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診療報酬本体0.38%引き上げ
2008年度厚生労働省予算案
初・再診料を含む今後の配分論議に注目

2007.12.26

 厚生労働省の2008年度予算案が決定した。次期診療報酬改定については、薬価・材料を1.2%引き下げる一方で、診療報酬本体は0.38%引き上げる。本体の引き上げは8年ぶり。本体引き上げ財源は304億円で、年明けからの中医協で点数の配分を議論する。そのほか厚労省の予算案では、医師確保策として医師派遣システムの構築費用に21億円、交代制勤務など病院勤務医の労働環境の整備に53億円を計上した。がん対策の推進では、がん診療連携拠点病院の機能強化に50億円、がん予防・早期発見とがん医療水準の均てん化促進に83億円を盛り込んだ。

● 少なくとも0.35%以上を

 予算編成で焦点となった次期診療報酬改定は、自民党や日本医師会の強い意向を受け、最終的に診療報酬本体を0.38%引き上げることで決着した。

 診療報酬の改定率をめぐる政府・与党内の調整は、14〜17日にかけてがヤマ場だった。今回の予算編成作業では社会保障費の自然増のうち2200億円を圧縮する方向が示され、財務省が診療報酬本体の引き上げに強い抵抗感を示した。厚労省も当初段階で、財源をかき集めても2200億円を80億円程度(医療費ベースで0.1%)しか上積みできないと主張した。

 このような中、14日には自民党社会保障制度調査会の鈴木俊一会長ら厚労幹部議員が、日医・日歯・日薬などの幹部と東京都内のホテルで個別に会合を持ち、本体プラス改定に向けて政府・与党調整に臨む方針を確認。その後、厚労幹部議員が財務・厚労両省に出向き、直接掛け合うなどして、本体プラス改定に向けた調整が本格化した。

 この段階で自民党側は、前回改定後2年間における賃金・物価動向のうち、人事院勧告による賃金動向がプラス0.7%となっていることに着目。医療費に占める人件費割合が50%であることなどから、少なくとも0.35%以上の引き上げを求める方針を示していた。

 日医など医療関係団体との調整は16日にも行われ、翌17日には自民党本部で谷垣禎一政調会長と日医の唐澤祥人会長が会談。その日の夜に0.38%の本体引き上げが正式に決まった。

● 最終的に2504億円を確保

 争点となった社会保障費の自然増圧縮財源の内訳は、政管健保の国庫負担軽減分として健保組合が750億円、共済組合が250億円、国保組合が38億円をそれぞれ肩代わりすることで決着。そのほか薬価・材料で960億円(薬価870億円、材料90億円)、後発品の使用促進で220億円、生活保護の母子加算見直しで50億円、退職者医療制度で237億円をねん出した。これらの合計額2504億円のうち304億円を診療報酬本体の引き上げに充てる。

 これら財源の確保に当たっては、健保連、製薬業界など関係者の痛み分けとなった。日医に対しても、これからの点数配分の論議をにらみ、初・再診療料の取り扱いで自民党と意見交換が行われている。

 ただ、8年ぶりの本体引き上げとなったものの、医療関係団体が求める水準には至らず、年明けからの中医協での配分論議は厳しいものとなる見通し。今回の改定財源は、あくまで小児、産科、救急など地域医療の建て直しや勤務医の処遇改善などに回される。

 本体プラス改定を勝ち取ったものの、日医などは初・再診料の引き上げを求める構えを示しており、年明けからの配分論議も熾烈(しれつ)を極めることになりそうだ。



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