原油高 自治体の支援拡大 中小融資や灯油代補助
原油価格の高騰を受け、東北の自治体が企業や家庭への支援を本格化させている。6県はそれぞれ、中小企業向け公的融資の拡充などで対応を強化。仙台市や北東北の一部の市町村は、生活保護世帯などへの暖房用燃料費の助成を始める。政府が特別交付税を活用した緊急対策実施の方針を決めたこともあり、自治体による支援の流れは加速しそうだ。
青森、岩手、山形、福島の4県は、中小企業を対象にした融資制度の新設や融資条件緩和などの措置を取った。
岩手は「中小企業経営安定資金」に原油高対策枠を新設。運送やタクシー、製造業に8000万円を上限に貸し付ける。達増拓也知事は「現場で県民が困ることがないようにしていく」と強調する。
青森は、既存の原油対策資金の融資限度額を2000万円から3000万円に引き上げた。三村申吾知事は14日の記者会見で「真冬に向け、緊急的に実施したい」と説明した。
山形も上限8000万円の融資制度を創設。福島は来月、燃料経費が大きい企業を、中小企業向け融資制度の対象に加える。
宮城、山形、福島三県は庁内に対策本部を設置した。宮城は県内7つの地方振興事務所に相談窓口を設ける。
秋田では県議会が20日、「漁業用燃油価格の高騰対策を求める意見書」を全会一致で可決。政府に価格低減化の緊急措置を求めた。宮城県も、漁業用燃油が一定価格を超えた場合に超過額を補てんする調整基金制度の創設を政府に要望した。
便乗値上げを防ぐため、監視員を置いたのは青森県。県内約200カ所のガソリンスタンドのガソリンや灯油の平均価格を定期的に公表する。
仙台市は、生活保護世帯への暖房用燃料費助成を盛り込んだ約4億円の緊急支援対策を決め、27日に市議会臨時会を開く。梅原克彦市長は「暖房費の値上がりに苦労する家庭に、少しでも安心して新年を迎えてもらいたい」と話す。
岩手県では、二戸市が低所得世帯などに一世帯6000円を補助し、洋野町も6000円の商品券を配布するなど市町村での動きが活発化している。
青森県佐井村でも暖房用燃料購入に充てる1万円の「地域商品券」を配る方針を決定。生活支援は東北各地に広がりをみせている。