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ハンナン元会長に土地賃貸 「安すぎ」羽曳野市敗訴

2007年12月27日

 大手食肉卸「ハンナン」元会長で、偽装牛肉事件で詐欺罪などに問われている浅田満被告(69)=一審の実刑判決後に控訴中=の自宅の敷地の一部(約3千平方メートル)を、大阪府羽曳野市の財産区が月1万円で貸しているのは不当として、住民443人が適正価格との差額など約2億3千万円を被告らに賠償させるよう市に求めた住民訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。広谷章雄裁判長は「賃料は低すぎる」と判断。浅田被告が土地を不法占拠した91〜99年の賃料などにあたる約5200万円を被告らに請求するよう市に命じた。

 判決は、敷地を貸す財産区の当時の管理者だった福谷剛蔵・前市長(65)の過失も認め、浅田被告や関連会社2社と連帯して総額を支払う責任があるとした。

 判決によると、浅田被告は91年以降、自宅わきで向野財産区が所有する池付きの土地約3300平方メートルを勝手に造成し、庭園にした。99年、被告の関連会社が月1万円で借りる契約を財産区と結ぶまで不法占拠した。

 判決は、賃料について「低額すぎる」と指摘したが、自治体の契約に関して監査請求ができるのは契約後1年間と指摘。原告が監査請求をしたのは04〜06年であり、同請求は期限切れとした。しかし、不法占拠期間中の賃料は民法上の不法行為で生じた損害と認定し、固定資産税の評価額をもとに適正価格を月35万円前後と算出した。

 敷地は現在も月1万円で浅田被告側に貸し出され、市は09年8月末の契約満了時に契約のあり方を再検討するとしている。判決後、北川嗣雄・現市長は「判決内容をよく見て対応を判断する」とのコメントを出した。

 一方、原告の一人で元市議の湯浅省吾さん(66)は「格安の賃料による市の損害はいまも続いている。判決を重く受け止め、市は早急に対応するべきだ」と話した。

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