=1)、クロファジミン(n=1)、またはそれらの組み合わせで治療した。テトラ-またはドキシサイクリンとニコチンアミドの組み合わせの治療を行ったイヌのほぼ半数が、すばらしい反応を見せた。6頭のイヌは脂肪酸補給でうまく維持できた。治療終了後でも完全な寛解となるすばらしい反応をほぼ半数のイヌで見られた事は興味深い。
この研究結果をもとに、著者は類狼瘡爪ジストロフィーに、適切な抗生物質と病歴そして診断支持はあるならば食事制限試験での治療を推奨する。もし反応が悪ければ、それから8週間のテトラ-またはドキシサイクリンとニコチンアミドの投与が適切である。もし反応が不十分ならば、続いて8週間のペントキシフィリンまたは脂肪酸添加を行うべきである。無反応の疾患を持つイヌやオーナーが即座の結果を求めるようならば、グルココルチコイドのような免疫抑制剤の治療が選択されるだろう。(Sato訳)
■犬の非炎症性脱毛;何が新しくて、何が古い
Canine non-inflammatory alopecia: What's new and what's old
Jul 1, 2004
By: Dr.Carlo Vitale
犬における非炎症性脱毛は比較的一般的で、またとてもいらだたしい病態だと思う。自虐性と感染の原因と区別しなければならない。この文献が非炎症性脱毛を引き起こすいくつかの状況の詳細説明を手助けし、適切な診断とそして妥当な治療プロトコールに役立つことを望む。
我々は討議から甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症を除外する。なぜならこれら2つの内分泌症はかなり明白で、診断が難しくないからである。しかしクッシング病はかなり一般的な脱毛の原因(もしくは後で詳しく説明する毛刈り後脱毛)であるが、脱毛に関連した犬の甲状腺機能低下症はあまり一般的に見られないと述べておく。
虚血性皮膚症
これはいくつかのサブタイプを含む、かなりよく認識された皮膚病である。典型的で独創的に述べられる型は皮膚糸状菌症(DM)である。この疾患は遺伝学に基づき、免疫学的に仲介され、シェットランドシープドックとコリー種にほとんど独占的に見られる。伝播様式は様々な常染色体優勢で発現する。それは同腹子複数例において若齢で起こる。もしくは成犬発現タイプとして後に見られる。落屑、小疱(稀に見られる)、顔面、眼の周囲、耳介縁、骨の隆起、圧点部位、尾の先端のびらんそして潰瘍など、局所から全身脱毛が病変の一般的な部位である。多くの病変は深く、局所的な瘢痕は珍しくない。活動性疾患の部位における目に見える瘢痕も一般的である。筋肉関与は通常とても軽度で非臨床的である。しかし、特に仔犬では重症となる可能性があり、筋肉の萎縮、虚弱、巨大食道さえ伴うことがある。診断は皮膚病理学、筋電図と筋生検の結果に基づいてなされる。
治療はペントキシフィリン、ビタミンE、プレドニゾン、アザチオプリンもしくはシクロスポリンを含む。原因は不明であるが、ある研究者はワクチン接種が皮膚病変の発現に影響を与えていると考えている。
局所性狂犬病ワクチン誘発虚血性皮膚症は、ある小型犬種(テリア、ビションそしてプードル)で見られる。あまり一般的ではないが、私の診察ではいくつかの規則に従って発生する。ある程度色素過剰や落屑を伴う脱毛斑が、狂犬病ワクチン接種の1〜6ヵ月後にワクチン注射の部位にみられる。
病変は瘢痕を残すもしくは残さないで消散するかもしれない、進行そして拡大するかもしれない、もしくは偽皮膚筋炎のように体全体に多病巣エリア(第3のサブタイプ)を包含して進行するかもしれない。診断は皮膚糸状菌症と下され、治療は皮膚糸状菌症として類似の薬物治療が含まれるかもしれない。もしくは(とても難しいかもしれないが)外科的除去がなされるかもしれず、 ワクチンの中止も包含することが出来る。
パターン脱毛
これは自然界で完全に美容を考慮した、かなり一般的な皮膚コンディションである。ウィペット、クレイハウンド、ダックスフンド、ボストンテリア、チャウチャウそして他の小型犬種で最もよく見られる。主に耳介前縁領域、頭部、頚腹部、胸部そして大腿尾部において早くも6ヶ月齢で被毛が薄くなり始める。特に老齢のダックスフンドですべての病変が融合するまで他の位置に広がり、見た目顕著に進行しうる。脱毛部位は色素過剰になるところもあり得る。診断は臨床症状そして/もしくは皮膚組織病理学の結果に基づく。推奨されている治療法はない。しかしメラトニンが多くの症例においていくらか効果を示している。(Dr.Kawano訳)
■イヌの落葉状天疱瘡の治療に関する結果と合併症:43症例(1994-2000)
Outcome and Complications Associated with Treatment of Pemphigus Foliaceus in Dogs: 43 Cases (1994-2000)
J Am Vet Med Assoc 224[8]:1312-1316 Apr 15'04 Retrospective Study 30 Refs
Sheila M. Gomez, VMD; *Daniel O. Morris, DVM, DACVD; Michele R. Rosenbaum, VMD, DACVD; Michael H. Goldschmidt, BVMS, DACVP
目的:イヌの落葉状天疱瘡に関する予後、結果、合併症に影響する因子を確認する
構成:回顧的研究
動物:落葉状天疱瘡のイヌ43頭
方法:徴候、診断時の年齢、診断までの期間、罹患した体の部位、最初の免疫抑制方法と抗生物質、スクラルファート、H2ブロッカーとの併用、治療の副作用、治療の期間、継続治療の来院数、死亡原因、継続治療に対し信頼する獣医の信用
結果:致死率は60.5%だった。生存期間に有意に相関する因子は、免疫抑制剤投与開始中抗生物質の併用、治療の副作用の数が少ないことだった。治療期間は診断から10ヶ月以上持続し、生存に有意に関連した。
結論と臨床関連:抗生物質の投与、または予防的使用は、最初の免疫抑制的治療中に根拠があると思われる。安楽死のオーナーの決断、そしてコルチコステロイド関連二次疾患に反映するため、生存期間と副作用の数に見られる負の相関が予測できないことはなかった。治療10ヶ月を超える生存は、長期生存と予測され、イヌは、治療の早い月の間に注意深い管理が必要であると示唆する。(Sato訳)
■ミクロスポーラム・キャニスの感染ネコに暴露後、M.キャニス感染の確立と経過に対するルフェヌロン治療の効果
Effects of Lufenuron Treatment in Cats on the Establishment and Course of Microsporum canis Infection Following Exposure to Infected Cats
J Am Vet Med Assoc 222[9]:1216-1220 May 1'03 Experimental Trial 14 Refs
Douglas J. DeBoer, DVM, DACVD; Karen A. Moriello, DVM, DACVD; Jenifer L. Blum, BS; Lynn M. Volk, BS
目的:ミクロスポーラム・キャニスの感染ネコに暴露後、M.キャニス感染の確立と経過に対するルフェヌロン治療の効果を判定すること
構成:実験研究
動物:24頭の健康な若い家ネコ短毛種
方法:8頭のネコにルフェヌロンPO(133mg/cat/月、研究の最初には100-130mg/kgで終わりには25-35mg/kgに相当)、8頭のネコにルフェヌロンSC(40mg、6ヶ月ごと)で投与した。残りの8頭は治療せずコントロールとした。4ヵ月後、実験的に軽度のM.キャニスに感染させたネコが住んでいるところにいっしょにさせることで暴露した。それらネコの感染の広がりを、身体検査と真菌培養で22週間モニターした。
結果:全てのルフェヌロン投与ネコとコントロールネコはM.キャニスに感染した。暴露後早い週で、ルフェヌロン治療ネコの感染スコアーは、コントロールと比較して有意に低く、感染の最初の進行期がより延長した。一度感染の強さがピークに達すると、ルフェヌロン投与ネコとコントロールネコ共に同じような期間をかけて改善した。
結論と臨床関連:結果は、この研究での使用投与量、状況下でネコへのルフェヌロン経口、または皮下投与が、感染ネコとの接触後皮膚糸状菌症の確立を防げなかったと示した。ルフェヌロン投与ネコの間では感染はより緩やかに確立されたが、一度確立すると、処置ネコとコントロールネコでおおよそ同じような時間をかけて感染が解消した。(Sato訳)
■犬の若年性フレグモーネに対するグリセオフルビンの効果
Efficacy of griseofulvin for juvenile cellulitis in dogs
Veterinary Dermatology;Volume 15 Issue s1 Page 26 - August 2004
K. Shibata and M. Nagata
若年性フレグモーネは通常子犬に見られ、下額リンパ節を巻き込む稀な特発性肉芽腫性そして膿庖性疾患である。通常、高用量のグルココルチコイドが治療の選択になる。グリセオフルビンは免疫調節機能も有する静真菌性抗生物質で、時折人の特発性炎症性皮膚疾患に用いられる。
この研究の目的は犬の若年性フレグモーネの治療においてグリセオフルビンの効果を観察することであった。若年性フレグモーネの6頭を観察した。診断は臨床兆候と標準的な診断手技の両方に基づいて下され、真菌疾患は慎重に除外した。これらの犬はいかなる他の治療を行わず、グリセオフルビン(14.2-34 mg/kg 経口投与, 1日2回)で治療した。臨床所見に基づき、グリセオフルビンの効果はexcellent (2週間以内で完全に消散), good (4週間以内で完全に消散), fair (4週間以上で完全に消散), そして poor (消散しない).として評価した。2症例はexcellentで、4症例はgoodであった。すべての症例は3週間以内に完全に消散した。いかなる犬において副作用は認めらなかった。この研究においてグリセオフルビンは犬の若年性フレグモーネの治療に効果的であると思われた。疫学は不明であるが、グリセオフルビンは病変において下行制御信号を誘発すると仮定される。さらなる観察がグリセオフルビンの臨床効果の理解に必要である。(Dr.Kawano訳)
■Alopecia Xの組織病理学
Histopathology of alopecia X
Veterinary Dermatology
Volume 15 Issue s1 Page 23 - August 2004
doi:10.1111/j.1365-3164.2004.411_11.x
内分泌症の犬は過剰な外毛根鞘性角化(炎状毛包:flame follocule)を伴う毛包があると報告されている。これらの毛包は臨床的に甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、低ソマトトロピン症、性ホルモン失調と診断された症例において記述がある。これらの毛包の発生率において品種による変差も記述がある。最近、内分泌性脱毛はより明確になり、これらの病気(以前は先天性副腎過形成、偽クッシング病、去勢反応性皮膚症、成犬の低ソマトトロピン症として知られていた)のいくつかは、現在Alopecia Xという名前で分類されている。この前向き研究において、24頭のスピッツ系の犬のグループ(15頭のポメラニアンを含む)において、広範囲にホルモンの精密検査を行った。それには甲状腺そして副腎皮質刺激ホルモン刺激試験、性ホルモン測定が含まれた。脱毛部および臨床的に正常な皮膚より採取した皮膚検体の組織病理は、毛包表面や漏斗部の角化そしてコメド形成などの多くの内分泌症で一般的な特徴を示していた。しかし炎状毛包形成を伴う退化は22頭からの皮膚検体の顕著な兆候であった。この兆候はこれらの検体の20頭で著しく、盲目方法で検体を評価すればそれはalopecia Xの診断と考えられた。他の2検体は副腎皮質機能亢進症と確実に区別することができなかった。組織病理学は犬のalopecia Xの診断を支持するのに有益な診断手順である。(Dr.Kawano訳)
■グラム陽性球菌と顕著な好酸球浸潤を伴うネコの膿瘍形成炎症性肉芽組織:メチシリン抵抗性スタフィロコッカスの起こりうる感染
Abscess-Forming Inflammatory Granulation Tissue with Gram-Positive Cocci and Prominent Eosinophil Infiltration in Cats: Possible Infection of Methicillin-resistant Staphylococcus.
Vet Pathol 40[3]:283-7 2003 May
Ozaki K, Yamagami T, Nomura K, Haritani M, Tsutsumi Y, Narama I
我々は時々、病理組織学的に膿瘍、または好酸球の浸潤を伴う炎症性肉が組織と診断された、ネコの頚部または腸間膜病変に遭遇する。その病変にはグラム陽性球菌を伴う。
この研究で、27頭のネコから入手したそのような病変を用い、組織病理学的特性と原因となりえる細菌の性質を評価するため検査した。平均年齢は7.3±3.5歳だった。性別の偏りはなかった。病変の良く見られた部位は、腸間膜リンパ節を含む/含まない腹腔(11/27、41%)、皮下組織、または頚部リンパ節(9/27、33%)だった。一般的な臨床徴候は局部のmassだった。
肉眼的に病変の中央は膿瘍となっており、繊維組織により取り囲まれている。顕微鏡的に壊死部は細菌コロニーを含有した。多数の好酸球とマクロファージが壊死組織の周囲に浸潤していた。周囲の結合組織の豊富な肉芽組織は、好酸球性膿瘍と境界がはっきりしていた。27頭中23頭の細菌はグラム陽性球菌で、そのうち19頭は抗スタフィロコッカス抗血清に陽性を示した。17病変のうち15で、そのコロニーはペニシリン結合タンパク2’に対する免疫反応が明らかで、そのタンパクはメチシリン耐性スタフィロコッカス(MRS)種の薬剤抵抗遺伝子産物である。それらの所見は、この種のMRSが感染病変の原因であると強く示唆する。(Sato訳)
■サイクロスポリンA:イヌの皮膚科学分野での新薬
Cyclosporin A: A New Drug in the Field of Canine Dermatology
Vet Dermatol 15[2]:61-74 Apr'04 Review Article 117 Refs
Eric Guaguere, Jean Steffan and Thierry Olivry
過去数年で、イヌの皮膚疾患の治療でサイクロスポリンの使用に対する関心が増えてきている。シクロスポリンは、活性化Tリンパ球のサイトカイン遺伝子転写をブロックする能力を反映した、有力な免疫調節特性を示す。また、肥満細胞、ランゲルハンス細胞、好酸球やケラチン生成細胞の活性化後に起こる多くの免疫アレルギー反応を抑制する。無作為コントロール試験で、サイクロスポリン5mg/kgは、イヌアトピー性皮膚炎の治療でグルココルチコイドと同等の効果を証明されている。またこの薬剤は、イヌの肛門周囲瘻の治療に対する効果も証明済みである。他考えられる応用は、種々の免疫介在性皮膚疾患に罹患したイヌを使用した小規模予備オープン試験で提唱される。サイクロスポリンの薬物動力学的特質は、イヌとヒトで非常に似ているが、イヌの安全マージンはかなり広い。ゆえに、規則的なサイクロスポリン血液濃度のモニタリングは必要ないと思われる。ヒトで腎臓障害と高血圧は、低用量でも見られるが、それらの副作用は犬では見られない。投与初日に、一時的な嘔吐や下痢からなる副作用が発生する。歯肉過形成やいぼ状病変、多毛症のような他の副反応は、用量依存的に現れ、まれに治療投与量で起こる。感染に対する感受性の増加は、この薬剤使用犬で報告されていない。(Sato訳)
■脱毛症のイヌの性ホルモンとステロイドホルモン中間物の回顧的評価
Retrospective Evaluation of Sex Hormones and Steroid Hormone Intermediates in Dogs with Alopecia
Vet Dermatol 14[2]:91-97 Apr'03 Retrospective Study 29 Refs
Linda A. Frank, Keith A. Hnilica, Barton W. Rohrbach and Jack W. Oliver
この研究の目的は、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症を除いて、イヌの内分泌脱毛症の疑いに関し、特定ステロイドホルモンが存在するかどうかを判定することである。脱毛症のイヌから7.5年以上にわたりUTCVM内分泌研究所に提出されたステロイドホルモンパネルを再検討した。この期間中、276頭のイヌが算入の基準を満たし、54の異なる犬種で比較した。約73%のイヌは、少なくとも1つの基準、またはACTH刺激後ステロイドホルモン中間物が正常範囲以上だった。
一番良くホルモンが上昇していたのは、プロゲステロンだった(サンプルの57.6%)。正常犬と比較したとき、キースホンド犬でエストラジオールが有意に上昇し、ポメラニアンやシベリアンハスキーで、プロゲステロンが有意に上昇していた。個々のイヌ全てがホルモン異常を呈していたわけではなかった。この研究のイヌの中で、チャウチャウ、サモエド、マラミュート犬は正常なステロイドホルモン中間物の最大比率を呈した。基準コルチゾール濃度は、プロゲステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、アルドステロンに有意に相関していた。この研究の結果は、少なくとも数犬種の脱毛に対する病因メカニズムが、ステロイドホルモン中間物に関連しないかも知れず、犬種特定正常犬の必要性を強調するものだと示唆する。(Sato訳)
■感染ネコに暴露後、ミクロスポーラム・キャニス感染の確立と経過に対するネコのルフェヌロン治療の効果
Effects of Lufenuron Treatment in Cats on the Establishment and Course of Microsporum canis Infection Following Exposure to Infected Cats
J Am Vet Med Assoc 222[9]:1216-1220 May 1'03 Experimental Trial 14 Refs
Douglas J. DeBoer, DVM, DACVD; Karen A. Moriello, DVM, DACVD; Jenifer L. Blum, BS; Lynn M. Volk, BS
目的:感染ネコからの暴露後、ネコのイヌ小胞子菌感染確立と経過に対するルフェヌロン治療の効果を判定すること
構成:実験研究
動物:24頭の健康で幼い家ネコ短毛種
手順:8頭のネコにはルフェヌロンPO投与(研究開始時100-130mg/kgに相当する133mg/cat/月、研究終了時は25-35mg/kg)、8頭のネコにはルフェヌロンSC投与(6ヵ月毎40mg)した。残りの8頭は治療せずコントロールとした。4ヵ月後、実験的に軽度M
canis感染を起こしたネコの住む部屋に、導入することで暴露させた。それらのネコに起こった感染の程度を、身体検査と真菌培養で22週間モニターした。
結果:ルフェヌロン治療、コントロールネコ全頭M canis感染を起こした。ルフェヌロン治療ネコは、暴露後の早期の週にはコントロールネコと比べて有意に感染スコアーが低く、感染の最初の進行期がより延長した。一度感染がピークに達すると、ルフェヌロン治療、コントロールネコ共に同様の期間をかけて解消した。
結論と臨床関連:結果は、ネコへのルフェヌロン経口または皮下投与が、この研究の状況下で使用した投与量で、感染ネコとの接触後皮膚糸状菌症の感染確立を防げないと示唆した。感染はルフェヌロン投与ネコでより遅く成り立ったが、一旦確立するとコントロールネコとほぼ同じ様な時間経過でルフェヌロン治療ネコも解消した。(Sato訳)
■イヌ30頭のルポイド爪ジストロフィーの治療に関する回顧的研究と文献再検討
A Retrospective Study Regarding the Treatment of Lupoid Onychodystrophy in 30 Dogs and Literature Review
J Am Anim Hosp Assoc 39[2]:139-150 Mar-Apr'03 Retrospective Study 27 Refs
Ralf S. Mueller, Dr.med.vet., DACVD; Rodney A.W. Rosychuk, DVM, DACVIM; Leonard D. Jonas, DVM, DACVIM
ルポイド爪ジストロフィーは比較的よく遭遇する、独特な臨床、組織病理学的所見を伴うイヌの鉤爪の異常である。この症候群は複数の病因があると思われ、多くの治療様式が報告されている。この回顧的研究の目的は、病歴、臨床検査、組織病理学検査をもとにルポイド爪ジストロフィーと診断されたイヌ30頭で、様々な治療オプションの効果を評価することだった。
それら30頭の中で、ミニチュアシュナウザー、ジャーマンシェパード、ラブラドールレトリバーが多く見られた。全てのイヌで最初の主訴は、四肢複数の爪に見られた爪真菌症、爪ジストロフィー、爪甲層状分裂症だった。爪切除、または最近述べられている爪切除以外の爪バイオプシー方法で、生検標本を採取した。この研究で30頭中12頭に、甲状腺機能低下症やアレルギー関連疾患などの併発疾患が認められたが、それらと本疾患の関連は依然不明である。
脂肪酸添加(n=18)、ドキシサイクリンとニコチンアミド(n=12)、テトラサイクリンとニコチンアミド(n=10)、ペントキシフィリン(n=6)、プレドニゾロン(n=5)、アザチオプリン(n=1)、クロファジミン(n=1)、またはそれらの組み合わせで治療した。テトラ-またはドキシサイクリンとニコチンアミドの組み合わせで治療した犬のほぼ半数は、良好な反応が見られた。6頭のイヌは脂肪酸の添加で良好に維持していた。興味深い事は、良好な反応を示したイヌのほぼ半数が、治療を中止した後でさえも完全寛解を維持した。
この研究の結果に基づき、もし病歴そして診断的指標があるならば、食物除去トライアルおよび/または適切な抗菌剤でルポイド爪ジストロフィーのイヌを治療する事を薦める。反応が悪ければ、それから8週間のテトラ‐またはドキシサイクリンとニコチンアミドのトライアルが望まれる。不十分な反応しかなければ、8週間のペントキシフィリンまたは脂肪酸の添加を続けるべきである。反応がないイヌ、またはオーナーが即時の結果を求めるようならば、グルココルチコイドのような免疫抑制剤による治療が選択されるだろう。(Sato訳)
■グレイハウンドの大腿部脱毛症候群:肉眼的および顕微鏡的所見
Bald Thigh Syndrome of Greyhound Dogs: Gross and Microscopic Findings
Vet Dermatol 11[1]:49-51 Mar'00 Short Communication 6 Refs
Polly R. Schoning & Laine A. Cowan
大腿部脱毛症候群(BTS)は、グレイハウンドに限られた疾患です。臨床的、肉眼的に、大腿部側面と尾側における、左右対称の被毛欠損が特徴です。BTSの原因は明らかでありませんが、甲状腺機能低下症や、副腎皮質機能亢進症と関連するかもしれません。BTSを持った43頭のグレイハウンドから、皮膚、甲状腺、副腎の標本を作製し、顕微鏡的に検査しました。顕微鏡的変化は、毛包漏斗管の拡張、休止期毛包と表皮過形成の存在を特徴としました。これらのグレイハウンドからの皮膚における変化は、原因に内分泌障害を示唆します。;しかし、我々は、確証することが出来ませんでした。(Dr.K訳)
■感染犬猫の家庭で、環境中ミクロスポーラム・キャニス分節胞子の検出
Environmental Detection of Microsporum canis Arthrospores in the Households of Infected Cats and Dogs
J Feline Med Surg 5[6]:323-328 Dec'03 Prospective Study 14 Refs
F Mancianti, S Nardoni, M Corazza, P D'Achille, C Ponticelli
ミクロスポーラム・キャニスは、イヌネコのリングワーム症例から頻繁に回収される皮膚糸状菌である。家庭環境は、症状を持つ動物や、M
canisの無症候性キャリアーにより汚染される可能性があり、ヒトにリスクを及ぼす可能性を持つ。動物vs.環境の伝染性を評価するため、M
canis分節胞子に量を感染ペットのいる家庭で判定した。M canisに感染した症状を持つ30頭の動物(21頭のネコと9頭のイヌ)の住む環境を、表面と屋内の空気をサンプリングすることで検査した。表面は接触プレートで検査し、空気は、Sas
super-100 AIR SAMPLER(PBI, Italy)により行った。
猫全頭の家庭で、環境汚染が検出されたが、イヌでは、4頭の家庭しか陽性を示さなかった。各サンプリングで分離頻度、そして異なる家のプレートごとのコロニー形成に関する結果は、まったく同種のものだった。かなり感染がひどかったのは子猫のいる環境だった。8頭の家庭でオーナーの感染が認められ、少なくとも感染猫を1頭飼育していた。イヌを飼育している家庭で、ヒトの皮膚糸状菌症は聞かれなかった。この結果を基に、感染猫はかなりの環境汚染を起こすことが分かり、その環境には、生存浮遊真菌要素がかなり存在する。M canisを撒き散らすイヌの重要性は低いと思われる。それらは表面を汚染するが、空気を決して汚染しなかった。この研究の結果は、M canisを撒き散らすネコの役割の可能性を確認するものである。(Sato訳)
■犬における、円板状エリテマトーデスと紅斑性天疱瘡の治療に関する局所0.1%タクロリムス
Topical 0.1% tacrolimus for the treatment of discoid lupus erythematosus and pemphigus erythematosus in dogs.
J Am Anim Hosp Assoc 40[1]:29-41 2004 Jan-Feb
Griffies JD, Mendelsohn CL, Rosenkrantz WS, Muse R, Boord MJ, Griffin CE
円板状エリテマトーデス(DLE)の10症例と、紅斑性天疱瘡(PE)の2症例に関連した限局性病変の治療として、局所0.1%タクロリムスを、単独療法(n=2)、あるいは補助療法(n=10)のいずれかで使用しました。DLEの10頭中8頭とPEの2頭は、局所適用後8週で改善しました。8頭中6頭においては、他の薬物治療を中止しての改善でした。研究中、臨床的、あるいは検査的パラメータにおいて、いかなる副作用も認めませんでした。(Dr.K訳)
■猫の落葉状天疱瘡:57症例の回顧的解析
Feline Pemphigus Foliaceus: A Retrospective Analysis of 57 Cases
Vet Dermatol 14[6]:313-321 Dec'03 Retrospective Study 17 Refs
Diane E. Preziosi, Michael H. Goldschmidt, Jean S. Greek, Jim G. Jeffers, Kevin S. Shanley, Kenneth Drobatz and Elizabeth A. Mauldin
1991-2002年の間にペンシルベニア大学、獣医病理毒性学教室に獣医皮膚科専門医により提出されたバイオプシー標本から、57症例が猫落葉状天疱瘡と診断されました。発症年齢は、1歳未満から17歳(中央値5歳)までの範囲に及びました。猫の80%が掻痒徴候を持つと報告されていました。バイオプシーの時、病変分布はさまざまでしたが、顔面/頭部、足、背部あるいは腹部のいくつかに混在し、そして痂皮、糜爛、鱗屑および脱毛を呈していました。208のバイオプシー標本に関する組織学的所見を、追跡調査を含めて再調査しました。
棘融解細胞が、殆どの症例における、完全あるいは変性膿疱の両者に、大多数認められました。肥満細胞は、これまで報告された部位よりも、真皮の浸潤巣に、より頻繁に認められました。17症例はバイオプシー時点で、コルチコステロイドを投与されており、症例あたりの診断的バイオプシーの割合を減じておりました。44症例は、1-54ヵ月間(中央値9ヵ月間)、追跡調査を行いました。トリアムシノロンは、プレドニゾン、あるいはプレドニゾンとクロラムブシルの併用よりも、重要な副作用なく、ェ解を導くことに成功しました。44頭中4頭だけが、疾患、または研究中の治療のために亡くなりました。(Dr.K訳)
■食物有害反応を示すネコで、2つの市販低アレルギー食の二重盲目試験
Double-Blind Evaluation of Two Commercial Hypoallergenic Diets in Cats with Adverse Food Reactions
J Feline Med Surg 4[4]:185-188 Dec'02 Double-Blind Study 15 Refs
M Leistra, T Willemse
この研究の目的は、食物有害反応の皮膚病変を持つネコで、維持食として2つの市販入手可能なタンパク源制限食を評価することである。食物有害反応を確認した20頭のネコを、二重盲目法で研究した。食物有害反応は、家庭調理制限食で回復後、以前の食事成分に戻したら症状がぶり返し、再び制限食を与えて症状が消失した時点で診断した。この後、ネコに2つの市販低アレルギー食を盲目、無作為に給餌した。ラム&ライス食を与えたとき、8頭(40%)のネコで症状の再発が見られ、チキン&ライス食を与えたとき13頭(65%)のネコにの再発が見られた(P>0.05)。
市販食の1つは、家庭調理制限食ほど皮膚病変の管理に効果的ではなかった。この研究は、市販低アレルギー食が維持に適切であるということを確認する。(Sato訳)
■3頭のワイマラナーに見られた無菌性結節性皮下脂肪組織炎と汎脂肪織炎
Sterile nodular panniculitis and pansteatitis in three weimaraners.
J Small Anim Pract 44[10]:449-55 2003 Oct
German AJ, Foster AP, Holden D, Hotston Moore A, Day MJ, Hall EJ
発熱、複数の皮下結節を伴う血縁のない3頭のワイマラナーの臨床、病理学的所見を報告する。2頭のイヌの追加特徴として腹部痛があり、臨床調査で、皮下、腸間膜、鎌状脂肪の炎症が明らかとなった。組織病理学的所見は、汎脂肪織炎と一致した。3番目のイヌで、見たところ病変は皮下組織に限られており、よって結節性皮下脂肪織炎の診断がなされた。組織の微生物学的検査は全ての犬で陰性で、膵臓疾患の所見もなかった。このようにこの報告は、ワイマラナーの、無菌と思われる、特発性皮下脂肪織炎/汎脂肪織炎複合を述べている。病因は不明だが、これは免疫介在疾患を表していると思われる。(Sato訳)
■長い体の毛包虫種による毛包虫症の8症例
Eight Cases of Demodicosis Caused by a Long-Bodied Demodex species (1997-2002)
Aust Vet Pract 33[2]:64-74 Jun'03 Clinical Study 15 Refs
* D.C. Robson, G.G. Burton, R. Bassett, M. Shipstone, R. Mueller
5年間で、動物皮膚アレルギーサービスに訪れたイヌの医療記録の回顧的再検討を、皮膚スクレーピング単独で無名の長い体の毛包虫種による毛包虫症の症例を確認するために行った。それらの犬種の偏り、疾患や薬物関連、臨床症状と治療反応について評価した。8頭のイヌが選択基準を満たした。それら症例の評価は、この毛包虫症がデモデックス・キャニス毛包虫症と臨床的に異なることを示唆した。たびたび深部皮膚掻爬で小数のダニが見られ、多くは成犬(診断時平均年齢6.1歳)のテリアで、その中でもウエストハイランドホワイトテリアが多く、他の皮膚疾患に関連して出現し、過去に免疫抑制、または免疫調整薬剤の使用があった。臨床症状で一致したものは、背側体幹が油っぽいことだった。全症例、毎週のアミトラズ薬浴、または毎日のイベルメクチン300-600μg/kg投与に反応し、治療が完了した。(Sato訳)
■イヌの全身性カンジダ症
Systemic Candidiasis in a Dog
J Am Vet Med Assoc 223[6]:821-824 Sep 15'03 Case Report 35 Refs
* Johanna C. Heseltine, DVM; David L. Panciera, DVM, MS, DACVIM; Geoffrey K. Saunders, DVM, MS, DACVP
カンジダ・アルビキャンスは、ヒトの院内感染の一般的な原因菌であるが、イヌの全身性カンジダ症の報告はほとんどない。この報告は、11歳避妊済みの全身性カンジダ症のスコティッシュテリアを述べる。死後に採取した組織の組織学的検査、尿、静脈カテーテルからの標本の微生物培養結果をもとに診断した。全身性カンジダ症のこの報告のイヌの素因は、真性糖尿病、コルチコステロイドと広域スペクトラム抗菌剤投与、静脈と尿カテーテル留置、非経口栄養剤の投与だった。カンジダ種感染の素因リスクがあるイヌで、発熱や白血球増加の発現は、それらに使用している尿や静脈カテーテルからの標本の微生物培養を行い評価する正当な理由となる。(Sato訳)
■四肢カルシウム沈着症を持つ5頭の猫における、臨床病理学的所見
Clinicopathological Findings in Five Cats with Paw Calcification J Feline Med Surg 5[1]:11-17 Feb'03 Retrospective Study 19 Refs
* W Bertazzolo; L Toscani; S Calcaterra; L, Crippa; M Caniatti; U Bonfanti
この回顧的研究は、趾間とパッドの軟部組織石灰化となった5頭の猫における、臨床病理的所見について述べております。5頭のうち3頭は、獣医師からの相談でした。全ての猫は、腎不全で、高い溶解積(カルシウムXリン)を示唆する検査所見でした。全ての症例において、足病変の細胞学的検査は、石灰沈着症を示唆しました。我々の研究結果は、以前報告された猫における足のカルシウム沈着に関する、2つの症例報告と一致し、転移性病因論と、腎不全と足の石灰化の相関を示唆しております。(Dr.K訳)
■痒みのあるイヌで、臨床症状、血漿脂肪酸、炎症介在物質に対する、n-3脂肪酸の割合や投与量の影響
Effect of n-3 Fatty Acid Ratio and Dose on Clinical Manifestations, Plasma Fatty Acids and Inflammatory Mediators in Dogs with Pruritus
Vet Dermatol 14[2]:67-74 Apr'03 Clinical Trial 32 Refs
Gene H. Nesbitt, Lisa M. Freeman and Steven S. Hannah
よく痒みの管理にn-3脂肪酸の使用が推奨される。この研究の目的は、痒みを呈すイヌの血漿脂肪酸、臨床反応、炎症性介在物質に対し、異なるn-6:n-3比で様々なn-3脂肪酸投与量が、どのように影響するのかを調査することだった。基準値測定後、イヌにランダムに総n-3、n-6脂肪酸量、n-6:n-3比を変えた食餌を給餌した。総体的な臨床スコアーは、8週間後4群全てで有意に低下し、群間の有意差は見られなかった。血漿脂肪酸は一般に試験食の脂肪酸含有量に反映して変化したが、その変化は、n-3脂肪酸の投与量とn-6:n-3比両方に依存し現れた。この脂肪酸の食餌摂取量を制限する臨床試験で、n-3脂肪酸の添加は、完全な臨床管理の臨床症状に対し付加的な効果を持つことはなかった。(Sato訳)
■マイクロエマルジョン シクロスポリンAで治療した、3頭の犬における乾癬-苔癬様皮膚疾患
Psoriasiform-Lichenoid-Like Dermatosis in Three Dogs Treated with Microemulsified Cyclosporine A
J Am Vet Med Assoc 223[7]:1013-1016 Oct 1'03 Case Report 12 Refs
Alexander H. Werner, VMD, DACVD
シクロスポリンは、犬における、さまざまな自己免疫性疾患の治療として、有効であると報告されております。副作用は一般に、消化管障害と皮疹に限られております。論文では、さまざまな皮膚科学的状態のために、マイクロエマルジョンシクロスポリンAで治療している、抗菌薬反応性皮膚反応の3頭の犬について、記述しております。これらの犬における、皮膚反応は、乾癬−苔癬皮膚疾患に似ており、非定型ブドウ球菌感染であると思われました。(Dr.K訳)
■インビトロでミコナゾールとクロルヘキシジンによるミクロスポーラム・キャニスの成長相乗抑制
Synergistic Inhibition of the Growth In Vitro of Microsporum canis by Miconazole and Chlorhexidine
Vet Dermatol 14[2]:99-102 Apr'03 Short Communication 17 Refs
N. Perrins and R. Bond *
寒天希釈法で、ミクロスポーラム・キャニスの10分離菌に対する、ミコナゾールとクロルヘキシジン1:1の薬剤組み合わせの最小阻止濃度(MIC)を評価した。分離菌10のうち9で、ミコナゾールとクロルヘキシジンの組み合わせはそれら単剤よりも効果的だった。分画抑制濃度指数は、5つで相乗効果、4つで相加効果を示した。それらの結果は、M.キャニスに対するミコナゾールとクロルヘキシジンの強い抗真菌作用を示し、M.キャニスにより起こるネコの皮膚糸状菌症の治療で、経口グリセオフルビンとミコナゾール、クロルヘキシジンシャンプーの有効性を示した過去の臨床研究と一致する。(Sato訳)
■イヌのアミトラズ中毒の治療でヨヒンビンとアチパメゾールの効果の比較
The comparative efficacy of yohimbine and atipamezole to treat amitraz intoxication in dogs.
Vet Hum Toxicol 45[3]:124-7 2003 Jun
Andrade SF, Sakate M
この研究は、犬アミトラズ中毒の治療でヨヒンビンと新しいアルファ2アドレナリン拮抗剤アチパメゾールの効果を比較した。30頭の犬を3群に均等に振り分けた(A,AY,AA)。A群は1mg/kgで2.5%アミトラズのiv投与を受け、AY群は同量のアミトラズ投与後30分に0.1mg/kg(2mg/ml)のヨヒンビンをiv投与し、AA群は同量のアミトラズ投与後30分に0.2mg/kg(5mg/ml)アチパメゾールiv投与した。体温、心拍数、呼吸頻度、平均動脈圧、鎮静程度、鎮静の平均時間、同行の直径を60分モニターした。鎮静、反射の喪失、低体温、徐脈、低血圧、徐呼吸、散瞳がA群で見られ、第3眼瞼の脱出、利尿の増加、嘔吐の見られた犬もいた。アミトラズによる全ての変化をヨヒンビンは解消したが、頻脈、頻呼吸のような重要な心臓呼吸への影響も引き起こした。アチパメゾールはアミトラズに有効な拮抗剤で、心臓呼吸への影響は少なく、イヌのアミトラズ中毒の代替治療として可能性を持つと思われる。(Sato訳)
■ラブラドールレトリバーの遺伝性鼻の不全角化
Hereditary Nasal Parakeratosis in Labrador Retrievers
Vet Dermatol 14[2]:103-110 Apr'03 Case Report 14 Refs
* Nadia Page, Manon Paradise, Jean-Martin LaPointe and Robert W. Dunstan
14頭のラブラドールレトリバーと4頭のラブラドールレトリバーの雑種で遺伝性の鼻部皮膚炎が報告された。これは新規に述べられる遺伝性疾患と思われ、遺伝の常染色体劣性形式を疑うものだった。その病変は最初6-12ヶ月齢で認められた。組織病理学的検査で、不全角化角質増殖が認められ、角質層と表層棘層内ケラチン生成細胞間のタンパク性液体の多病巣性蓄積がしばしば見られた。表層真皮内に下層リンパプラズマ細胞浸潤もあった。IgG(n=4)、ジステンパーとパピローマウイルス(n=4)の免疫組織化学染色、血清抗核抗体検査(n=4)、真菌培養(n=7)は陰性だった。電子顕微鏡で、角化過程の変化が認められ、それは核クロマチンの保持、層状体の欠如、顕著な細胞間の水腫だった。経口ジンクメチオニン(n=3)、セファレキシン(n=4)、ビタミンAアルコール(n=1)、局所トレチオニン(n=1)に反応しなかった。局所ビタミンE(n=2)、ワセリン(n=2)、プロピレングリコール(n=5)で病変は改善した。(Sato訳)
■慢性皮膚炎の犬の皮膚におけるマラセチア・pachydermatisで、2つのサンプル採取方法の比較
Comparison of Two Sampling Techniques for
the Detection of Malassezia pachydermatis
on the Skin of Dogs with Chronic Dermatitis.
Vet J 165[2]:119-24 2003 Mar
Omodo-Eluk AJ, Baker KP, Fuller H
セロテープ法とドライスワブ法を、慢性皮膚炎の犬の皮膚におけるマラセチアpachydermatis検出に関し比較した。各方法で104頭の犬のサンプルを採取した。培養法と染色法の2つの方法をサンプル方法の評価に使用した。
セロテープ法でのサンプルで、培養法では83頭(80%)、染色法では45頭(43%)の犬にM.
pachydermatisが検出された。
ドライスワブ法でのサンプルで、培養法では55頭(53%)、染色法では33頭(32%)の犬にM.
pachydermatis
が検出された。
この研究ではセロテープ法でサンプリングし、培養法を使用すると、同方法で染色法を用いた時やドライスワブ法で、培養、または染色法を用いた時よりも、有意に多くの犬の皮膚にマラセチアを検出できる(P<0.001)事を示した。セロテープ法は、染色のスライドを作るときの転移細胞やマラセチアの培養に使用する前の顕微鏡検査にも使用できることが分かった。(Sato訳)
■犬の全身性毛包虫症に対するルフェヌロンの使用
Use Of Lufenuron For Treatment Of Generalized
Demodicosis In Dogs
Vet Dermatol 8[1]:11-17 Mar'97 Clinical Study
33 Refs
Marcia Schwassmann; Gail A. Kunkle; Douglas
I. Hepler and Diane T. Lewis
犬の全身性毛包虫症の治療に対するルフェヌロンの効果を調査した。全身性毛包虫症の犬11頭に、低用量ルフェヌロン(毎月最初の5日間平均13.3mg/kg1日1回)または高用量ルフェヌロン(平均15.8mg/kg週3回)を経口的に2,3ヶ月投与した。毎月の深い皮膚掻爬検査で、ダニの数が減少した犬はいなかった。ルフェヌロンの経口投与による皮膚(表皮と真皮)の濃度を判定するため、3頭の成犬に5日間ルフェヌロン平均19.3mg/kg1日1回の経口投与を行った。薬剤投与後、0、1、6、16、30、44、60日目に皮膚と血液サンプルを採取しルフェヌロンを測定した。ルフェヌロンの平均皮膚濃度は、一致する血液濃度の10倍だった。ルフェヌロンは、皮膚の薬剤濃度が高く維持されているにもかかわらず、全身性毛包虫症の犬の治療としての効果はない。(Sato訳)
■犬猫の真菌感染の治療としてルフェヌロンの使用:297症例(1997-1999)
Use of Lufenuron for Treating Fungal Infection
of Dogs and Cats: 297 Cases (1997-1999)
J Am Vet Med Assoc 217[10]:1510-1513 Nov
15'00 Retrospective Study 12 Refs
Yair Ben-Ziony, DVM & Boaz Arzi, BS
目的:犬猫の皮膚真菌感染の治療としてルフェヌロンの使用を評価する
構成:回顧的研究
動物:皮膚糸状菌症または表在性皮膚真菌症の犬156頭と猫201頭
方法:皮膚糸状菌症と他の真菌感染をルフェヌロン投与で治療している犬猫、そして治療せずコントロールとした18頭の犬と42頭の猫の医療記録を再検討した。
結果:犬は投与量の範囲54.2-68.3mg/kgで、ルフェヌロンの錠剤を経口的に1度投与して治療した。皮膚糸状菌症の14頭の犬から毎日皮膚、掻爬物、皮毛のサンプルを採取した。治療開始から真菌培養が陰性になるまでと肉眼的病変の改善するまでの平均期間はそれぞれ14.5日と20.75日だった。治療犬全頭、肉眼的病変の改善は約21日以内に見られた。
猫は投与量の範囲51.2-266mg/kgで、ルフェヌロン液を経口的に1度投与して治療した。23頭の猫から毎日サンプルを採取した。治療開始から真菌培養が陰性になり、肉眼的病変が改善するまでの平均期間は、それぞれ8.3日と12日だった。コントロールとして治療を行わなかったほとんどの犬の病変改善期間は約90日だった。治療の副作用は見られなかった。
結論と臨床関連:この研究の結果は、犬猫の真菌感染の治療としてルフェヌロンの投与は効果があり、便利で即効性があるといえる。(Sato訳)
■回顧的研究:ネコ皮膚バイオプシーにおけるMalassezia
の存在.臨床病理学的研究
Mauldin EA, Morris DO, Goldschmidt MH.
Vet Dermatol 2002 Feb;13(1):7-13
Retrospective study: the presence of Malassezia
in feline skin biopsies. A clinicopathological
study.
Malassezia spp.皮膚炎はネコにおけるまれな疾患であり、以前からの免疫抑制と体内の悪性腫瘍に関係している。この研究は、組織病理学的試験のために行った、ネコのバイオプシー標本におけるMalassezia
spp.の存在と重要性を評価する。1999年1月から2000年11月の間に、組織病理学的試験のため実施した550のヘマトキシリンエオジン染色皮膚バイオプシー標本を回顧した。15(2.7%)の表皮角質層、もしくは漏斗毛胞にMalassezia
菌体が含まれていた。多病巣性から全身性の皮膚障害の急性発症が、15のネコの11頭に存在した。11頭のネコ全ては臨床兆候発症の2ヶ月以内に安楽死または死亡した。7頭のネコは腫瘍随伴脱毛を支持する皮膚病理学的変化と臨床徴候を有し、3頭のネコは多形紅斑または胸腺腫関連皮膚炎を思わせる中間型の皮膚炎を認めた。重度なかゆみと脱毛発症後2週間で安楽死された1頭のネコでは、組織病理学的変化は非特異的であった。3頭のネコでは、局所(2頭は顎、1頭は足のパット)にMalassezia
spp.がみられたが、それらは概して健康状態に重要でないようにみえた。1頭のネコでは皮膚ニキビダニ症に関連してMalassezia
spp.がみられた。これらの結果は、多病巣性または全身性障害からの皮膚病理学的標本におけるMalassezia酵母は、内部腫瘍に対する臨床的精査をすぐに行うべきである、と示唆する。(Dr.Yoshi訳)
■犬猫の毛包虫症の治療としてドラメクチンの使用
Doramectin as a Treatment for Canine and
Feline Demodicosis
Aust Vet Pract 32[3]:98-103 Sep'02 Clinical
Study 22 Refs
I.P. Johnstone
全身性ニキビダニ症の犬23頭と猫3頭に、ドラメクチン600μg/kgの皮下注射を毎週行った。全頭寛解に向けた治療反応を示した。皮膚掻爬試験陰性になるまでの中央値は8週間(5-20週の範囲)だった。10頭は初期治療後寛解を維持したが、5頭は追跡調査できず、7頭は2度目の治療を必要とするか、毎月の注射で寛解を維持した。猫の場合、皮膚掻爬結果が陰性になるまで2,3週間かかり、1頭は4年後も寛解を維持している。他の2頭は、寛解に向けた4ヶ月と6ヶ月に基礎疾患のため安楽死された。毎週のドラメクチン皮下注射は、犬猫の全身性毛包虫症の治療に有効である。薬剤の全身性副作用は認めず、注射部位は痛みが少なく薬剤反応は見られなかった。(Sato訳)
■2頭のウエストハイランドホワイトテリアの兄弟犬における表皮形成異常とマラセチア感染:遺伝的な皮膚失調か、それとも深刻なマラセチア感染の反応か?
Nett CS, Reichler I, Grest P, Hauser B, Reusch
CE.
Vet Dermatol 2001 Oct;12(5):285-90 Related
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Epidermal dysplasia and Malassezia infection
in two West Highland White Terrier siblings:
an inherited skin disorder or reaction to
severe Malassezia infection?
2頭の9ヶ月齢ウエストハイランドホワイトテリアの兄弟犬が、私たちの診療所に掻痒、脱毛、苔癬化を伴って来院した。スコッチテープによる細胞学的な検査により、マラセチアと球菌が明らかとなった。皮膚バイオプシー標本は、表皮形成異常を示した。治療は2%ミコナゾール/クロルヘキシジン含有シャンプーによる入浴、経口的ケトコナゾール(5mg/kg
12時間毎)、クロキサシリン(25mg/kg 8時間毎)で管理した。6週間後、皮膚感染は解決され、毛が再度育ってきた。しかし、イヌはまだ中程度に痒がっていた。皮内アレルギーテストではハウスダストマイト、storage
mites 、マラセチアに対し陽性であった。免疫学的治療を開始し、ケトコナゾールとクロキサシリンによる治療は中止した。最初の来院後4ヶ月で皮膚バイオプシーを実施し、軽度の表面血管周囲皮膚炎が明らかとなった。残っている軽度の顔面掻痒は局所治療により容易にコントロールされた。これら2症例は、表皮形成異常は先天的な角化失調というよりはむしろ、マラセチア感染に対する過敏反応、炎症、自損傷のためであろうことを示す。(Dr.Yoshi訳)
■マラセチア pachydermatisの皮膚炎および外耳炎の犬の治療で、イトラコナゾールのパルス投与と1日1回投与の比較
Lauren R. Pinchbeck, BA et al; J Am Vet Med
Assoc 220[12]:1807-1812 Jun 15'02 Controlled
Trial 25 Refs; Comparison of Pulse Administration
Versus Once Daily Administration of Itraconazole
for the Treatment of Malassezia pachydermatis
Dermatitis and Otitis in Dogs
目的:犬の耳と皮膚のマラセチア pachydermatis感染に対するイトラコナゾールのパルス投与と1日1回投与の臨床効果の比較
構成:無作為対照試験
動物:20頭の犬
方法:パルス投与法(5mg/kg、PO、24時間おき、1週間のうちに2日連続で3週間)または1日1回投与(5mg/kg、PO、24時間おきに21日間)のイトラコナゾールの経口投与を犬の施した。他の治療は行わなかった。0日と21日目に皮膚、耳の疾患の程度を調査し、細胞検査と酵母培養のためにサンプルを採取した。細胞学的スコアー(罹患部位の油浸鏡検で、酵母病原体平均数の合計)と培養スコアー(罹患部位のサンプルで酵母コロニーの大きさの平均スコアー)を算出した。
結果:両治療群で、皮膚と耳の疾患の臨床程度は21日目に有意に軽くなったが、両群に有意差は見られなかった。同様に、皮膚細胞検査、皮膚培養、耳の培養スコアーは、0日目に比べ21日目には両群有意に減少したが、両群に有意差は見られなかった。ただ、パルス投与群の耳培養スコアーは、毎日投与群に比べ有意に大きく減少した。しかし、両群で耳サンプルの細胞スコアー分析だけを見た時には、0日目と21日目の有意な減少は見られなかった。
結論と臨床関連:両投与方法がマラセチアpachydermatis皮膚感染の治療に効果的であると思われる。しかし、マラセチアpachydermatis外耳炎では、補助治療が必要になるだろう。(Sato訳)
■犬の尋常性天疱瘡症状のような鼻部皮膚病
Foster AP et al; Vet Rec 2001 Apr 7;148(14):450-1;
Nasal dermatitis as a manifestation of canine
pemphigus vulgaris.
4頭の若齢で白色被毛のジャーマンシェパードが、喘鳴音や咽頭麻痺の典型的な臨床徴候を呈しました。麻痺は3例で両側性、1例で片側性でした。1頭の犬では巨大食道症も合併していました。外科的処置は3例で成功しましたが、1例は、難治性の吐出、吸引性肺炎という理由から、安楽死をしました。この病気と犬の白色被毛の間での関連性がありうる事が議論されました。(Dr.Shingo訳)
■犬の肛門周囲瘻に対するサイクロスポリンとケトコナゾールによる治療
Cyclosporine and Ketoconazole for the Treatment
of Perianal Fistulas in Dogs
J Am Vet Med Assoc 220[7]:1009-1016 Apr 1'02
Clinical Trial 38 Refs
l Alison J. Patricelli, DVM; Robert J. Hardie,
DVM, DACVS; Jonathan F. McAnulty DVM, PhD
目的:犬の肛門周囲瘻に対する治療としてサイクロスポリンとケトコナゾールを使用したときの効果と費用の評価
構成:臨床試験
動物:肛門周囲瘻の犬12頭
方法:サイクロスポリンとケトコナゾールを経口投与しました。研究の終わりは、臨床症状の回復、寛解と疾患の再発でした。副作用と薬剤のコストも報告しました。ヒトと犬で、過去に報告されたサイクロスポリン単独治療の結果と比較しました。
結果:全ての犬の臨床症状は改善しました。8頭は寛解しましたが、そのうち5頭は再発しました。治療の副作用は最小またはよく許容しました。治療のコストは、伝統的な外科手術と同じようなもので、サイクロスポリン治療単独以下でした。
結論と臨床関連:犬の肛門周囲瘻でサイクロスポリンとケトコナゾールの治療は効果的で、費用の面でも同等です。(Sato訳)
■猫の重度多形性紅斑のヒト免疫グロブリンを用いた治療
Use of Human Immunoglobulin for Treatment
of Severe Erythema Multiforme in a Cat
J Am Vet Med Assoc 220[2]:197-201 Jan 15'02
Case Report 22 Refs
Kevin P. Byrne, DVM, MS, DACVD & Urs
Giger, PD, Dr med vet, DACVIM
5歳メスの家猫短毛種に、狂犬病ワクチン、駆虫剤、耳への通常投薬後、体の半分以上を覆うような潰瘍性皮膚病変と嗜眠を起こしました。臨床、組織学所見は、重度皮膚薬剤反応か多形性紅斑と一致しました。猫の状態は、薬物中止と支持療法にもかかわらず悪化を続けました。ヒト免疫グロブリンの静脈投与はネコにうまく許容し、急速な皮膚潰瘍病変の改善を認め、8日以内に猫のふるまいのかなりの改善も見られました。ヒト免疫グロブリンの静脈投与は、致命的な皮膚薬剤反応の新しい将来有望な治療法であります。(Sato訳)
■若いブリタニースパニエルドッグにおける特発性線状膿疱棘融解性皮膚炎
Karyn E. Beningo & Danny W. Scott ; Vet
Dermatol 12[4]:209-213 Aug'01 Case Report
20 Refs; Idiopathic Linear Pustular Acantholytic
Dermatosis in a Young Brittany Spaniel Dog
若いブリタニースパニエルドッグに片側性で線状、丘疹-膿疱の皮膚病が見られました。その皮膚病はBlaschko's
lines に続発して現れ左側の鼠径部から中足骨領域内側面にかけて拡がっていました。
主な組織学所見は、漏斗状器官上皮の顕著な棘融解を伴う、好酸球性および好中球性の膿疱(性)の壁在毛包炎でした。それは急性であり、長期にわたる(15ヶ月以上)1.6mg/kgのメチルプレドニゾロ
ンの経口投与により改善しました。(Dr.Shingo訳)
■犬における皮膚糸状菌性偽菌腫の2例:免疫組織化学的研究
Francesca Abramo et al; Vet Dermatol 12[4]:203-207
Aug'01 Case Report 22 Refs; Two Cases of
Dermatophytic Pseudomycetoma in the Dog:
An Immunohistochemical Study
過去にペルシャ猫で報告された、皮下小結節の結果に類似している犬の皮膚糸状菌性偽菌腫について記述しました。Microsporum
canisと同様の、ダークイエローのコロニーを産出するひとつの小結節で培養を実施しました。ウサギ抗M.
canisを使用した免疫組織化学的検査で,パラフィン切片において真菌要素に対する特殊結合を実証しました。さらに、抗血清の特異性は、抗原として猫から分離された可溶性抽出液を使用し、寒天ゲル免疫解析によってテストされました。抗血清はAspergillus
fumigatus抗原と交差反応しませんでした。これら2つの症例は、犬の皮膚糸状菌性偽菌腫で、免疫組織化学的染色が診断を支持した最初の報告です。(Dr.Shingo訳)
■ネコの皮膚糸状菌症にイトラコナゾールの連続/パルス療法を行った時の効果:9例の予備研究結果
S. Colombo et al; Vet Dermatol 12[6]:347-350
Dec'01 Prospective Study 16 Refs; Efficacy
of Itraconazole as a Combined Continuous/Pulse
Therapy in Feline Dermatophytosis: Preliminary
Results in Nine Cases
この研究で、ネコの皮膚糸状菌症に対するイトラコナゾールの連続/パルス療法の組み合わせの効果を評価しました。Microsporum
canisによる皮膚糸状菌症のネコ9頭を、イトラコナゾール10mg/kg1日1回経口投与を28日間実施し、それから同様の投与量で、隔週投与(1週休薬、1週投与)を行いました。28,42,56,70日目と必要に応じ、身体検査と真菌培養により再評価しました。2回連続して真菌培養が陰性になった時に治療を中止しました。8頭の猫は、2回の陰性結果を28日と42日に示し、治療から56日後に治癒しました。1頭は28日目に陽性でしたが、42日目と56日目には陰性結果をしましました。このプロトコールは、ネコ糸状菌症の治療で有効性をしましましたが、これら予備的な結果は、対照研究で確認するべきです。(Sato訳)
■メキシカンヘアレスドッグの無毛子孫における皮膚過剰色素沈着症の処置におけるヒドロキノンの効果
Kimura T et al; Lab Anim Sci 48[5]:469-75
1998 Oct; Efficacy of hydroquinone in the
treatment of cutaneous hyperpigmentation
in hairless descendants of Mexican hairless
dogs (Xoloitzcuintli).
成犬のヘアレスドッグの皮膚は臨床的に、無色素であったり、軽い色素沈着であったり、あるいは逆に過剰な色素沈着(斑点色素)があったりします。臨床的に気付く色素は、表皮のメラニン顆粒に起因するものとして述べられています。成熟ヘアレスドッグの皮膚における斑点色素沈着に、脱色素製剤(3%ヒドロキノン:HQ)を1ヶ月間塗布して治療を行いました。脱色素の効果は以下の3つの方法により調べられました。
1)皮膚の色、2)ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)陽性メラニン細胞数、3)組織学的評価。
処置を施したヘアレスドッグの皮膚は、HQを適用してから1週間で脱色素が始まりました。色素脱失は、1ヶ月後には体全体の4分の1以上にまで拡がりました。HQを処置した部位におけるDOPA陽性メラニン細胞は、処置前に比べておよそ5分の1以下に減少していました。組織学的には、Fontana-Masson's(FM)法による染色で、メラニン色素が完全に消失していることが示されました。これらの結果より、ヘアレスドッグは色素脱失剤の効果と皮膚毒性を研究するための、モデル動物として有用であると推察されました。(Dr.Shingo訳)
コメント:実験動物学的な文献ですが、色素沈着症の治療にも使えるのではないでしょうか?
ヒドロキノンはヒトのシミ取り剤として使用されています。3%という濃度が一般的のようですが、皮膚に対する刺激性も強いようですので、注意が必要と思われます。色素沈着症は、慢性の皮膚疾患などでも良く遭遇する変化です。気にかける飼い主さんも多いと思います。今後さらに研究が進んでいくことを期待します。
色素沈着症に関して、少し古いですが、次のような文献もありましたので参考にしてみてください。
■内分泌皮膚疾患あるいは卵胞形成異常の犬における皮脂腺メラニン沈着症;回顧研究
Mary S Bagladi et al; Vet Dermatol 7[2]:85-90
Jun'96 Retrospective Study 26 Refs; Sebaceous
Gland Melanosis In Dogs With Endocrine Skin
Disease Or Follicular Dysplasia: A Retrospective
Study
内分泌皮膚疾患をもつ107頭の犬の皮膚生検標本について、皮脂腺または皮脂管内のメラニン顆粒の存在(皮脂腺メラニン沈着症)を検査しました。19頭(17.8%)の症例で皮脂腺メラニン沈着症がありました。同様に卵胞形成異常の71頭の犬からの皮膚生検標本を検査したところ、27頭(38.0%)が皮脂腺メラニン沈着症でした。皮脂腺メラニン色素沈着症だけでは、組織学的に卵胞形成異常と内分泌皮膚疾患を区別することはできません。(Dr.Shingo訳)
■犬の疥癬の血清学的診断に対する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)の評価
Kimberly S. Lower et al; Vet Dermatol 12[6]:315-320
Dec'01 Prospective Study 30 Refs; Evaluation
of an Enzyme-Linked Immunosorbant Assay (ELISA)
for the Serological Diagnosis of Sarcoptic
Mange in Dogs
犬疥癬は、虫体の皮膚掻爬試験での発見が困難なため、診断するのが難しい疾患です。この研究目的は、犬疥癬の診断の助けとしての、血清学的ELISAを評価することです。また、自然感染の改善後に循環疥癬抗体の持続期間と持続性を判定するため、治療後に血清サンプルを採取しました。疥癬と診断された犬19頭と、コントロール犬38頭で試験を行いました。疥癬感染犬の16頭(84.2%感受性)が、治療前のELISA検査結果が陽性を示しました。コントロール犬34頭(89.5%特異性)が、ELISA検査結果で陰性を示しました。11頭の疥癬犬から複数治療後の血清サンプルを入手したところ、4例の治療1ヵ月後には、検出可能な抗体が存在しませんでしたが、7頭には治療後1−4.5ヶ月の間は抗体が見られました。結果、疥癬ELISA試験は、犬疥癬の診断に有効です。(訳:Sato)
■秋田犬の皮脂腺炎:臨床所見、組織変化、遺伝性
Iris M. Reichler et al; Vet Dermatol 12[5]:243-253
Oct'01 Clinical Study 25 Refs;Sebaceous Adenitis
in the Akita: Clinical Observations, Histopathology
and Heredity
秋田犬97頭で、皮脂腺炎の臨床的、組織学的検査しました。組織学的に、皮脂腺を標的とする炎症反応や皮脂腺数の減少を示すことで、23頭を診断しました。秋田犬の皮脂腺炎の臨床過程は、他の犬種と同様です。皮膚傷害は、最初主に、背側中線や耳に発生しました。プードルと比較すると、最初疾患の発生年令は、より不定で、皮毛喪失は主に下毛に見られました。皮脂腺破壊の進行はさまざまで、全ての症例で観察されるわけではありません。発芽様皮脂腺増殖が明らかでないため、皮脂腺の再生が起こるかもしれないと思われます。常染色体劣性遺伝が出現する可能性があります。一般的な背景は別にして、免疫介在因子は、発生や皮脂腺炎の過程に影響を及ぼす可能性があります。(Dr.Sato訳)
■再発性の腹側部脱毛症を罹患している犬の甲状腺機能の評価
C.B. Chastain, DVM, MS et al; Sm Anim Clin
Endocrinol 11[2]:8 May-Aug'01 Prospective
Study 0 Refs ; Evaluation Of Thyroid Function
in Dogs Suffering from Recurrent Flank Alopecia
背景:再発性腹側部脱毛症(または季節性腹側部脱毛と呼ばれている)が、エアデールテリア、ボクサー、シュナウザー、ブルドッグなどの、いくらかの犬種において比較的共通して見られます。その原因はよくわかっていません。腹側部に限局した両側対称性脱毛と過剰色素沈着が、典型的な臨床症状です。毛は通常3〜8ヶ月で再生し、他の臨床徴候はありません。両側対称性脱毛は、甲状腺機能低下症の犬においてごく普通に見られる臨床所見という理由から、再発性腹側部脱毛症との鑑別をしなくてはなりません。
要約:20頭の正常犬と、臨床徴候が再発性腹側部脱毛症に一致した18頭の犬、そして21頭の甲状腺機能低下症の犬で、総サイロキシン(T4)と甲状腺刺激ホルモン(c-TSH)の血清濃度を測定し、甲状腺の機能を評価しました。また、サイログロブリン自己抗体も測定しました。再発性腹側部脱毛症は、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症に一致した臨床徴候がなく、毛が自然に再生するという臨床所見により診断しました。病歴、臨床徴候、血清T4濃度の減少、基準範囲を越える血清c-TSH濃度(21頭中19頭)、および甲状腺ホルモンの投与により臨床徴候の完治が見られた事などをもとに、甲状腺機能低下症と診断された犬が選ばれました。
再発性腹側部脱毛症の犬の年齢は2〜12歳で、体重は20〜51kgの間でした。症状のでた犬種は7頭のボクサー、5頭のエアデールテリア、2頭のジャイアントシュナウザーおよび他の犬種でした。性別分布は8頭の避妊手術済の雌犬、4頭の無処置の雌犬、2頭の無処置の雄犬、4頭の去勢済みの雄犬でした。甲状腺機能低下症の犬の血清T4平均濃度は、健康なコントロール群の犬、そして再発性腹側部脱毛症の犬と比べて明らかに低い値を示し、血清c-TSHの平均濃度はより高い値を示しました。健康なコントロール群の犬と甲状腺機能低下症の犬の間で、T4あるいはc-TSH
血清濃度に有意差はありませんでした。
サイログロブリン自己抗体は2頭のコントロール群(正常犬)、2頭の再発性腹側部脱毛症の犬および13頭の甲状腺機能低下症の犬で見られました。3頭の再発性腹側部脱毛症の犬で、最初に評価した時、血清c-TSH濃度は上昇しており、T4濃度は低値もしくは低い正常値を示しました。サイログロブリン自己抗体は、これらの犬のうち2頭で陽性反応を示しました。皮膚生検を実施した2頭の犬では、その結果は再発性腹側部脱毛症に適合しました。3頭全ての犬で、脱毛は自然に回復し、そして再発しました。甲状腺機能低下症の治療をした犬はいませんでした。c-TSHの上昇が見られた3頭のうち2頭の犬で、繰り返し血清T4と
c-TSHを測定しました。1頭の犬では血清T4と
c-TSHは正常に戻りましたが、もう1頭の犬では、c-TSHは正常に戻りましたが、T4は減少したままでした。著者は、甲状腺機能低下症は、再発性腹側部脱毛症の原因ではないと推察しました。
臨床上の影響:甲状腺機能低下症は、全身機能に影響を及ぼす病気です。皮膚は目につきやすく、身体の中でも最も大きな組織であり、通常は高い代謝率をもっている事などから、たいていの場合、最初に皮膚に対する影響に気付きます。再発性腹側部脱毛症の犬では数ヶ月以内に、脱毛の回復が見られるという理由から、甲状腺ホルモンの投与によって見かけ上の反応があるために、甲状腺機能低下症と誤診されてしまうのです。
再発性の脱毛と血清c-TSH濃度の上昇の見られた3頭の犬において、2頭の犬では血清T4濃度が基準値以下であり、1頭は基準値でもより低値であったので、甲状腺機能低下症と診断されていました。これらの犬は軽度の甲状腺機能低下症と再発性腹側部脱毛症を合併していました。なぜなら、脱毛の投薬がなくても回復し、また再発が起こり、これは甲状腺機能低下症では考えられないからです。甲状腺機能低下症と再発性腹側部脱毛症は同時に起こる可能性があります。再発性腹側部脱毛症の原因は、おそらくメラトニンやプロラクチンのような光周期によって影響を受けるホルモンと関連があるのではないかと思われます。(Dr.Shingo訳)
■ビーグル犬の皮膚における甲状腺ホルモンの効果
K. M. Credille et al; J Vet Intern Med 15[6]:539-546
Nov-Dec'01 Prospective Study 22 Refs ; The
Effects of Thyroid Hormones on the Skin of
Beagle Dogs
犬の皮膚における甲状腺機能低下症の影響を、年齢と性別が同じビーグル犬を以下の3グループにわけ、皮膚生検でサンプルを入手し、形態学的、形態計測学的、そして皮毛周期の違いを比較することで判定を行いました。
【(1)甲状腺機能正常犬(2)ヨウ素131を投与することによって、実験的に甲状腺機能低下症になった犬(3)実験的に甲状腺機能低下症になった犬で、合成サイロキシンの処置により正常な甲状腺機能が維持できている犬】
観察は10ヶ月間行い、無処置の甲状腺機能低下症の犬では、毛刈りを実施してから2ヶ月で毛はゆっくりと再生し始めました。無処置群の犬では、コントロール群(正常犬)の犬よりも休止期毛包の数が多く、毛軸の数が少なかった(つまり無毛休止期毛包の数が多かった)のです。コントロール群の犬はより多くの休止期毛包がありましたが、甲状腺ホルモン投与をうけている群と同様の毛軸がありました。甲状腺ホルモン処置群の犬では、発毛周期の成長段階における毛包の数が最も多く見られました。この研究は、少なくともビーグル犬の誘発性甲状腺機能低下症では、自然に発症した甲状腺機能低下症で見られるような外皮への影響が無いと示唆しています。これは、普通のビーグル犬が長期間にわたり毛包内の毛軸を保持し続け、そして、甲状腺機能低下症の脱毛は、毛包休止期の延長のため、徐々に進行するからです。サイロキシンを処置した甲状腺機能低下症の群では、甲状腺機能低下症を誘発させたビーグル犬に、甲状腺ホルモンを補うことによって発毛の活性化があったと評価できました。(Dr.Shingo訳)
■イングリッシュスプリンガースパニエルにおける原発性脂漏:14症例の回顧的研究
Scott DW et al; Small Anim Pract 1996 Apr;37(4):173-8;
Primary seborrhoea in English springer spaniels:
a retrospective study of 14 cases.
17年間にわたり14頭のイングリッシュスプリンガースパニエルを、原発性脂漏と診断した。7頭のイヌは2歳までに臨床徴候を示した。その皮膚病は徐々に悪化する、全身の非掻痒性乾性鱗屑として始まった。この乾性ステージ(乾性脂漏)のままであるイヌもいるが、多くの症例において皮膚病は油性と炎症性になった(油性脂漏と脂漏性皮膚炎)。8頭のイヌは、再発性の浅在性または深在性の細菌性膿皮症に罹患した。皮膚のバイオプシー標本における組織学的所見では、上皮の顕著な過角化、漏斗状の上皮、乳頭腫症、乳頭を覆う錯角化、リンパ球と肥満細胞優勢の表在血管周囲皮膚炎がみられた。
乾性脂漏のイヌは、局所的な軟化−保湿剤での治療、または経口的オメガ3/6脂肪酸補給に満足な反応を示した。油性脂漏と脂漏性皮膚炎のイヌは、局所治療に満足な反応を示さなかった。しかし、1頭ではエトレチナートとオメガ3/6脂肪酸投与によく反応した。治癒したイヌはなかった。(Dr.Yoshi訳)
■家ネコにおけるネコヘルペスウイルス1に関連した顔面と鼻部の皮膚病と口内炎
Hargis AM et al; Vet Clin North Am Small
Anim Pract 1999 Nov;29(6):1281-90; Feline
herpesvirus 1-associated facial and nasal
dermatitis and stomatitis in domestic cats.
ネコヘルペスウイルス関連の皮膚病は、ほとんど報告されていない。最近、我々はネコヘルペスウイルス1に関連した、珍しく潰瘍性でしばしば抵抗性の顔面皮膚病、または口内炎を立証した。我々は1996〜1997年の間に診断した10件の症例シリーズをもって、この症候群は比較的一般的であると信じる。症候群は上皮細胞の壊死、好酸球性炎症、上皮細胞内
ヘルペスウイルス封入体と関係している。好酸球性炎症と少数の封入体の有病率は、アレルギー性皮膚炎または好酸球性肉芽腫群関連の病変との誤診を導くだろう。ネコヘルペスウイルス1は、損傷性組織のPCR法によって同定できる。我々の症例の多くは、潜伏中のヘルペスウイルスの再活性化、過去のグルココルチコイド治療、または過密からのストレスと示唆される状況下で発症した。潰瘍性皮膚病、特に顔面と鼻部にみられるネコ、口内炎を伴うネコは、ネコヘルペスウイルスの存在を評価すべきである。治療の選択肢は外科的切除、細菌2次感染防止のための局所的または全身的抗生物質治療、そして口内へのアルファインターフェロンである。(Dr.Yoshi訳)
■北方品種のイヌにおける亜鉛反応性皮膚病:17例(1990−1996)
Colombini S et al; J Am Vet Med Assoc 1997
Aug 15;211(4):451-3; Zinc-responsive dermatosis
in northern-breed dogs: 17 cases (1990-1996).
目的:亜鉛反応性皮膚病の亜鉛補給に対する反応率、病変の回復に必要な亜鉛の最適な1回投与量、病変の再発率を決定することと、このタイプの亜鉛反応性皮膚病のイヌの管理に必要な、推奨される維持量を見出すこと
意図:回顧的症例群
動物:亜鉛反応性皮膚病と診断された北方品種のイヌ17頭
方法:皮膚バイオプシーの組織学的評価と医療記録の再調査。追加情報は獣医師と飼い主から電話質問により得た。
結果:17頭中12頭において、最初、病変は片側性であり、疾患が進行すると対称的となった。10頭は掻痒症であり、17頭中5頭において膿皮症が明らかであった。最初、多くの病変は9月から4月の間に進行し、17頭中12頭は2月、10月、11月に進行した。最初の亜鉛補充量の幅は0.8〜4.6mg/kg/d
(0.36 〜 2.09 mg/lb/d)であった。効果量または維持量は0.5mg/kg(0.23
mg/lb)週2回から8.0mg/kg/d(3.6mg/lb/d)
であった。亜鉛補充後、17頭中15頭は病変の完全な回復に至った。16頭中9頭において病変は再発した。再発した病変のおよそ半数は、亜鉛補充の投与量ミス、または投与量もしくは投与頻度の減少のためであった。
臨床との関係:最初の亜鉛補充投与量は亜鉛として1.0mg/kg(0.45
mg /lb) 24時間ごと経口投与が推奨される。治療に対する反応を見るために、治療は1ヶ月間継続すべきであり、最初の投与量が効果的でなかったら、1日投与量を50%ずつ増量すべきである。イヌは亜鉛投与量のミス、投与量または頻度の減少で病変が再発する傾向にある。(Dr.Yoshi訳)
■致死性肢端皮膚炎のブルテリアにおけるマラセチアとカンジダの感染
McEwan NA; J Small Anim Pract. 2001 Jun;42(6):291-7;Malassezia
and Candida infections in bull terriers with
lethal acrodermatitis.
体の様々な部位におけるイースト菌の分布を研究するために、4種のサンプル採取法(ブラシ法、スワブ法、皮膚掻爬法、粘着テープ法)を使用し、12頭致死性肢端皮膚炎と5頭のアトピー性皮膚炎および10頭の正常な犬との比較が行われました。
マラセチアは、犬の致死性肢端皮膚炎あるいはアトピー性皮膚炎のどちらにおいても、損傷性、あるいは非損傷性皮膚、被毛、パッド、爪、粘膜などからよく分離されます。しかしながら、一般的にマラセチアは、致死性肢端皮膚炎でより多く分離されました。正常な犬では、耳道や肛門周囲の皮膚から発見されることがほとんどです。
致死性肢端皮膚炎の犬からは、カンジダがしばしば分離されましたが、他の2つのグループからはイースト菌だけが単独で分離されました。Candida
albicansのものと思われる真菌の菌糸と仮性菌糸が、致死性肢端皮膚炎の犬の爪とパッドから集められたサンプルから検出されました。マラセチアとカンジダの両方は4つ全てのサンプル採取法で分離することができました。MacKenzie
法(歯ブラシ法)とセロテープ培養法は、イースト菌の半定量的な評価を行う簡単な方法であることが証明されました。
致死性肢端皮膚炎の犬からのマラセチアおよびカンジダの発見率は高いことは、これらの犬に免疫不全、特にあることが解っているT細胞の機能不全に関連していると思われます。爪やパッドの病変は致死性肢端皮膚炎の症例において普通に見られ、C
albicansの感染が原因の1つであるかも知れません。(Dr.Shingo訳)
■ブルテリアの致死性肢端皮膚炎
Jezyk PF et al; J Am Vet Med Assoc 1986 Apr
15;188(8):833-9 Related Articles, Books;
Lethal acrodermatitis in bull terriers.
臨床的に、成長遅延、進行性の肢端皮膚炎、慢性膿皮症、爪囲炎、下痢、肺炎、異常行動などの症状によって特徴付けられる致死的症候群が、17頭の血縁関係のあるブルテリアの子犬に見られました。
生存期間中央値は7ヶ月でした。実験室での評価では、変性していない好中球、血清アルカリフォスファターゼ(ALP)とアラニントランスアミラーゼ(ALT)の低活性が一貫して見られ、しばしば高コレステロール血症が見られました。
リンパ球の幼若化反応は減少していました。また免疫グロブリンの測定から子犬は異常γグロブリン血症であることがわかりました。同年代、同犬種のコントロール群に比べて、病気の子犬5頭の平均血漿亜鉛濃度が有意に低下していました。皮膚病理検査では不全角化症、角質増殖が発見され、表在性の細菌感染がありました。リンパ組織のTリンパ球分画におけるリンパ球の著しい減少がありました。気管支肺炎と脳質の拡張がほとんどの症例で見られました。家族調査によって、この症候群は劣性遺伝を受け継いできることを指摘されました。黒まだらデンマーク牛の致死(遺伝)形質A46と人のacrodermatitis
enteropathicaに似ているにも関わらず、亜鉛の経口および非経口的投与は、この症候群の臨床兆候を改善するに至りませんでした。(Dr.Shingo訳)
■致死性肢端皮膚炎のブルテリア28頭の診断的特徴、確認、病気の進行
McEwan Na et al; J Small Anim Pract 41[11]:501-7
2000 Nov; Diagnostic features, confirmation
and disease progression in 28 cases of lethal
acrodermatitis of bull terriers
致死性肢端皮膚炎(LAD)はアメリカで1980年代に最初に発表されたブルテリアの代謝性遺伝疾患です。この研究は、これまで報告された中で最大で、イギリス生まれのブルテリア28頭が致死性肢端皮膚炎に冒されていると診断し、この病気の臨床的に解ったことや進行が経時的に述べています。致死性肢端皮膚炎の主な特徴は、発育阻害、指を外に広がっていること、採食困難、顔や脚の皮膚病、細菌感染の増加です。老犬で、爪囲炎、爪の病気、脚のパッドの角質増殖が起こり、6ヶ月齢を過ぎたあたりからひどくなります。致死性肢端皮膚炎の診断は、幼少の頃から前述の症状の組み合わせが見られたブルテリアは強く疑われます。不全角化増殖が皮膚病理組織学的検査で見られたときには致死性肢端皮膚炎の診断を強く支持します。そしてそれに合わせて特有な臨床徴候があれば診断を固めるに十分でしょう。この状態の臨床症状や病理は亜鉛欠乏を思わせますが、血液亜鉛レベル測定は診断の助けに至りません。(訳Dr.Sato)
■イヌにおけるStaphylococcus intermediusに対する4つの抗菌シャンプーの予防効果
Kwochka KW et al; Am J Vet Res 1991 Jan;52(1):115-8;
Prophylactic efficacy of four antibacterial
shampoos against Staphylococcus intermedius
in dogs.
イヌにおけるStaphylococcus intermedius に対する4つの抗菌シャンプーの予防効果を、コントロール定量法を用いて判定した。研究には10頭の成ビーグルを用いた。シャンプー中の抗菌剤は3.0%過酸化ベンゾイル、0.5%酢酸クロルヘキシジン、合成ポリアルキレングリコール−ヨードとして手に入る1.0%ヨード、0.5%トリクロサン−2.0%イオウ−2.0%サリチル酸の混合液であった。処置部分とコントロール部分は、皮膚1cm2あたり5.30
+/- 0.10 (log10)のS intermediusのコロニー形成単位(CFU)に行い、5時間保存した。試験期間後、残存している細菌をカップスクラブ洗浄により取り除き、それぞれの処置部分とコントロール部分の皮膚S
intermedius CFU/cm2総数を計算した。コントロール部分では5.62
+/- 0.65のS intermedius CFU/cm2 が得られた。過酸化ベンゾイル処置部分のS
intermediusの再生(CFU/cm2)は0.94 +/- 0.76
、酢酸クロルヘキシジンでは1.96 +/-1.33 、有機ヨードでは3.11
+/- 0.48 、トリクロサン−イオウ−サリチル酸では4.69
+/- 0.23 であった。4つの処置部分からのそれぞれのS
intermedius の再生値はコントロール部分よりも有意に低値であった(P<0.05)。細菌の回復には4つのシャンプー処置部分間でも有意差があった(P<0.05)。私たちは全てのシャンプーが、5時間にわたってS
intermedius に対する有意な予防活性を持つと結論づける(P<0.05)。過酸化ベンゾイル含有のシャンプーが製品テスト間では最も強い効果を持っていると判定した。(Dr.Yoshi訳)
■犬の膿皮症におけるマルボフロキサシン(ゼニクイン)錠の臨床効果の評価(臨床試験の公開)
Manon Paradis et al; Vet Dermatol 12[3]:163-169
Jun'01 Prospective Study 38 Refs ;Evaluation
of the Clinical Efficacy of Marbofloxacin
(Zeniquin) Tablets for the Treatment of Canine
Pyoderma: An Open Clinical Trial
浅在性および深在性膿皮症の治療に対する、マルボフロキサシン(ゼニクイン)の効果と安全領域を評価しました。72頭の犬に対して、21日あるいは28日間、2.75mg/kgのマルボフロキサシン1日1回の経口投与を行いました。62頭(86%)の犬が浅在性膿皮症で、10頭(14%)の犬が深在性膿皮症でした。72頭中32頭に膿皮症の前歴がありました。47症例において、投薬前に皮膚病変部の好気性細菌培養が行われ、主な病原体としてStaphylococcus
intermediusが分離されました。治療は、72頭中62頭(86.1%)で成功し、6頭(8.3%)で明らかな改善が見られ、4頭(5.6%)は改善されませんでした。投薬に関連した副作用として、無気力、食欲不振、嘔吐、軟便、腹部膨満、多飲などがあります。そして、これらの副作用は81頭中6頭にしか見られませんでした。この研究で使用された薬用量で、マルボフロキサシンは浅在性および深在性膿皮症の治療に対して、安全で効果的であることがわかりました。
(Dr.Shingo訳)
■マルボフロキサシンの抗菌活性、犬と猫の微生物に対する獣医用の新しいフルオロキノロン
Spreng M et al; J Vet Pharmacol Ther 1995
Aug;18(4):284-9 Related Articles, Books;
Antibacterial activity of marbofloxacin.
A new fluoroquinolone for veterinary use
against canine and feline isolates.
マルボフロキサシンは,獣医専用に開発された新しいフルオロキノロン系の薬です。犬と猫の病気に関係した816の新しい分離菌株について、マルボフロキサシンのMICが評価されました。マルボフロキサシンは、グラム陰性およびグラム陽性菌に対して広域スペクトラム活性を示します。試験管内の検査において、マルボフロキサシンとエンロフロキサシンのStaphylococcus
intermediusと Pasteurella multocidaの菌株に対する殺菌率を比較したところ、この二つの抗生物質の間に、顕著な差は見られませんでした。マルボフロキサシンを処方した犬と猫の排泄尿を評価したところ、マルボフロキサシンを1回処置した後、殺菌活性は2〜5日目持続し、用量に依存していました。Escherichia
coli、Pasteurella multocida、Staphylococcus
aureus、Staphylococcus intermediusに限定して見てみると、この抗生物質投与後の持続効果は、エンロフロキサシン、シプロフロキサシンのそれとほとんど同等の効果であることがわかりました。これらの結果、マルボフロキサシンは犬と猫における病気に対して広範囲に使用できるという、多大な将来性をもっているものと予想されます。(Dr.Shingo訳)
■犬の全身性ニキビダニ症(8症例)と疥癬(5症例)の治療における1.25%アミトラズ溶液の効力
Christophe Hugnet et al; Vet Dermatol 12[2]:89-92
Apr'01 Prospective Study 21 Refs; Efficacy
of 1.25% Amitraz Solution in the Treatment
of Generalized Demodicosis (Eight Cases)
and Sarcoptic Mange (Five Cases) in Dogs
全身性ニキビダニ症の犬8頭と、疥癬の犬5頭を、週1回の1.25%アミトラズ溶液を用い、解毒剤(アチパメゾール,0.1mg/kg/day.IM.1回:そしてヨヒンビン0.1mg/kg/day1日1回3日間、経口)と合わせて、治療を行いました。皮膚掻爬の結果で、治療を継続するべきか否かを、決定しました。ニキビダニ症と疥癬の治療回数中央値は、それぞれ、3回(範囲2−5回)と2回(範囲1−3回)でした。いくつかの副作用が、観察されましたが、すべて解毒剤で抑えられました。治療後6−36ヵ月で、いかなる障害や、再発も起こりませんでした。(Dr.K訳)
■犬の浅在性膿皮症における1日1回の塩酸クリンダマイシンの効果
Paul B. Bloom, DVM, Dipl. ABVP et al; J Am
Anim Hosp Assoc 37[6]:537-542 Nov-Dec'01
Original Article 40 Refs ; Efficacy of Once-Daily
Clindamycin Hydrochloride in the Treatment
of Superficial Bacterial Pyoderma in Dogs
犬の皮膚病の原因で、最もよく見られる原因の1つが皮膚の細菌感染です。浅在性の毛包感染は、犬の細菌性皮膚病群の中でもよく見られ、Staphylococcus
intermedius が病原体であることが最も一般的です。治療を成功させるには、最低でも21日、そして治癒してから7日間の、適切な抗生物質の全身投与が必要となります。毎日抗生物質を投与することをオーナーに守ってもらうことは、治療を成功させるための鍵となるので、1日1回の抗生物質投与は価値あるものです。この研究の目的は、犬の浅在性膿皮症(CSBP)の治療観察に、経験的に選択したクリンダマイシンを、1日1回投薬することによる臨床効果を、さらに評価することでした。浅在性膿皮症の犬21頭に対して、体重あたり約11mg/kgのクリンダマイシンを、反応に応じて、14日〜42日間、24時間おきに経口投与しました。浅在性膿皮症は、壊れていない丘疹あるいは膿疱の細胞病理学検査と、菌の培養に基づいて診断されました。21頭中20頭でStaphylococcus
spp陽性の結果が得られました。すべての犬において、14日、28日、必要に応じて42日に再検査を行い、優(完治)、良(一次病変は消失したが、二次病変が残る)、可(部分的には改善されたが、一次病変が残る)、不可(改善なし、もしくは病変の悪化)のように臨床上のスコアをつけました。14〜28日間の投薬期間の犬では、71.4%(15/21)に優の結果が得られました。著者は、浅在性膿皮症の治療でクリンダマイシンを、24時間おきに体重あたり約11mg/kgの容量で経口投与を選択したとき、適度な効果があることが考えられると結論付けました。Staphylococcus
spp. が分離された犬の中には、クリンダマイシンに対して、最初は反応しているが、次第に耐性をもつようになるものもいるので、治療開始後14〜28日で臨床症状を再評価することが重要です。(Dr.Shingo訳)
■犬の象皮症
Kimberly Lower, DVM et al; Vet Med 95[5]:360-362
May'00 Case Report 6 Refs; A Dog with Elephant-Like
Skin
9ヶ月の間、脱毛、肥厚および脂漏性の皮膚病変をもつウェストハイランドホワイトテリアのウェスリーが来院しました。酵母および細菌性の皮膚炎と外耳炎、2次的な甲状腺機能低下症と診断しました。酵母性皮膚炎に対して、過酸化ベンゾイルシャンプーを使用し、その後2%クロルヘキシジンコンディショナーをつける、局所的な処置を施しました。4週間、10mg/kg
のケトコナゾールをSIDで経口投与しました。細菌性の膿皮症に対して、セファレキシン22
mg/kg TIDの経口投与が行われ、それは8週間続けられました。細菌性外耳炎に対しては、エンロフロキサシンとデキサメサゾンが混合されたイヤークリーナー(6mlエンロフロキサシンと12mgのデキサメサゾンと24mlのDermaPet
Ear/Skin Cleanser)の局所療法が行われました。30日で、苔癬化は50%、掻痒症は最小限にまで改善され、足の毛は再び発毛しはじめました。ケトコナゾールの投薬量は、徐々に10
mg/kg 隔日に減少し2週間をかけて休止していきました。治療開始後、5ヶ月が経ちましたが、苔癬化、掻痒症、脱毛の再発は認められていません。(Dr.Shingo訳)
■放し飼いのフロリダピューマにおける皮膚糸状菌症
Rotstein DS et al; J Zoo Wildl Med 30[2]:281-4
1999 Jun; Dermatophyte infections in free-ranging
Florida panthers (Felis concolor coryi).
3頭の放し飼いのフロリダピューマが臨床的に皮膚糸状菌症と診断されました。2頭はTrichophyton
mentagrophytes 、1頭は Microsporum gypseumに感染していました。これらのうち2頭は若年の雄で、限局したものから、限局したものが融合したような皮膚糸状菌症と診断しまし、1頭はM.
gypseum、もう1頭はT.mentagrophytesによるものでした。この若い雄達は、処置はされませんでしたが、臨床症状は6ヶ月以上かけて自然回復しました。3頭目のピューマは南フロリダから来た成熟雄で、T.
mentagrophytesによる皮膚糸状菌症が全身に拡がっていました。そのピューマは最初、脱毛と擦過傷および潰瘍があり、頭部、両耳、頚部、後肢に多病巣性の膿皮症があり、腹部領域は苔癬化にまで進行し、二本の指の爪は失われていました。野外での45日間隔の局所療法では改善は認められませんでした。そのピューマは、皮膚糸状菌のさらなる進行と他の爪の喪失、他のピューマへの病気の蔓延を防ぐために、一カ所に捕獲して、集中的な経口療法を行う必要がありました。9.5mg/kgのイトラコナゾールを1日1回フードに混ぜて6週間与えました。処置後、爪の再生は認められましたが、脱毛の多病巣領域は残りました。2回の真菌培養で陰性結果が得られた後、野生に戻されました。皮膚糸状菌症の全身治療のために、絶滅の危機に瀕した放し飼いの動物を、その生息地から一時的に移動させることには、年齢や生殖能力、施設の保有、処置管理、将来的にうまく動物を再び群れに戻すことなどの要素を考慮する必要性があります。(Dr.Shingo訳)
■猫における、毛包虫症と皮膚糸状菌症を伴う皮膚黄色腫
Vogelnest LJ ; Aust Vet J 79[7]:470-5 2001
Jul; Cutaneous xanthomas with concurrent
demodicosis and dermatophytosis in a cat.
絶食からの高脂肪血症に関連した、複合的な皮膚黄色腫を、9カ月齢の長毛猫で診断しました。頭部と頚部に、丘疹と痂皮形成を伴う、激しい掻痒が生じ、最初は、好酸球性肉芽腫関連の病変として診断しましたが、頭部と耳介で、進行性に、病変が展開していきました。掻痒は、プレドニゾロンと、クロラムブチルの投与で管理しました。繰り返す組織学検査で、皮膚黄色腫と、併発した軽度な毛包虫症を確定診断しました。顕著な絶食による、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、そして一過性の高血糖症を、その後確認しました。低脂肪食(Hill`s
Feline r/d)を用いた、高脂肪血症と黄色腫対する治療と、これまで報告されていない、経口ミルベマイシン毎日投与の、猫毛包虫症に対する治療を開始しました。多様なピンク色の脱毛斑と丘疹が、漸進的に退行するものの、免疫抑制剤治療を減ずると、掻痒は、再発し、皮膚掻爬による、毛包虫陰性にもかかわらず、境界明瞭な脱毛が頭部、四肢、そして体幹に発現しました。被毛サンプルの真菌培養では、Microsporum
canisが、培養されました。全ての皮膚病変が、グリセオフルビンの治療で消散しました。併発角膜潰瘍と、乾性角結膜炎は、結局、局所シクロスポリンの治療により、消散しました。真性糖尿病が、皮膚病変消散後、6ヵ月で発現しました。うっかりした脂肪食摂取後に、一過性の、丘疹と掻痒が起こるものの、低脂肪食と、インスリン治療で、6ヵ月後には、皮膚、および眼科の、いかなる異常も認められなくなりました。原発性高脂肪血症は、掻痒誘発性黄色腫の、原因であると疑われます。これは、猫における、皮膚黄色腫、毛包虫症、そして皮膚糸状菌症の併発に関する報告で、初めてのものであると思われます。(Dr.K訳)
■マラセチア関連性皮膚炎の形態学
Mittag H et al; Mycoses 39[Suppl 1]:13-9
1996; [Morphology of Malassezia-associated
diseases]
多彩な粃糠疹、マラセチア性毛胞炎、脂漏性湿疹の塗抹と表面物質に関して、精巧な形態的研究を行いました。微生物Malassezia
furfurの概要は、皮膚表面の分布、形態、そして炎症徴候と、角質層構造のような宿主皮膚組織内での変化で理解されます。マラセチア関連性皮膚炎の2つの主要な型は、明確です。一つは、多数の微生物が、角質層の規則正しい配列細胞への付着により、特徴付けられます(多彩な粃糠疹により典型的に示される)。もう一つは、認識可能な少数の真菌細胞と、炎症徴候により特徴づけられます(脂漏性湿疹により典型的に示される)。(Dr.K訳)
■ピチロスポルム酵母菌:あらたな発見?
Faergemann J; Mycoses 40 Suppl 1:29-32 1997);
Pityrosporum yeasts--what's new?
脂肪親和性酵母菌のPityrosporum ovaleは、成人の皮膚の正常細菌叢でありますが、重篤な皮膚疾患とも関連があります。誘発因子下で、多彩な粃糠疹において、P.ovaleは丸い芽胞型から菌糸体型へと変化します。多彩な粃糠疹の大きな問題は、高い再発率と、これを防止する予防的治療が必須であるということです。ピチロスポルム毛包炎は、痒みを伴う毛包性丘疹と、主に上腕、首、上部体幹部の膿疱によって、特徴付けられる慢性疾患です。直接鏡検で、出芽しかけの丸い酵母細胞集団が見られます。この疾患は、抗真菌薬に、急速に反応します。現在、P.ovaleは、脂漏性皮膚炎における、重要な役割を担っていることを示す研究が多数あります。これらの多くが、微生物数の減少をもって、抗真菌薬の良い効果を表わす治験です。重度な脂漏性皮膚炎は、AIDSとの関連で治療が困難というものも多いです。脂漏性皮膚炎を持つ患者の末梢血液中で、我々は、ナチュラルキラー細胞の増加と、PHAとCon-A刺激の低下を発見しました。2つ目は、コントロールと比較して、患者における血清IgG抗体価の低下を見ました。別の研究では、脂漏性皮膚炎の患者のリンパ球を、P.ovale抽出物で刺激した時、リンパ球刺激反応が減少したことを明らかにしております。付加的に、P.ovale抽出物刺激後、患者のリンパ球によるIL-2とIFNガンマ生産は著しく抑圧され、IL-10合成が増大しました。アトピー性皮膚炎を持つ成人患者の大多数は、頭と首の局所的なもので、頭皮は、P.ovale抽出蛋白の刺激テストに陽性でした。ある研究で、P.ovale抽出物が、アトピー性皮膚炎を持つ患者におけるIL-4,IL-10、そしてIgE合成を増大させることを示しております。抗真菌薬治療が、これらの患者に有効であることを指示する治療研究もあります。(Dr.K訳)
■バセットハウンドにおけるMalassezia pachydermatis関連性脂漏性皮膚炎の治療に対する2つのシャンプーの比較
Bond R ; Rose JF et al; J Small Anim Pract
36[3]:99-104 1995 Mar; Comparison of two
shampoos for treatment of Malassezia pachydermatis-associated
seborrhoeic dermatitis in basset hounds.
33頭のバセットハウンドにおける、Malassezia
pachydermatisに関連性脂漏性皮膚炎の治療において、硫化セレンシャンプーとミコナゾール−クロルヘキシジンシャンプーの、臨床的、抗菌的効果を、二重盲目的研究で比較しました。ミコナゾール−クロルヘキシジンシャンプーで治療した、16頭全てのバセットハウンドと、硫化セレンシャンプーで治療した、17頭中11頭は、3週間、3日間隔でシャンプーすることにより改善しました。ミコナゾール−クロルヘキシジンシャンプーは、硫化セレンシャンプー治療群と比較して、掻痒(P<0.01)、紅斑(P<0.001)、滲出(P<0.01)、総合的ひどさ(P<0.001)、Malassezia
pachydermatisの数(P<0.001)、総菌数(P<0.001)、そしてコアグラーゼ陽性ブドウ球菌数(P<0.001)の、顕著な減少が、有意に現れました。鱗片と上皮の状態の改善で、2つのグループ間に有意差はありませんでした。これらの結果は、バセットハウンドにおける脂漏性湿疹は、しばしば、M.pachydermatisと細菌の皮膚出現が増すことに関連し、この疾患の治療では、硫化セレン製品よりも、ミコナゾール−クロルヘキシジンシャンプーが、より効果的であると言うことを示唆しています。(Dr.K訳)
■犬における Malassezia pachydermatisの罹患率と関連因子
Jon D. Plant, DVM et al; J Am Vet Med Assoc
201[6]:879-885 Sep 15'92 Reports of Original
Studies 15 Refs; Factors associated with
and prevalence of high Malassezia pachydermatis
numbers on dog skin
動物皮膚科クリニックに来院した犬98頭の臨床研究。
実験計画:押圧塗抹スメア上の、酵母菌数の半定量的評価を98頭の犬で、294個所行いました。
皮膚の1cm2領域対し、スライドガラス1cm2領域をしっかりと、3回圧迫することにより、塗抹標本を作成しました。標本は、頚部腹側領域、腋下領域、そして前肢の第3、4趾間から採取しました。被毛は、接触に必要なだけ刈りました。スライドを加熱固定し、緩衝ライト染色液(Wright's
Dip Stat; Medi-Chem Inc.)で染色しました。とっくり状の酵母菌の数を、25箇所、高倍率(x450)でカウントし、高倍率1視野あたりの、平均酵母菌数を測定しました。
結果:皮膚は、246/298個所(89.8%:正常皮膚領域の全て144/144と、異常な皮膚領域120/150)において、グレード1(<1酵母菌/視野)、4/294個所(1.4%)においてグレード2(1-3酵母菌/視野)、16/294個所(5.5%)で、グレード3(>3そして<10酵母菌/視野)、10/294(3.4%)で、グレード4(10以上の酵母菌/視野)の、成績でした。98頭中採材された294個所に関して、19/98(19.4%)の犬における30個所(10.2%)は、グレード2か、またはそれ以上でした(高倍率視野あたり1以上の酵母菌)。これら19頭の犬は、明らかに、正常な皮膚から検出されるより、たくさんのマラセチアを持つと、見なされました。バセット・ハウンド(2/19)と、ダックス・フンド(2/19)は、19頭の中で占める固体数を比較すると、有意に多く、これらの犬の主な診断は、脂漏症(9/19)、アトピー(5/19)、仮定アレルギー性皮膚炎(4/19)、そして一般的ニキビダニ症(1/19)でした。全ての犬で比較すると、グレード2か、またはそれ以上の犬は、脂漏性湿疹を持ち(9/19,47.4%)、エンロフロキサシン投与(3/19,15.8%)、および/または抗生剤+/-コルチコステロイドの治療をされておりました(9/19,47.4%)。(Dr.K訳)
■二次的マラセチア関連性皮膚炎を持つ猫の腫瘍にまつわる対称性脱毛症の症例
Godfrey DR; J Small Anim Pract 39[8]:394-6
1998 Aug; A case of feline paraneoplastic
alopecia with secondary Malassezia-associated
dermatitis.
13才、避妊済の短毛猫が、当初、甲状腺機能亢進症によるものとされた、腹部の進行性脱毛症になりました。一側性甲状腺摘出術による対症治療は、皮膚病を改善せず、脱毛は、下肢と頭、腹部体幹全体に広がりました。下肢の掻痒は顕著で、細胞学上、マラセチアの検出と関連があり、マラセチア関連性皮膚炎と診断しました。経口ケトコナゾールと、酵母除去シャンプーで治療後、掻痒の改善は認められましたが、激しい多食、小腸性下痢、多飲多渇がその後発生し、猫は安楽死となりました。後の検死で、肝臓転移を伴う、外分泌腺の膵臓腺癌が明らかになりました。膵臓、肝臓と皮膚病変は、猫の腫瘍関連脱毛症(FPA)に典型的であると、認識されました。マラセチア関連性皮膚炎は、FPAを伴う猫の掻痒症と、関連し得ます。(Dr.K訳)
■11頭の犬におけるMalassezia pachyderatis関連性皮膚炎
Kenneth V. Mason, MVSc, FACVSc et al; J Am
Anim Hosp Assoc 27[1]:13-20 Jan/Feb'91 Reports
of Original Studies 22 Refs; Dermatitis Associated
Malassezia pachydermatis in 11 Dogs
皮膚表面に存在する、酵母マラセチアが関連した掻痒性皮膚炎の11症例を報告します。皮膚疾患は、顔、特に口周囲や足皮膚炎としてもっとも頻繁に認められましたが、腹部、前肢、そして大腿部尾側にも影響を及ぼすことが解りました。病変は、紅斑、色素沈着亢進、鱗片、脱毛、そして苔癬化でした。微生物は、細胞学的、組織学的に証明されたり、罹患皮膚の培養から分離されました。多くの治療が失敗に終わってますが、経口的ケトコナゾール、ポピドンヨード洗浄後の硫化セレンションプー、そしてミコナゾールクリームは、皮膚炎消散に大変効果的でした。(Dr.K訳)