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天皇陛下:きょう74歳 記者会見全文(1)

(宮内記者会代表質問)

(問1)今年は、食品の虚偽表示を発端とする「食」への不安、年金や社会格差の問題など、暮らしの安全が脅かされた一年でした。こうした様々な社会情勢について、陛下の思いをお聞かせください。

陛下 生活の基本である食と住に関して一昨年から今年にかけて国民に不安をもたらすような事情が明らかになったことは残念なことです。

 年金の問題については、戦後の復興と、その後の国の発展を目指し、一生懸命まじめに働いてきた人々が、高齢になって不安を持つことがないように、この問題が解決の方向に向かっていくことを願っています。

 社会格差の問題については、格差が少ない方が望ましいことですが、自由競争によりある程度の格差が出ることは避けられないとしても、その場合、健康の面などで弱い立場にある人々が取り残されてしまうことなく社会に参加していく環境をつくることが大切です。また、心の中に人に対する差別感を持つことがないような教育が行われることが必要と思います。

 過去を振り返り、公害によって健康の被害を受けた人々のことを考えるとき、当時はこのような問題に対する安全の問題が国民の間に十分に理解されず、被害者を苦しめてきたことが思い起こされます。多くの国民にこのような事態が少しでも早く知らされていたならば、被害を受けないで済んだ人も多かったのではないかと返す返すも残念に思っています。

 近年、生活の安全性に関し、国民が深い関心を抱くようになったことが、耐震構造の不備なども含め、安全性への危険を明らかにする上に寄与したことと思います。国民の安全を守るため、関係者の努力を望むことはもちろんのこと、国民全体がこの問題に関心を持ち、皆の協力の中で安心して生活を営むことができるよう願っています。

(問2)ご家族についてお聞きします。病気療養4年目の皇太子妃雅子さまは地方への泊まりがけ公務を再開するなど活動の幅を大きく広げられました。4人のお孫さまも健やかに成長されているようです。嫁がれた黒田清子さんも幸せな結婚生活を送られているものとお聞きしています。それぞれのご様子について、陛下はどのように見守っていらっしゃいますか。具体的なエピソードを交えてお聞かせください。

陛下 私は、家族が、それぞれに、幸せであってほしいと願っており、それを見守っていきたいと思っています。

 今年の欧州訪問前の記者会見で、私は皇太子時代の外国訪問に触れ、「名代という立場が各国から受け入れられるように自分自身を厳しく律してきたつもりです。このような理由から、私どもは私的に外国を訪問したことは一度もありません。現在、皇太子夫妻は名代の立場で訪問することはありませんから、皇太子夫妻の立場で、本人、政府、そして国民が望ましいと考える在り方で、外国訪問を含めた交流に携わっていくことができると思います。」という話をしましたが、一部に、これを皇太子一家のオランダでの静養に対して苦言を呈したものと解釈されました。これは、私の意図したところと全く違っています。

 国賓に対する昭和天皇の名代としての私どもの答訪は、私どもの二十代のときに始まり、昭和天皇、香淳皇后の欧州と米国御訪問を除き、昭和の時代は続けられていました。名代としての答訪の場合、相手国は天皇が答訪するものと考えているところを私が訪問するわけですから、自分自身を厳しく律する必要がありました。しかしながら、平成になってからは、名代による答訪は行われなくなったので、皇太子夫妻は、様々な形で外国訪問を含む国際交流にかかわっていくことができるようになったわけです。私は、このようなことを、記者会見で述べたのであって、決して皇太子一家のオランダ静養に苦言を呈したのではありません。なお、私は去年の誕生日の記者会見で、オランダでの静養について質問を受け、医師団がそれを評価しており、皇太子夫妻もそれを喜んでいたので、良かったと思っている旨答えています。

 このように私の意図と全く違ったような解釈が行われるとなると、この度の質問にこれ以上お答えしても、また私の意図と違ったように解釈される心配を払拭することができません。したがってこの質問へのこれ以上の答えは控えたく思います。

 2007年12月23日

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