今年もクリスマスがやってくる。
この時期になると、テレビでは通常の番組は年内の放送を終了していて、これから正月三が日が終わるまでの約2週間、特番一色になる。 僕にとって、こういった風潮はあまり好ましくない。なぜなら、正直なところ、この特番のオンパレード、面白いと思える番組があまりないのだ。それに加え、個人的に一番不満なのは、「報道ステーション」や「NEWS23」などのニュースワイド番組が休止してしまうことだ。仕事から帰ってきて、その日1日を振り返ることができる貴重な時間なのだが、それがなくなってしまうのがとても寂しかったりする。 この時期、放送される特番を分類すると大きく2つに分かれる。ひとつは時節にちなんだ特番。一例を挙げると、視聴者から不幸な話をつのり、それが面白ければプレゼントがもらえるという「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」や、以前から「もういらない」と陰口を叩かれながらも、日本の大晦日を象徴する番組として君臨し続けている「紅白歌合戦」。そして、元旦に放送される「新春かくし芸大会」などだ。 もう1つは通常の番組を「引き伸ばした」特番である。これは、「ミュージックステーション」や「うたばん」などの歌番組や、「いい旅・夢気分」などの旅番組でよくある。また、「いきなり黄金伝説」などは、5時間スペシャルという超大型特番を予定している。 そんな、あまり嬉しくない年末年始の特番攻勢だが、数少ない「例外」もある。 僕が毎年この時期楽しみにしているその番組は、2001年に放送が開始され、毎年クリスマス近辺の深夜に放送される「クリスマスの約束」。ミュージシャン・小田和正が送る「音楽ドキュメンタリー」である。オフコース時代からテレビ出演を拒み続けている小田が出演する稀有(けう)な番組である。 この番組の特徴は、ジャンルや年齢を問わず、彼が認めたアーティストの曲を歌うことだ。記念すべき第1回では宇多田ヒカルの「Automatic」、ミスチルの「Tomorrow never knows」など、自分の子供くらいの年齢の若手の曲や、ライバル・山下達郎の「クリスマス・イブ」や同世代の泉谷しげるの「春夏秋冬」など、バラエティーに富んでいた。そして、小田和正の、年をとっても衰えることのない、豊かな才能に衝撃を受けた……。 それまであまり彼に関心のなかった僕は、これがきっかけで一気に彼のファンになり、それ以来、毎年この番組の放送を待ち望むようになった。 最初はさまざまなアーティストにゲスト出演を打診して断られ(最初の2年間はゲストなし)、まさに彼の「1人舞台」だったが、この番組が世間に認知されるにつれ、バラエティー豊かなゲストが出演するようになった。 財津和夫、桜井和寿(ミスチル)、島倉千代子、松たかこ、スキマスイッチ、いきものがかりなど、この番組ならではの競演に、会場もお茶の間も沸いた。 そんないろんなセッションの中で「実」を結んだものもある。 2003年のこの番組で演奏するために作られた小田和正とゆずとの共同制作曲「クリスマスの約束」がそれで、この曲は2005年に「ゆずおだ」というアーティスト名でCDが発売された。 毎年、小田和正の新たな魅力を感じさせてくれるこの番組、今年は12月25日、午後11時35分から放送予定である(近畿、石川は除く)。 今回も多彩なゲストとともに「躍動する還暦アーティスト」の熱唱を楽しみにしている。
総合1点(計1人)
※評価結果は定期的に反映されます。
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