【ロサンゼルス=松尾理也】米半導体最大手インテルはこのほど、開発途上国向け低価格「100ドル・パソコン」の普及をめざす非営利団体「ワン・ラップトップ・パー・チャイルド(OLPC、子ども1人にノートパソコン1台を)」のプロジェクトから、「思想上、哲学上の食い違いのため」離脱すると発表した。OLPC側は「インテル側は終始プロジェクトに非協力的だった」と非難。デジタル化社会がもたらす格差の改善という理想は、厳しいビジネスの論理の前に立ち往生しているかっこうだ。
OLPCは、IT社会に関する著作で知られるマサチューセッツ工科大(MIT)のニコラス・ネグロポンテ教授が中心となって設立。現時点では「100ドル」という目標価格は達成できていないものの、188ドルの価格設定で、昨年からアフリカや中南米で販売が始まった。
インテルは昨年7月、OLPCへ参加。しかし、並行してインテル主導で進められている別の低価格パソコン開発計画の中止をOLPC側から求められたことなどを理由に、離脱を決めたという。インテル主導の低価格パソコンは、OLPCより高い約300ドルになる予定とされる。
インテルは7日から始まる国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)にOLPC設計の低価格パソコンを出展する予定だったが、これも取りやめた。
一方、インテル離脱についてネグロポンテ教授は、「実際にはインテルは計画に加わって以後、なにひとつ協力的な姿勢を取ってこなかった」と口を極めて非難。「インテルが去ったことで、むしろ計画は前向きに進み出すだろう」と辛辣(しんらつ)にコメントした。
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