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ザトウクジラ捕獲、1〜2年見送り 政府方針

2007年12月21日22時38分

 政府は21日、今年初めて調査捕鯨の対象に加えたザトウクジラについて、今後1〜2年間は捕獲を見合わせる方針を発表した。ホエールウオッチングの対象として人気のあるザトウクジラの捕獲には、オーストラリアや米国などから強い批判が出ていた。国際捕鯨委員会(IWC)のホガース議長が、捕鯨国と反捕鯨国の対立が先鋭化しているIWCの正常化に取り組む考えを示したことから、調査捕鯨自体は続けるものの、ザトウクジラに限って、当面は捕獲しないことにした。

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捕鯨反対を訴えるため、外務省に入るマレー・マクレーン駐日豪州大使ら各国の大使館関係者たち=21日午後7時すぎ、東京・霞が関で

 町村官房長官は21日の記者会見で、ホガース議長から「IWCの正常化に努力する間、1〜2年間、ザトウクジラの捕獲を見合わせてほしい」との要請があったことを明かし、「調査捕鯨の計画は変更しないが、IWCの正常化のプロセスが進行している間は捕獲を延期する」と言明した。

 農林水産省などによると、ホガース議長は12月中旬に来日、日本がIWC副議長国であることも踏まえ、「IWCの正常化に精いっぱい取り組む」として、日本に協力を求めた。農水省はザトウクジラを捕らなくても、国内の鯨肉の供給に問題はないとしている。

 今年の日本の調査捕鯨船団は11月中旬に山口県の下関港を出発、南極海周辺に到着している。来年春にかけて、ミンククジラ850頭、ナガスクジラ50頭に加え、初めてザトウクジラ50頭の捕獲を計画している。

 しかし、豪州政府が国際司法裁判所などへの提訴も視野に、監視のための巡視船を南極海に派遣すると発表したほか、米国務省報道官も自粛を求めるなど、国際社会に反発が広がっていた。豪州やアルゼンチンなど数カ国の在京大使は21日、外務省を訪れ、調査捕鯨再開に反対する約30カ国の声明を提出した。

 政府は今回の措置について「豪州を配慮したものではない」(若林農水相)としているが、町村氏は「結果として豪州との関係も改善する」と述べており、日豪関係への配慮も判断の要素になったとみられる。高村外相は21日、豪州のスミス外相に電話で捕鯨延期の方針を伝えた。

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