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中国軍機が集中飛来 ガス田上空、2日間で40回超

2007年12月31日11時51分

 東シナ海の春暁ガス田(日本名・白樺(しらかば))上空に今年9月、中国軍の爆撃機が2日間で40回以上も飛来し、日本の自衛隊機が緊急発進をしていたことが分かった。台湾の軍事筋が明らかにしたもので、日本政府も事実関係を認めている。台湾有事に備え、東シナ海で軍事活動を強化する中国軍の戦略の一環とみられる。

地図

中国軍機の飛行ルート

 春暁ガス田周辺は海底資源をめぐり日中間で問題となっているが、中国軍の活動がそれとかかわりを持つのかどうかは不明。ただ、中国軍にとってきわめて重要な海域であることを改めてうかがわせるものといえる。

 中国軍機は安徽省の懐寧空軍基地に所属する「轟6型」爆撃機。9月11日に20回、翌12日は23回にわたり、ほぼ同じコースで春暁ガス田上空に接近した。

 不明機の侵入に対応する日本の防空識別圏はガス田の西側まで及ぶため、自衛隊の那覇基地からF4戦闘機が11日に4回、12日に8回、緊急発進をした。同筋は「日中両機は最短5キロの距離まで接近した」と明かす。

 春暁ガス田周辺は横須賀などに停泊する米空母が台湾に向かう航路にあたる海域でもある。96年の台湾総統選時には、中国軍の演習に対抗して米国が空母2隻を台湾海峡周辺に派遣、圧力をかけたことがある。

 軍事評論家の江畑謙介氏は「轟6型機は長距離空対艦ミサイルを搭載でき、洋上艦艇も攻撃可能。台湾有事の際の、米空母の来援阻止というシナリオを持った訓練ではないか。今年8月にグアム近海で中国軍をにらんだ大規模演習を行った米軍への牽制(けんせい)の可能性もある」と話す。

 中国軍にとっては、沖縄、台湾、フィリピンにつながる島々を「第一列島線」と定め、ガス田周辺を含む海域を「内海」化することが長期戦略だ。東シナ海での軍事行動は年々活発化し、今年5月には、中国艦隊が沖縄から太平洋に抜ける行動をとっている。

 台湾の軍事筋は「台湾海峡近辺でも中国軍機の接近が急増している。訓練と同時に能力誇示の目的も兼ね、『この海は我々のもの』という中国の意思を周辺に向けて発している」とみている。

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