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豪、日本の調査捕鯨を監視 国際裁判へ証拠収集

2007年12月19日21時48分

 オーストラリアのスミス外相とギャレット環境相は19日、日本の調査捕鯨を監視するため、数日中に税関の巡視船を南極海に派遣すると発表した。調査船による捕獲活動を写真やビデオで撮影し、国際司法裁判所や国際海洋法裁判所への提訴に向けて証拠を収集するのが目的。

 キャンベラで記者会見したスミス外相は「鯨の殺戮(さつりく)を科学的に正当化することはできない」と述べた。巡視船の活動は20日間程度となる見通しで、航空機による空からの監視も併せて行う。

 外相は、巡視船の派遣は捕鯨活動の監視と証拠の収集が目的で、船団への介入や取り締まりは否定した。鯨の保存活動を担当する特使を新たに任命し、捕鯨に反対する国々とも協力して国際捕鯨委員会(IWC)以外の場でも、日本政府に捕鯨を中止するよう働きかけるとしている。

 外相はまた、「豪州は日本との緊密で相互に有益な関係を重視しているが、断じて同意できないこともある。その一つが捕鯨だ」と述べた。

 ラッド首相は軍の艦船や航空機の派遣も辞さない姿勢を示していたが、野党・自由党は「日本との関係を決定的に損ねかねない」(ネルソン党首)と反対していた。

 11月18日に山口県の下関港を出港した日本鯨類研究所(東京)の船団は、すでに南極海周辺に到着。ミンククジラ約850頭と、ナガスクジラ、ザトウクジラ各50頭の捕獲を計画している。今年から対象となったザトウクジラは、豪州ではホエールウオッチングの観光資源でもあるため、反発が強まっている。

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